録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

本当に速い?AMD Quick Stream

2015-03-09 00:11:20 | AMDブログ
先日、関西で店舗を展開しているPCパーツショップ、ワンズで動画配信、ワンズちゃんねる!をやっていることは前にも書きました。あれ以来リアルタイム配信までは見ていませんが、終了後の放送はぼちぼち覗いているんです。その一番最近行われたのが「来たぞ!AMD 見せます底力」という配信。ようするにAPUの宣伝をAMDの広報の人がやりに来た、というものなんですが、ほとんどの話は聞いたことのあるものばかりだろうな、と思いながら見ていたら一つだけ新鮮なものがありまして。それがAMD Quick Streamという機能。大体16分あたりから説明が始まっているんですが、「AMDはネットが速い!」と題しましての説明で、まず最初に語っているのがブラウザのコンテンツがRADEONの機能で速いというもの。まぁこれは分かりますが、それに続く説明がQuick Streamのもので「ネットからダウンロードしたデーターをグラフィックスのパワーを使って最適化する」ものだそうです。まぁそこまでは過去のブロガー勉強会で聞いたことはあったのですが、実は昨年のアップデート、Catalyst OMEGAからこの機能の「オンオフができるようになった」のだそうです。これは聞いてない! Catalyst OMEGAの説明の時も聞いてません。少なくとも当日記録したわたしのメモには書いてません。ただオンオフだけでなくサイトごとに有効無効を切り替えるように設定できるなど、以前聞いた時の「要らないという人はいないでしょうから切れないようになってます」とはずいぶん違うものになっていたようです。
とそこまではいいのですが、実際の効果を見てもらうものとして、モバイルルーターを用いた速度テストの数値を公開しているではないですか。ええ、Quick Streamって動画配信をスムーズに受け取るための機能じゃなかったの~!? 速度テストでも効果でるの? 疑問が出たら確かめずにはいられません。さっそくやってみましょう。

AMD Quick StreamはOMEGA利用時には普通にプログラムとして登録されており、スタートメニューなどから呼び出して利用します。環境は、こういう機能はデスクトップよりモバイルの方がふさわしいかと思ったので、普段ノーパソを使っている離れ部屋でKaveri・FX-7500搭載のThinkPad E455を使用、モバイルルーターは愛用の305ZTを使います。なお、回線はLTEになったらつなぎ直しにして4Gで統一しました。Quick Streamでは"アプリケーション優先運行している"と"Quick Stream Boost 運行している"をそれぞれオン・オフにできますので全部のパターンを試します。"アプリケーション~"の方はデフォルトのまま、"Quick~"は一番早そうな"品質優先インタフェース"を使用します。速度は一回や二回の測定では誤差もあるかと思いましたので全部十回ずつ測定しました。測定サイトは先の配信でも利用していたBNRスピードテスト。同じ環境でテストを十回やって切り替え・・・ではなく、オールオフ→アプリケーションのみオン→Boostのみオン→全部オン→のローテーションで行っています。なお、途中で「AMDじゃないPCでの比較があったほうがいいかも」と思いついたため、5回目のテストからSandyBridgeの低TDP版Core i3採用のThinkPadx121eを引っ張り出してつなげています。接続はどちらも無線LAN。なお、BNRテストは二回テストをやって速い方だけを結果とする方式ですが、ここでは両方とも記載することにしました。

(単位はMbps)
オールオフ
8.80/9.65
10.23/6.42
10.78/9.60
6.81/9.27
9.38/8.71
9.21/9.38
8.68/9.92
9.35/9.94
8.34/8.52
7.43/11.10

アプリケーション優先のみ(デフォルト設定)
19.07/19.80
18.21/21.23
20.28/21.71
19.76/16.01
15.64/15.55
13.67/15.28
16.73/13.85
15.97/13.97
12.55/12.21
7.52/13.07

BOOSTのみ
20.57/18.28
20.30/19.96
15.59/15.78
16.91/16.03
14.51/15.72
14.69/16.03
13.96/14.94
15.47/16.53
17.64/17.68
14.39/14.09

オールオン
17.89/14.36
16.21/16.60
19.43/21.62
14.73/15.89
15.31/14.48
15.13/14.85
15.25/16.94
18.57/15.51
18.01/17.44
11.23/12.39

Core i3
13.11/13.66
10.22/12.23
13.00/11.91
14.08/14.35
12.82/12.98
8.96/12.2

見てお分かりいただける通り、両方の機能をオフにするとかなり遅くなってしまいますが、どれか一つでも有効にすると速度が二倍近くまで上がります。と言っても二倍になった、というより回線から取り入れたデータの処理が速くなった、と考えるべきでしょう。Core i3はちょっと旧式ということもあってあまり速くないですが、それでもQuick Streamを切ったKaveriよりも平均が速くなっています。「AMDはネットが速い」とうたってはいますが、むしろQuick Streamを入れないと遅い、というべきではないでしょうか。Windows標準のネット処理がAMDには最適化されているとは言えず遅いので、APUに最適化した独自の方式を別途プログラムで用意して割り込ませた、という感じがします。となると、CPUの性能の差を考えればQuick Streamを使ってやっとIntelと同等?なのかも知れません。

宣伝に使っていたのはモバイル用ではなくあくまで組み立て用途に使うKaveri。今度は自室にあるデスクトップ版Kaveri、A10-7850Kを利用して測ってみましょう。同じく305ZTを、USBを使って有線接続してあります。先の実験とは場所が違いますのでご了承ください。

A10-7850K(Windows8.1)
オールオフ
42.00/31.51
38.53/44.25
42.39/46.36
41.92/38.93
53.60/54.21
45.06/43.56
41.85/58.27
53.57/58.46
43.71/49.77
49.78/42.71

