録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

まねきTV判決が適応されるとこうなるテレビ界

2011-01-19 23:15:09 | 次世代ビデオへの懸念
誰もが気にしているだろうまねきTV判決のことを書く前に、
誰もが気にしていないだろう、あたくしの健康状態の報告から~。

相変わらず咳は止まらないんですが、昨夜はさすがに体力が限界を超えたのであっさり熟睡。久々にグッスリと眠ることができました。現在の体温37.1度。ただ、普段から36度後半の体温なので、全く微熱の自覚がない程度の状態、つーか全然知らずに寒い中歩いて遠出してた。多分もう一晩グッスリ眠れば回復するかも。でも、咳が止まるのは週末?


現状報告が終わったところで昨日の「まねきTV判決」の続き。
まねきTV公式サイトによりますと、これ以前の判決は5回連続でまねきTVを支持するものであったとのこと。おかしいわけです。なぜなら、地裁→高裁→最高裁と普通裁判はあっても3回まで。ようするに、テレビ連合がまねきTVを訴えるのは2周目ということです。前回はサービスそのものへの仮処分申し立て、2周目は著作隣接権の送信可能化権の是非に対する訴訟。ちなみに前回は最高裁への上告は却下されたため、今回が初の最高裁裁判となったようです。おそらくはテレビ側としても最高裁に持ち込めば勝訴できるという考えであったでしょうし、仮に敗訴したとしても何かしら難癖をつけて3周目の裁判が始まったことでしょう、もちろんテレビ側が勝つかまねきTVがやめるまで、永遠に。
なお、今回はあくまで審理のやり直しを求めるという判決のため、一応すべてが終わったわけではないようです。ただ、司法の最高峰である最高裁判断を前提として知的財産高等裁判所も審理をする必要がある以上、今回の判決文(まねきTV公式サイトにもあります)を読む限り、それまでの大前提が完全に覆させられているため、まねきTVそのもの却下とする判決しか出しようがありません。事実上、まねきTV側がテレビ連合に払う損害賠償の支払い金額を決めるだけで終わるようです。
中でも一番ひどい部分がここ。


公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。

一対一の関係であろうとなかろうと関係なく、公衆向けの回線を利用さえすればそれはすべからず自動公衆送信と判断すべきである。まぁ簡単に言えばこういうことです。「送信」の部分だけがすべてであって、受信は一切関係ない。そういう判断を最高裁、裁判長田原睦夫および裁判官那須弘平・岡部喜代子・大谷剛彦は全員一致で判決したそうです。
しかし、これってある意味地上波直接受信以外のテレビ放送受信手段の全否定です。判決にはそれで利益を上げたことが不当な手段か否かは問うていませんから、まねきTV以外の公衆回線を利用したテレビ再送信手段はほぼ全部違法行為です。一ヶ月前にすでにまねきTV側の敗訴を確信していた池田信夫氏は「ケーブルテレビも違法であり、マンションなどの共同受信施設も違法となるおそれが強い」と語っていますが、当然そうなります。一応自動公衆送信は同一建物内なら該当に入らないことになっているのですが、マンションは一つの建物でありながら複数の家の集合体と見なすこともできますので、すでにギリギリ。多分同じ裁判官に判断させたら当然公衆送信と見なすでしょう。ケーブルテレビは完全にアウトで、同系のフレッツ・テレビもダメ。地上波のBS再送信も違法行為ですし、何より総務省が「地上デジタル放送普及最大の障害」と位置づけて整備を急いでいるいる共同アンテナ。これなんて即違法です、とんでもない話ですね、裁判で違法と判断されようとしている行為に総務省は補助金まで出しているんですから(笑)
この判断に従うと、受信していいのは、一戸建ての人なら自分の家の屋根に建てたアンテナで受信してもいいが、そうでないマンションやアパートの家庭は室内アンテナでの受信のみ可、ってことになるわけですよ。40年前のテレビ普及期に戻りましょうって考えですか? すごいです。ちなみに訴えの根拠となった送信可能化権って、日本とオーストラリアにしかない世界的にも珍しい権利で、1996年にできたばかりなんだそうです。最新の考え方で最旧の状態を強要するなんて、もはや笑い話にしかならないですね。


ちなみに各新聞の反応。新聞はご存じの通りどこもかしこもテレビ局とガッチリとくんでいますので、テレビ界全体の都合の悪いようには絶対に報道しません。どう考えても異常な状態ですね。

