超額縁放送、と録画マニアが呼ぶ現象がある。正式にそういう名前の放送方式がある
わけではないが、そう表現するしかない画面は、確かに地上デジタル放送に存在する。
最近の映画は大抵「ビスタサイズ」と呼ばれる1:1.37程度のタテヨコ比率で画角が取
られる。「シネマスコープ」になると、1:2~2.35と、さらに横幅が広くなる。
一般的なテレビは4:3なので、全く比率が合わない。そのため、最初のうちは左右が
カットされて放送されたり、タイトルやキャスト一覧部分では無理矢理全部画面を収
めたので極端にタテ長になったりする画角がよくみられた。いずれも画面が正確では
ないため、レンタルビデオなどで映画を観る人が増えるにしたがい、テレビ画面いっ
ぱいに表示するよりも上下をカットして画面を小さくしてでも全ての画面を正確に表
示させる方式が使われるようになった。これがレターボックスである。
ただ、レターボックスは主に市販ソフトに使われ、テレビ放送の映画は左右カット版
が引き続き採用され続けた。この画角の違いが、ある種テレビと市販ソフトの差別化
になっていた。
ところが、映画ソフトの提供が、4:3を大前提としたVHSビデオやレーザーディス
クから、16:9の情報も埋め込めるDVDに移行したため、レターボックスは市販ソフト
には必要なくなってきた。その代わりに、なぜかテレビ放送でレターボックスが採用
されるようになってきた。このあたりから、映画どころか通常の放送のくせにレター
ボックスで放送される番組すら出てきた。レターボックスになると画面が小さくなる
ため、16:9画面をNTSC目一杯の解像度で表現できるDVDと比べて大幅に画質が悪く
なり、市販ソフトとの差別化・・・と、いうより、通常放送の保存価値を落とすことに
よる市販ソフト売り上げ向上の手段として使われていった。
やがて、デジタル放送に16:9の画角が採用されたことにより、本来レターボック
スは不要になっていくはずである。4:3が使われるアナログ放送はともかく、デジタ
ル放送ならばほぼ一杯の画面表示が可能なはず。今まで横長になることにより、小さ
くなったり甘くぼけてしまった画質が、デジタル放送により、キッチリとした一杯の
画質になるはず・・・。みんな、そう思っていた。
ところが、かなりの放送が一杯の画質になるどころか、アナログ放送より左右に広く
なった分を、単に真っ黒にして、画面の真ん中にポツンと表示する方式になって
しまっている。レターボックスで上下も真っ黒、横長部分も引き伸ばさずに単に
真っ黒。あたかも真っ黒ででっかい額縁の中に番組がポツンと映っている様子。
「超額縁放送」の誕生である。PARADE X PARADEさんによると、映画だけ
でなく、アニメなど、通常の放送ですらこの現象がある、とのこと。まさに画質の
無駄遣い。
とりあえず、テレビ局側のいいわけとしては「アナログ放送との兼ね合いがある」た
め。つまり、アナログとデジタルで同じ映像データを流用して放送するため、デジ
タル放送が額縁になってしまう、ということだろう。しかも、そういう放送は100%
SD画質。拡大しても、DVDよりはるかに解像度が落ちる映像でしかない。こんな
画質なら、わざわざ不便なデジタル放送である必要はないわけだ。
単純にそれだけ、と割り切るには放送機材の問題などもあるようだが、放送と市販
ソフトの差別化という目的も多分にあるのだろう。
だが、いずれアナログ放送は終わる。政府が意地でも終わらせるだろう。デジタル化
で放送が見られなくなろうが、どうなろうが、国民よりも自分たちの方針を貫くこ
との方が重要なので、絶対に予定通り終わらせるはずだ。見られない奴は、買わない
のが悪い、という責任転嫁をするだろう。
そうなったら、今度こそレターボックス、つまり超額縁放送の理由が無くなる。それ
でも、「まだまだ4:3のテレビを持っている人はたくさんいる」としてしばらく超額縁
放送は続くのだろうか? なんとかして放送と市販ソフトの差別化は続けられるはず
だ。自由な録画を阻害する方式は、その一環であるわけだが、それだけでは不十分
と思うはず。新しい差別化を思いつくはずだ。
次世代DVDで発売される番組に限り、画質がSDのまま、というのが考えられる。が、
画質には意外とこだわらない人も多い。決定打にはならないだろう。
わたしが一番ひどくて影響力が大きい、と考えるのは、CMの悪用。以前噂にあがっ
た、CMを飛ばせない技術を使い、視聴を邪魔してくるだろう。解除にはテレビ局側
にお金を払う必要がある。市販ソフトを買わない、録画マニアからもお金が取れて
放送局は万々歳だ。
なぜか、技術が進めば進むほど不便になる、それが録画に対する放送の対応だ。
超額縁放送など、過渡期の一対応方法にすぎない。だが、デジタル放送に超額縁放送
というものがあるということは、いつまでも放送は市販ソフトに劣らなければならな
いとする放送側の考えがあるということの間違いない証拠である。これ以上DVD購入
を前提とした番組作りは、正直やめて欲しい。そんなことより、もっと便利に録画
出来る方式を導入して欲しい。そう考えている人は決して少なくないはずだが、
どうだろうか?
