録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

まねきTV裁判ついに終わる 結果は最高裁の上告棄却

2013-02-16 21:42:25 | 次世代ビデオへの懸念
「ロクラク裁判」とならんで地上波放送のネット経由の再送信事業を違法とすべくテレビ局が連合で起こした裁判として、おそらく将来も記録に残るであろう「まねきTV裁判」が、去る2月14日に当事者のまねきTVがサイト

平成25年2月14日 最高裁で上告が棄却されました。
新システムのサービスに付いても全サービスを終了致します。


のメッセージを出すことにより、ついに決着しました。つまり、テレビ局側の完全勝訴で、まねきTV自体がつぶされることになったのです。
ロクラク裁判や他の裁判でも放送局側・著作権側の切り札として使われ、本来の筋とはねじまがった理論で無敵を誇った「カラオケ法理」すら通用しなかったまねきTV裁判。これをつぶすのにテレビ局側がとった戦略は、裁判を途切れずに続けることでした。大企業が中小企業をつぶすため、弁護料など裁判にかかる費用で経営を圧迫させ、つぶす。古く汚いですがきわめて効果の高いこの手で追い詰め、最後にはとうとうかの田原睦夫裁判長が審議する最高裁で「公衆送信権の侵害」という新しい理論で差し戻しを行い、結果まねきTVは敗北しました。それでも送り元を光を使った受信に変え、上告を申請してなおサービスを続けようとしていたのですが、これにてあえなく終了となりました。

今や世界のテレビ界は大きく動いています。専門家ではないのでえ詳しいことはわかりませんが、影響力のあるテレビ局は単にテレビに放送を映し出すだけでなく、多方面からの情報発信に手を広げています。そうでないところは専門職を強め、顧客もテレビをすでに地上波を映すためのものとしては見ていない傾向にあるようです。その一方で、今なお「テレビとは地上波放送のことであり、地上波放送が映る先はテレビである」という前世紀の遺物を守り続けるわれらが日本の放送局、手を広げるのもイベントの開催や不動産事業と言った報道と無関係のところばかりです。その奇妙な体系維持のために小さな会社のサービスすらこうしてつぶされました。もっとも、そうしてでもみたい、と思わせるだけの番組が提供されているということもまた事実であり、日本の放送局が諸外国に比べても高品質番組を作らせるノウハウを今なお保有しているということでもあります。ですが、それを見せようとしないということは、「視聴者が見たいものを見せる」のではなく、「番組送信者が見せたいものを見せる」のが地上波放送の実態であるということではないでしょうか。

おそらくこのまま日本のテレビ業界は諸外国と異なる方向へどんどん向いていくことでしょう。それはテレビを作る側としても今とりつつある戦略である「外国向けに作ったテレビを日本でも販売する」を大きく覆すことになってしまいます。そのうち日本のメーカーなのに日本ではテレビを売らず、海外事業でのみテレビを設計・製造・販売するのがふつうになっていくかも知れません。「ガラパゴス」と言えば日本向け携帯電話を揶揄する言葉ですが、もはやテレビこそ日本のガラパゴスと呼ぶべきでしょう。ただ、携帯電話のガラパゴスが独自であっても高機能高性能な進化だったのに対し、テレビガラパゴスは「無料でもスクランブル放送、再送信却下、審査機関による受信機販売制限、録画規制」という消費者がだれも望んでいない明後日の方向への進化になっていますが。

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6 コメント

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Unknown (Piichan)
2013-02-17 13:38:35
著作権でまもられるということは言論・表現の自由をまもる責務も発生するとおもうのですが、日本のコン
テンツ事業者のほとんどはそれを理解していないとおもいます。

新聞業界は新聞に消費税の軽減税率を適用してもらおうとしていますが、経営合理化、保有する放送局の株式の放出、記者クラブ制度廃止などをやらないとうけいれられないでしょう。
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Unknown (krmmk3)
2013-02-17 23:20:18
>Piichanさん
いやー、権利だけ通して義務や責任は放棄、他者に押し付けというのはある意味伝統芸能じゃないですか。
「米・味噌・醤油・新聞は軽減税率にすべし」って主張でしたっけ(笑)。どっかの法律で新聞とテレビだけが報道機関として特別扱いになってますから、あの法律がある以上反省などありえないでしょう。
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某大手新聞社が危ない発言 (Unknown)
2013-02-19 00:03:31

朝日新聞の社長が、年頭に某大手新聞社の経営が危ない
と発言したらしいですね。

押し紙問題(某新聞社は7割超)もあるし、
増税なら、新聞業界もいよいよ消滅危機でしょう。
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Unknown (chibalife)
2013-02-19 13:44:44
>>おそらくこのまま日本のテレビ業界は諸外国と異なる方向へどんどん向いていくことでしょう。

上手い!
まさにこの1文に、これからのテレビ業界の行く末が集約されています。
確かに短期的には、確固たる権力を得た価値になりますが、
中長期的には体力を消耗し続けながらの権力維持なので、末路は薄々と想像できるものです。
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テレビの前にラジオが危ない (Unknown)
2013-02-19 15:53:51

現時点で、radiko に参加していないラジオ局は相当やばい

一部の県は、NHKのラジオしか聴けなくなるかも
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Unknown (krmmk3)
2013-02-19 22:37:32
>2013-02-19 00:03:31さん
自分のところではない、と言いたかっただけかも。多分増税が決まったら、その前に値上げするでしょうね、新聞の購読料。

>chibalifeさん
実際今の調子では本当に何も出来ませんから、諸外国とは全く異なる方向に向かうか、一歩も動かないかの2択しかなくなってますからね。テレビメーカーの体力の消耗と合わせたら衰退以外の道はないです。
ちなみにGoogleで"末路"と検索すると、関連検索キーワードに当ブログの名が出る(^^;)

>2013-02-19 15:53:51さん
ラジオはもういっぱいいっぱいなんじゃないでしょうかね。だからと言って災害時のことを考えるとつぶすわけにもいかないので、局は減るでしょうが、総務省あたりが音頭をとって無理やりどこか地域内の企業に押し付けてでも存続させるんじゃないでしょうか。
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