読売新聞
"田原睦夫裁判長は「サービスは、著作物を不特定多数の人に送信する行為で、著作権の侵害にあたる」との初判断を示し"←"不特定多数"なんて一言も言ってません。「公衆」を「不特定又は多数の者」と呼ぶ箇所があるのみで、しかも原審の判決を引用した部分で、です。あきらかなでっち上げ。

朝日新聞
ここも「契約すれば誰でも利用できるサービスは、不特定多数への送信にあたる」と勝手に創作を加えています。

毎日新聞
ここは「不特定の人」止まり。判決文に同様の表現はあるので報道としては問題なし。テレビ側だけでなく、まねきTV側の主張もWEBニュースに乗せているうえ、「判決は個人同士による番組転送まで違法としているわけではない」と結ぶなど、ほかと比べてずいぶんまともな記事になっている。一応今回の判決は「たとえ一人一回線だとしても、複数の利用者が存在する送信は全部自動公衆送信」というのを前提にしているので個人利用はあたらないとのこと。

産経新聞
MSNのやつしかなかったけど、判決文と双方弁護士のコメントのみのシンプルな内容。不特定多数の間違った使い方こそされているものの、そう判断したと裁判長に言わせる創作を行っていない分読売朝日よりマシ。


多分此度の裁判長の頭の中はテレビと言えば40年前のカラー化で止まっている人なんでしょうけど、当然ながら海外赴任で日本のニュース番組やあるいは通常番組を見たいという需要は根強いわけで、それを助けるサービス全否定の影響力をどう考えて下したのでしょうか。一方テレビ局側がやっきになった最大の原因は十年一日のごときテレビの体制維持のため、ようするに海外利用者だけでなく、地方在住者が東京番組を見たいとする欲求を却下させ、地方局を存続させて地方政治家や企業との関係を強く保ち続けるため、なんでしょう。今回も彼らが守った文化は著作権の美名を借りた利権文化に過ぎなかったのです。

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38 コメント

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Unknown (emanon)
2011-01-20 01:13:00
 送信可能化権って1996年にできたのですかISDNが一般に普及しはじめる前から予想されていた所からするとアマチュアFM局のように映像で個人放送を始めないよう先手を打っていたのだろうな

>。「送信」の部分だけがすべてであって、受信は一切関係ない。そういう判断を最高裁、裁判長田原睦夫および裁判官那須弘平・岡部喜代子・大谷剛彦は全員一致で判決したそうです。

それでいくと送信しているだけでその先は関係ないと拡大解釈可能なので 個人利用もNG となりますよ、最近の裁判レポート記事から学ぶに故意に最悪の想定で相手に対峙せよと両者が声高に戦ってますし

物を買うように洗脳されるから面白いと評判の物だけ見る方がいいと故意に考えるといいのかな
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Unknown (krmmk3)
2011-01-20 01:44:29
>emanonさん
ああ、そこら辺はわたしの勇み足の部分です。本来直すべきなんですけど。
公衆の定義が「不特定もしくは多数の者」であるため、一対一の契約であっても契約さえすれば人数がどんどん増えていく状況を「不特定の人」と定義し、自動公衆送信に当たるという解釈です。明らかに不利な側が言いそうな屁理屈ですが、今回の裁判官はそれを全面的に支持したということです。なので、個人利用に関しては現在適用のしようはなさそうです。
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Unknown (913d)
2011-01-20 01:50:52
私もあの判決文のくだりを読んだ瞬間「じゃあCATVもロケフリもアウトになるんじゃないの」と思ったんですが、間違いじゃなかったようですね。こういった場合一人くらい反対意見が出そうなものなのですが全会一致というのが驚異です。
これまで難視聴地域対策の共同アンテナ整備を強調していた総務省もその存在を最高裁によって否定された以上、アナログ停波までにすべての共同アンテナを撤去させなければなりません。テレビ局側も勝った勝ったと喜んでいるようですが、難視聴地域が一切存在しないように基地局を整備する義務が生じましたね。なにせ共同アンテナでの受信は違法なんですから。さてさて、アナログ停波までに間に合いますかね。何にしてもテレビ局側が望んだ判決です。判決に従って法則局としての責任を全うしていただきたいものです。
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訂正 (913d)
2011-01-20 02:05:40
誤)判決に従って法則局としての責任を全うしていただきたいものです。
正)判決に従って放送局としての責任を全うしていただきたいものです。