わけではないが、そう表現するしかない画面は、確かに地上デジタル放送に存在する。
最近の映画は大抵「ビスタサイズ」と呼ばれる1:1.37程度のタテヨコ比率で画角が取
られる。「シネマスコープ」になると、1:2~2.35と、さらに横幅が広くなる。
一般的なテレビは4:3なので、全く比率が合わない。そのため、最初のうちは左右が
カットされて放送されたり、タイトルやキャスト一覧部分では無理矢理全部画面を収
めたので極端にタテ長になったりする画角がよくみられた。いずれも画面が正確では
ないため、レンタルビデオなどで映画を観る人が増えるにしたがい、テレビ画面いっ
ぱいに表示するよりも上下をカットして画面を小さくしてでも全ての画面を正確に表
示させる方式が使われるようになった。これがレターボックスである。
ただ、レターボックスは主に市販ソフトに使われ、テレビ放送の映画は左右カット版
が引き続き採用され続けた。この画角の違いが、ある種テレビと市販ソフトの差別化
になっていた。
ところが、映画ソフトの提供が、4:3を大前提としたVHSビデオやレーザーディス
クから、16:9の情報も埋め込めるDVDに移行したため、レターボックスは市販ソフト
には必要なくなってきた。その代わりに、なぜかテレビ放送でレターボックスが採用
されるようになってきた。このあたりから、映画どころか通常の放送のくせにレター
ボックスで放送される番組すら出てきた。レターボックスになると画面が小さくなる
ため、16:9画面をNTSC目一杯の解像度で表現できるDVDと比べて大幅に画質が悪く
なり、市販ソフトとの差別化・・・と、いうより、通常放送の保存価値を落とすことに
よる市販ソフト売り上げ向上の手段として使われていった。
やがて、デジタル放送に16:9の画角が採用されたことにより、本来レターボック
スは不要になっていくはずである。4:3が使われるアナログ放送はともかく、デジタ
ル放送ならばほぼ一杯の画面表示が可能なはず。今まで横長になることにより、小さ
くなったり甘くぼけてしまった画質が、デジタル放送により、キッチリとした一杯の
画質になるはず・・・。みんな、そう思っていた。
ところが、かなりの放送が一杯の画質になるどころか、アナログ放送より左右に広く
なった分を、単に真っ黒にして、画面の真ん中にポツンと表示する方式になって
しまっている。レターボックスで上下も真っ黒、横長部分も引き伸ばさずに単に
真っ黒。あたかも真っ黒ででっかい額縁の中に番組がポツンと映っている様子。
「超額縁放送」の誕生である。PARADE X PARADEさんによると、映画だけ
でなく、アニメなど、通常の放送ですらこの現象がある、とのこと。まさに画質の
無駄遣い。
とりあえず、テレビ局側のいいわけとしては「アナログ放送との兼ね合いがある」た
め。つまり、アナログとデジタルで同じ映像データを流用して放送するため、デジ
タル放送が額縁になってしまう、ということだろう。しかも、そういう放送は100%
SD画質。拡大しても、DVDよりはるかに解像度が落ちる映像でしかない。こんな
画質なら、わざわざ不便なデジタル放送である必要はないわけだ。
単純にそれだけ、と割り切るには放送機材の問題などもあるようだが、放送と市販
ソフトの差別化という目的も多分にあるのだろう。
だが、いずれアナログ放送は終わる。政府が意地でも終わらせるだろう。デジタル化
で放送が見られなくなろうが、どうなろうが、国民よりも自分たちの方針を貫くこ
との方が重要なので、絶対に予定通り終わらせるはずだ。見られない奴は、買わない
のが悪い、という責任転嫁をするだろう。
そうなったら、今度こそレターボックス、つまり超額縁放送の理由が無くなる。それ
