録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

文科省サイトに掲載されていた「著作権法改定案」を読もう

2012-03-16 19:45:37 | B-CAS&規制撤廃運動
昨日「法案が見当たらない」とわめきました今国会に提出されている著作権法n一部を改定する法案ですが、提出は文部科学省から内閣になされたらしく、文科省のサイトに載っておりました。

著作権法の一部を改正する法律案

相変わらず法律の改定案というやつは面倒な書き方がしてありますので、わかりにくいものになっています。よって、わかりやすいものだけ見ておくことにしましょう。おすすめは

・著作権法の一部を改正する法律案(概要)
・著作権法の一部を改正する法律案(新旧)

の二つです。他と比べて比較的わかりやすくなっていますので、これだけ見てもほとんど分かると思います。
読んで分かるように、この改定案の主軸はあくまでいわゆる「日本版フェアユース」であり、改定部分もそれに関する者が大部分を占めています。その中身も、企業や研究機関を対象としたものが大半ではありますが別に個人を対象から外すようなことはないようです。よって、公衆送信もしくは送信可の状態にするのでなければ、"実験"の名目で少々のことは行っても良さそうです。ただし、「必要と認められる限度において」とありますので、著作者の思惑によって限度が簡単に決められることになりそうです。まぁこれはやむを得ないといいますか、ある意味当然なわけですが。

と、言っても「日本版フェアユース」はあくまで二の次、本命は概要の一番下に書かれている「著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備」の部分です。注意してみないと見逃してしまいそうですが、ちゃんと「日本版フェアユース」とは分けて書いてあります。つまり、隠されたもう一つの柱です。
読んでみたのですが、どうも第三十条「私的使用のための複製」部分しか見当たりません。今までと決定的に違うのは「特定の変換をするよう変化された著作物」という一文が加えられていることでしょう。これがちょっと難しいのです。これは著作権法第二条第一項第二十号により定義されるもの、となっていますが「技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)」のことでしょうか。極端なことを言えば、デジタルとは全てこれに該当します。何かしら変換を行わなければデジタルデータを直接認知することは不可能なわけですから。
うーん、もうちょっと考えてみないと断言は出来ませんが、「DVD等の複製」をターゲットにするために用意された文と考えるのが妥当でしょう。おそらく著作者の意図しない復号は全部禁止、とでもいいたいのでしょうが、範囲を広げたいゆえにデジタルデータの複製は全部禁止、と取れなくもない内容になってしまっています。ここはなおして欲しい部分ではあります。ただ、あくまで「私的複製」を定義するための項目であるため、復号全てを管理出来る法律になっている、とは考えづらいものです。従って、複製を伴わない著作者の意図しない復号は禁止出来ません。少なくともB-CASを保護するものにはなっていないようです。復号を著作権法で管理するのなら、新しい項目を作り出す必要があるわけですし。

と、いうわけで、自由な視聴や録画を阻害することは出来ないと思われます。録画ファイルが自由にコピー出来る形式だとしても、そのコピーはOSが行うものでソフトが行うわけではありませんから。自由化には影響が出そうし、エンコードもちょっとまずいかも・・・となるかも知れませんが、予想された最悪の事態は作られそうにないことだけでも良かったとみなすべきでしょうか。

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4 コメント

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Unknown (年寄)
2012-03-16 22:07:09
>「技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)」
これ、現行法にもありますよ

個人的には改正案三十条の二が気になる・・・
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Unknown (krmmk3)
2012-03-16 23:48:07
>年寄さん
前からはありましたけど、私的複製の例外扱いになるのが今回の法案からってことになってません?基本的に30条以外は半分どうでもいい内容のようです。
返信する
そうか (年寄)
2012-03-17 11:00:08
三十条二
技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

ってのは今もある(=コピープロテクトを外すことは今もアウト)んですが、

改正案二条二十に
若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式

を追加してアクセスコントロール(CSSやAACS)を入れてDVD・BDの私的複製もアウトにする(ただし本改正案においては罰則はない)

また改正案百二十条の二でアクセスコントロールを解除するハード・ソフトの配布についても罰則付きで規制するようですが、プログラムの配布を禁止しているだけで、ソースコードはどうなんだろうか
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Unknown (krmmk3)
2012-03-17 21:56:42
>年寄さん
実質的にアクセスコントロール解除による複製の作成を違法行為にするための改定ですね。
ソースコードもダメじゃないですかね。著作権法が回避できても不正競争防止法で違法扱いにするでしょう。
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