アプリケーション優先のみ(デフォルト設定)
47.53/47.53
46.88/46.39
41.93/46.21
39.47/42.40
51.32/43.52
54.64/46.71
45.43/49.46
43.07/42.02
47.11/55.64
51.28/45.72

BOOSTのみ
48.29/31.21
43.28/41.50
50.53/57.32
45.67/44.64
48.02/46.57
47.77/45.14
45.35/45.60
41.79/47.89
46.54/47.27
54.07/42.00


オールオン
60.90/58.06
41.57/61.25
46.33/57.67
56.10/45.75
47.81/48.14
45.90/48.89
60.32/61.28
44.61/32.18
55.40/41.99
46.07/43.75

どれも十分速いです。しいて言うならオールオフが少し遅く、オールオンが平均で言えば上にはなっていますが、体感的に差はないでしょう。ここで比較用としてCPU能力では各上のCore i7 4770とFX8370採用PCにおいても測ってみます。もちろん両機種ともUSBで305ZTにつなげる方式を用いました。

i7 4770(Windows7)
43.89/41.18
45.74/43.57
48.07.43.93
44.90/41.21
54.61/35.90
45.28/45.14
46.21/44.10
41.71/34.74
34.78/34.47
48.46/49.52

FX8370(Windows8.1)
10.94/23.19
12.13/23.23
11.48/24.01
11.60/14.32
25.48/24.64
12.10/14.08
26.14/14.39
15.22/13.51
51.14/22.94
12.52/27.01

i7がほぼKaveriのオールオフくらいの速度になっています。つまり体感的な差はないものの、若干A10-7850KにQuick Boostを咬ました方が速くなっています。ベンチにすぎないとはいえ、A10がi7と同等以上の成績というのは珍しく、これは「AMDはネットが速い!」の言葉を証明するものではないでしょうか!

・・・と目をそらしたくて別のことを語りたくなるほどFX8370が衝撃的に遅いです!!! たった一回ブースト的に速かった以外は同じデスクトップと比べても1/2~1/4しか出ていません。ちなみに8370機にはグラボとして250XEを使っており、ちゃんとOMEGAを入れているんですがQuick Streamはインストールされていないんです。やっぱりAPUじゃないと使えないんでしょうか・・・。「現行AMDアーキテクチャではWindows標準の機能ではネット回線速度が遅い」という仮説は本当のかもしれません。ただ、A10-7850KはQuick Streamを切っても速いのでSteamrollertとPiledriverの差なのかも知れませんが。

参考、同じ部屋で計測、FX-7500ノートE455機+USB接続での「オールオン」と「オールオフ」の結果

FX-7500(両方)
28.03/26.62
26.78/24.03
29.30/30.12
42.00/29.42
24.50/16.39
23.46/26.08
36.67/29.37
18.34/25.96
14.66/20.73
29.28/27.89

FX-7500(なし)
9.48/8.27
9.44/8.69
9.60/10.88
9.94/8.59
9.49/10.00
10.57/10.03
10.01/9.56
11.52/9.35
9.93/9.86
10.18/12.18

やっぱり差がついてます。モバイル版KaveriはQuick Streamの力なしではネット回線のデータを処理しきれないのかも知れません。まぁそれでも「Keveriはネットが速い」「AMD Quick Streamは通常回線においても効果が高い」は真としておきましょう。

このテストのために2日でアクセス容量4GB使った。あと数日で7GB制限来るのは確実。305ZT初の規制解除体験だ~。

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3 コメント

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Unknown (帰ってきた"なんだかなぁ")
2015-03-09 01:14:28
久しく遠ざかっていたこともあって、どうもよくわからん技術です。
まぁIntelのNICの場合、他社のNICに比べハードウェア処理されている部分が多いため、安定した通信を行いやすいというような話がありますが、ああいうことをAMD Quick Streamがやってるんでしょうか?

ただ、AMD Quick Streamで検索すると、
http://h20564.www2.hp.com/hpsc/doc/public/display?docId=emr_na-c04087661&DocLang=ja&docLocale=ja_JP
をはじめとして、悪い情報がチラホラでるのがなんとも・・・・
見た目の数値が向上しても安定性が犠牲になっていたら元も子もありませんので。

ただ、FX8370の鈍足っぷりにはびっくりですね。
私はデスクトップPCについてはIntel NICのボードを必ず取り付けて使っていますので、オンボードは利用しないんですが、ちょっと低すぎなような。
わからん・・・・
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Unknown (sazanami)
2015-03-09 21:44:17
HPのDv6-7203axではインストール後早くなっています。
早くなっているというか、安定しているイメージもあります。

 今まで何でこんなにも遅かったのかと思ってしまいますが、
これはこれで良いとしておきましょう。
返信する
Unknown (krmmk3)
2015-03-10 13:50:26
>帰ってきた"なんだかなぁ"さん
そこら辺でしょうかねぇ。内蔵GPUにそういう処理を代行させているとか・・・。
AMD Quick Streamが本当に悪いのかどうかは分かりませんが、先々代のTrinityの時に不具合っぽいアクセスになったことはわたしもあります。そこら辺考えてソフトやサイトごとに有効無効が選べるようになっているのではないかと。
8370がなんであんなに遅いのか分かりませんが、今回はLANを使わずにモバイルルーターとUSBで接続しています。そこら辺が原因だった可能性もなきにしもあらず、です。

>sazanamiさん
Dv6-7203axはTrinity採用でしたね。Kaveriでなくても安定して速度を上げる効果があるんですね。
まぁ不具合が出ない限り速いに越したことはないですから、遅いやつには目をつぶりましょう。
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