でも、「まだまだ4:3のテレビを持っている人はたくさんいる」としてしばらく超額縁
放送は続くのだろうか? なんとかして放送と市販ソフトの差別化は続けられるはず
だ。自由な録画を阻害する方式は、その一環であるわけだが、それだけでは不十分
と思うはず。新しい差別化を思いつくはずだ。
次世代DVDで発売される番組に限り、画質がSDのまま、というのが考えられる。が、
画質には意外とこだわらない人も多い。決定打にはならないだろう。
わたしが一番ひどくて影響力が大きい、と考えるのは、CMの悪用。以前噂にあがっ
た、CMを飛ばせない技術を使い、視聴を邪魔してくるだろう。解除にはテレビ局側
にお金を払う必要がある。市販ソフトを買わない、録画マニアからもお金が取れて
放送局は万々歳だ。
なぜか、技術が進めば進むほど不便になる、それが録画に対する放送の対応だ。
超額縁放送など、過渡期の一対応方法にすぎない。だが、デジタル放送に超額縁放送
というものがあるということは、いつまでも放送は市販ソフトに劣らなければならな
いとする放送側の考えがあるということの間違いない証拠である。これ以上DVD購入
を前提とした番組作りは、正直やめて欲しい。そんなことより、もっと便利に録画
出来る方式を導入して欲しい。そう考えている人は決して少なくないはずだが、
どうだろうか?
内容はちょこっと難しいですが勉強になりました。
ジブリやNANAを放送している日本テレビは完全にDVD購入を前提とした放送でしょうね。
私の場合購入意欲は逆に落ちてしまいますが…(;^_^A アセアセ…
放送局によって画質に対するこだわりは違うのでしょうか。そこら辺調べてみると、アナログ時代には分からなかった裏が透けて見えたりして、面白いのかも知れませんね。
そうゆう意味では放送側の意図ではなく、供給側の意図でって感じです
特に、アニメに関しては、フィルムをHD用にデジタル化をしないと行けないので、DVDが出てるモノに関してはSDのデジタル化したものだけがあり、HDでのスキャンは企画段階でこれからって可能性も加味しないとじゃないかと・・・^^;
アニメにしましても、例えばわたしが何度も録画に失敗した「デモンベイン」のように、WOWOWではHD化することなく、なおかつD3端子には16:9、それ以外はレターボックスになるように信号で判断する方式を採用していますから、わざわざアナログとデジタルで別の素材を用意する必要もないんじゃないかと思ってます。
ただ、ちょっとテレビ放送に対して批判的すぎましたね。そこら辺は反省します。
よく言われているDVDを売るためにって言うのよりも、供給側と放送側の機器などが放送の契約に一致しないために起きている部分も有るのではないかと考えてます。
デジタルシネマで使われている再生機器を導入してあれば良いのですが、それも数社がしのぎを削ってますので・・・
洋画のHD放送が比較的多いのもそこら辺じゃないかなっとww
政治的な部分よりも、物理的な部分の方がわかりやすいのでww
面白い話をありがとうございます。また、ご教授お願いします。
確かに、あんな小さい画面では、近づきたくなりますよね。気がつきませんでした。アナログ放送ならばテレビの機能で拡大も可能ですけど、デジタルは出来ないんでしたっけ?
そうなると、デジタルの額縁は、本当に問題のある行為なんですね。
やはりデジタルはズームできないのですか。それでは、アナログよりも画質は劣ってしまいますね。トトロも根強い人気があるのに、額縁扱いでは、がっかりした人も多いでしょうに。今回の記事タイトルでもありますけど、本当超額縁放送はいつまで続くんでしょうね。少なくとも、視聴者には一利もありませんしね。