システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に

(2012.9.5-7) 図書館等職員著作権実務講習会

2012-10-01 17:08:45 | イベント参加
著作権について勉強したのは久しぶり。
いいインプットができましたが、ややこしいので消化や、実場面での対応には時間がかかるか。

以下は、ちょっとしたメモです。

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平成24年度 図書館等職員著作権実務講習会

設問番号① 図書館等利用者への著作権制度の普及・啓発について

1. はじめに
 このたび標記講習会を受講し、著作権にかかる多くの知識を得ることができた。本レポートでは、受講を通して感じた著作権を巡る問題、および改善策の一例を考える。

2.著作権を巡る問題の一側面
 著作権を巡る問題の一側面として、法の期待する状況と、市民の多くが許されると感じる範囲に、大きなギャップが存在することがあるのではないかと感じた。
 図書館の複写窓口では、その具体例も多く見られることだろう。例えば、発行当日の新聞のコピー、複数の単著論文が集められた書籍の"一部分"コピー、図書館内コピー機での私的なコピーなどがあるだろう。これらは一般的な市民感覚では、違法ではないと考えることも多いのではないだろうか。
 あるいは、つい友人の分もコピーしたり、書籍や新聞のコピーを職場で回覧したりということは、説明されれば理解できたとしても、悪意もなくついコピーしてしまうということがあるのも実態ではないだろうか。
 例えば、道路交通法と比べてみると、興味深い。道路交通法の規定は、交通を円滑に運用するためや、事故リスクを減らすこと、または、マナー向上などの観点で設けられていることが多いと思われる。特に説明されなくとも納得できる規定が多いのではないだろうか。

3.ギャップを埋めるために
 上記のような認識のもと、それらを埋める方策の例を、図書館スタッフとユーザへのアプローチ、2つの側面から考える。

(1)図書館スタッフへのアプローチ
 図書館スタッフへのアプローチの主体は、行政や図書館関係団体などかもしれないが、職場を構成するスタッフ自身が主体となってできることはないだろうか。
 最初に考えるのは、図書館スタッフ達の職場における著作権制度の認識、ないし常識のラインを上げることである。当講習会がそこに果たす役割も大きいが、一方、スタッフ全員が受講できるわけでもなく、規定も時代に応じて変わっていく。
 当講習会の受講者などが職場におけるキーパーソンとなって、普段の会話などを通じて、同僚に知識伝達や、課題の意識付けなどを行うことによって、自然と認識や常識のラインを上げることができればよいだろう。そのためにも、受講した私自身を含め、自覚を持って取り組む必要があると、改めて感じた。もちろん、職場内の勉強会などで認識を深めることがあってもよい。

(2)ユーザへのアプローチ
 図書館スタッフが講習会などの機会を持つのと異なり、ユーザを講習会に参加させることはできない。考えられるアプローチとして、2つ考えられる。
 1つは、ポスター等、広報物によるアプローチである。これまでも行われているであろうが、さらに伝えたい内容が即座に伝わることを意識したい。デザイン、時期、内容、掲示場所などを考慮して、効果的にユーザに届くような広報物を考えるべきである。
 2つ目は、大学図書館を想定したものであるが、授業を活用して、ユーザの認識を向上させることである。多くの大学で、ICTの基礎を学習するクラスがあると思われるが、そこに半コマ程度の時間でも、著作権制度について混ぜることはできないだろうか。確かに、他に教えるべき内容や、教員との意見調整など課題は多いが、特に大学ではありえる方策だと考える。

(3)当館での例
 当館(大阪大学附属図書館 総合図書館)では、貸出用の簡易なハンディスキャナを新規購入することを考えている。用途としては、手書きした数式などを電子化することなどを想定している。そこで課題となるのが、(a)図書館資料のコピーと (b)図書館内での私的コピーの関係である。
 前者については、形状として紙のシートをコピーする機種にする予定なので、冊子体の図書館資料をユーザ自ら自由にコピーするとは考えられない。但し、一度、紙にコピーしたものをスキャンして電子化、共有という可能性もある。これについての対策は難しいが、私的コピーに使用できると言わず(言うことによって、できると類推される)、数式等の手書き資料の電子化やWebCT(授業支援システム)での登録に使えるという言い方もあるだろう。
 後者については、冊子体を自由にコピーできない形状なので、大きな問題はないと考えるが、逆にそれを逆手にとって、図書館資料のコピーには制限があるということを伝える手段に使えるかもしれない。小さめの形状ではあるが、本体に分かりやすいメッセージを貼付するなどして、著作権制度を伝える手段に使えるかもしれない。
 
4.おわりに
 以上、著作権制度におけるギャップの解消の一例を考えてみた。今回の講習会をきっかけとして、私自身もこれまで以上に著作権制度の認識や普及に努めていきたい。
                                 以上

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3 コメント

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Unknown (司書)
2012-10-02 20:07:31
図書館の運営を考えながらネットサーフィンしていると、こちらのブログにたどり着きました。
非常に興味のある記事ばかりで大変面白いです。
大阪にいらっしゃるとのことで、阪神間で講義などのご予定などございましたらお教えください。
コメントありがとうございます (久保山)
2012-10-04 22:48:32
コメントありがとうございます。
阪神間ではありませんが、10/26には島根での全国図書館大会で発表する機会をいただきました。他に発表の機会がありましたら、このブログにも掲載します。
こちらこそ、何かとお教えいただければ幸いです。
Unknown (司書)
2012-10-05 22:29:40
お答えいただき有難うございます。
図書館大会には行けませんが、ご報告や次のご講演のお知らせを楽しみにしております。
いつか直接お話を伺いたいです。

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