読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

第262号 『論争 格差社会』

2007年11月04日 | メルマガお奨め本
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週刊 お奨め本
2007年11月4日発行 第262号
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『論争 格差社会』 文春新書編集部・編
¥750+税 文藝春秋(文春新書) 2006/8/20発行
ISBN4-16-660522-4
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世は格差問題花盛り。
ニート問題、ワーキングプア、フリーターの若者を中心に格差は広がる一方で、
日本はひどい国になってしまった。という論調が盛んである。
何故こんなことになってしまったのかと犯人探しをしてみたり、格差是正を叫ん
でみたり。あるいは、格差なんて昔からある、と騒ぎすぎをいさめてみたり。

これだけ「格差」が人口に膾炙するのは、即ち人々の関心の表れ。
誰もが無関心でいられない。「他人事ではない」という不安。
格差問題は、格差そのものの問題というよりも、格差を問題だと感じる人々の
不安の問題だといえる。

個人的には、格差はたしかにあると思う。
ただし、ニート問題は格差の問題に入れるのはちょっとちがうようにも。労働意
欲のない人の生活レベルが下がるのは当然じゃなかろうかと。消極的ニートの人
は、働きたくないわけではないのかもしれないけど、私自身を鑑みまして、働か
ずに生きていけるんだったら働きたくなんかないぜ、でも働かなきゃ生活できな
いんだもん仕方がない、と泣き泣き労働してるんだもん、ニートという立場が許
される環境というだけで、甘い! と怒鳴りつけたくなるね。
ただ、ニートというものが、問題になるほどの人数、本当に存在するのか? と
いうのも疑問です。定職を持たずにフラフラする人というのは、昔も今も一定数
存在するわけで。

思わず個人的見解を縷々述べてしまいました。
つまり、関心あるわけですよ。
関心があると、ついつい問題を問題として取り上げている本を中心に読んでしま
う。問題じゃない、という論調のものは読み逃す。
そうやってバイアスが強化されていく。

本書は、「文芸新書編集部」が編集している。
さまざまな視点・論点からの論文を収録。

> 専門家として、また有識者として論争に参加している人たちの主張を通じ、格
> 差社会の問題のさまざまな側面に触れ、また論者たちの主張の対立点や一致点
> を自ら吟味することで、一人の論者の書いた本を読むよりも問題がより立体的
> に浮かび上がってくる。また、どのような主張に説得力を感じ、また逆に違和
> 感を覚えるかで、自分の価値観を再認識することができる。言うまでもなく、
> こうした自分の価値観こそが、生き方の基盤になるものである。
> (15頁・「はじめに」水牛健太郎)

格差問題というものについて、ひとまずバイアスを取っ払って、偏見なく、広く
意見を知ろうとおもったときに、とっかかりとして最適の書なんじゃないかと思う。


> 「君たちは問題だから再教育してあげますよ」じゃなくて「いま、日本はいろ
> いろな問題で困っているんだ。君たちの力を借りたい」と呼びかければ、若者
> たちはいっぱい集まってきたと思うんです。発想の転換が必要です。視点を逆
> 転させれば、彼らは非常に貴重な人材なんですよ。
> (191頁・二神能基:NPO法人「ニュースタート事務局」代表)

> 弱者切り捨てのお国を頼ろうというほうがよっぽど自暴自棄だ。(193頁・同上)

> 父親が「いい職業」か「悪い職業」かで、子どもの進路が左右される社会より、
> 左右されない社会のほうが望ましい。けれども、一番望ましいのは職業に貴賎
> のない社会だ。理想論とよばれようと机上の空論とよばれようと、その究極の
> 理念を私は忘れたくない。忘れたとき、不平等や格差を語る言葉は腐食してい
> くからだ。(198頁・佐藤俊樹:東京大学助教授)

佐藤先生の理想論に感動したわ!


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