法則局ってなんなんだw
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Unknown (emanon)
2011-01-20 02:22:36
 個人が撮影した物意外とか 捜査目的のため動画送信内容を傍受複合ののち検閲 こんな感じの文章がこの先入らないといいですね
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Unknown (容堂)
2011-01-20 02:26:07
ケーブルテレビも光ファイバーも共同アンテナもダメとなると、テレビ局はいったい誰に
見てもらいたいんですかね。
視聴者ゼロでもいいからデムパ出させろってことなんでしょうか(笑)

騒音撒き散らして走りまくっている暴走族並のこの低脳さ加減には、もはや呆れるより
ほかにない。


>判決は個人同士による番組転送まで違法としているわけではない

この件ですが、つまり「一対多」にさえならなければいいってことなんですかね?
たとえばまねきTVさんが

「この部屋のここだけ使いたいのならば月3000円払ってくれたらこの一角の所有権は
あなたの所有権にしてあげるから、自由にしていいよ」

というような、マンションの切り売りサービスみたいな感じの「不動産業」のみを行って

「水道引きたきゃ水道を、電気引きたきゃ電気を、ネット回線引きたきゃネット回線を、
個人名義でどうぞご自由に引いてください。
所有権は、あなたにありますから」

として、個人名義で電力会社やプロバイダーと契約して、個人的な配信をする。
この場合はどうなんだろう?

あるいは、個人ですべて一から用意すると大変なので、まねきTVさんが大口契約を
して、それぞれの利用者に格安で電力契約を結ぶとか。
(ネット回線は共有するとアウトっぽいのでとりあえず契約者ごとに各自で用意)

これでも「一対多」?
それとも個人の敷地から同じ名義の別の個人の敷地に個人的な利用目的で通信して
いるにすぎない「一対一」?

なんか逃げ道はあるような…


ところでSKnetがやってくれました(笑)

SKnet、iPhoneなどにTV映像をネット配信する「DIGIZON」
-iOS/Android/PC対応。技術サポート無しで23,500円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20110119_421321.html

すばらしい空気の読まなさっぷり(笑)
さすがSKnet。
GJ!!

返信する
Unknown (emanon)
2011-01-20 05:48:09
 Winモバイルがな~い その辺は何とかしてくれなイカ
アンドロイドほすい 買い時はいつ?
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Unknown ()
2011-01-20 08:14:04
そもそもの問題として、このインターネット全盛の時代に個人向けロケーションフリー機材が出来たことで、それを拡大解釈して機器管理者を国内に置くこのサービスができたわけですよね

その場合、なぜこのサービスが存続できるかの方が重要な気がしてならんのですが

こんな有料ロケフリサービスが存続できるのは、単にテレビ局がロケフリをやらないからなわけで、テレビ局が(利用者にとって)現実的な価格でロケフリを始めれば、必然的に採算が合わず消えていくはずのサービスなんですよね
でも、実際にタイムシフト・ロケフリに相当するサービスをやっているのはNHKオンデマンドと一部のニュースと、スポンサーに動画配信サービスのあるアニメ・ドラマのみ?
まずここからどうにかしたほうが良いと思うのは気のせいなのかなぁ

因みに、この判決自体はあくまで差し戻しですから、あとは高等裁判所次第ですよね
こんな寒い時期じゃなければ表でデモ行進でも先導するのも良いかもしれない(ぉ
まぁ、日本はそっち方面じゃ無気力なので、ネットで呼びかけたくらいじゃ何も起きないでしょうけどね
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Unknown (komeya)
2011-01-20 08:59:26
今回の判決は私も不当だと思いますし、共同アンテナの件に関しては同意できます。
が、ケーブルテレビやインターネット配信サービスについては違うのではないでしょうか?

私は専門家ではないので正確なことは申せませんが、原文を見る限り、放送局が許可を与えた配信者の送信可能化権を否定しているものではないと解します。とすると、ケーブルテレビやインターネット配信サービスが放送局に許可を得ず情報を送信していない限りは問題ないことになります。
(共同アンテナに関しては、第二十三条と第三十八条のどちらが優先されるのかわからないですが)

参考までに、下記に要約と判決文のpdfのリンクが示されております。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/19/news076.html
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Unknown (aetos)
2011-01-20 10:36:02
ちょっとまってくださいよこれ。

つまり、「誰でも申し込めるサービスで、公衆回線を使って、他人の著作物を、自分しか受信できない状態で送信してもアウト」なんですね。
ってことは、TV に限らず、あらゆるオンラインストレージに他人の著作物をアップロードするだけで(公開していなくても)引っかかりませんか。

って、前にそんな騒ぎがあったような気も。
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