録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

外れたから言うんじゃありませんが、83.8%の地デジ普及率がほぼあり得ないわけ

2010-05-25 21:39:38 | 次世代ビデオへの懸念
今朝、大急ぎで書きましたが、わたしが一年も前からその普及率の「いい加減さ」を指摘し、今度の発表はその法則に従って"78.2%"と予想した、この3月末での地デジ普及率。いただいたコメントには78.2%は発表できる最低限の数字でしかないので、順調ぶりをアピールするためにもう2~3%程度は上乗せしてくるのでは、という予想もあり、蓋が開くのを楽しみにしていたのですが、その結果はなんと83.8%という、予想をはるかに上回る上昇ぶり。一番詳しいのは産経新聞の記事のようですが。

地デジ普及率、80%突破 エコポイント貢献、政府目標上回る

おかしいですねぇ、前回9月時点での普及率を69.5%と発表した(これは予想のレール通り)ときは「エコポイント利用の多くは2台目、3台目の購入だったようだ」と、総務省も効果が薄いことを認めていたのですが。

で、まずは予想が大幅に外れたことを謝罪します。いい加減な予想をして、申し訳ありません。

で、その上で、83.8%という数字が如何に無理のある数字かを、資料と大味な計算で出してみようではありませんか。せめて言い訳だけでもさせてください。ね?


真っ先にこの件を取り上げたブログとして「バッファローダイレクトのスタッフ日記」があります。日頃の売れ行きからみて、地デジがこれだけ普及していると言われることがちょっと信じられないのでしょうね。なお、この記事の中で「10件のお宅を電撃訪問したとすると、その内8軒強に普及していると言う事」と書いていますが、実際はそんな甘い話じゃないですよ。このパーセンテージが本当ならば、ほぼ100%普及していると言っても過言ではないのです。なぜならば、世の中にはまだ絶対に地デジが普及できない、というより視ることのできない"難視聴地域"が存在するからです。
一口に難視聴地域と言っても、二種類存在します。一つは、都市部のビルなどによる電波攪乱が影響する難視聴地域。これは主に共同アンテナやケーブルテレビで視聴することになりますが、ご存じの通り、昨年の後半あたりから総務省やDpaは地デジが普及しない最大の原因を共同アンテナの不整備と定め、対策を珍しくも一所懸命やっています。が、例え計画通りに進んだとしても、3月の時点で50%にしかなりません。共同アンテナ視聴世帯は606万世帯、数えやすく600万世帯としても、300万世帯がまだ視聴できないわけです。日本の世帯数約5000万世帯として、6%に相当します。普及率が83.8%ならば、まだ視聴できない世帯は16.2%。そのうち6%が消えて、もう10%しか残っていません。
ここで第二の難視聴地域が出てきます。これは簡単に言えばまだ中継基地ができておらず、電波が届かない地域です。これを調べるには、総務省の資料を見ることにしましょう。以下のものを参考にしました。

地上デジタルテレビ放送中継局ロードマップ(最終更新2010.3.31)


実際に各地域ごとに開いてみるとわかりますが、必要な中継基地のうち、日付のはっきりしているものと"2010年"としか書いていないもの、"非該当地域"とあるもの、"置局不要"とあるものの4種類があります。3月31日時点での更新ですので、普及率の調査と同時の資料と考えて問題ないでしょう。全県の日本放送協会の管理番号をイコール中継局および設置予定地区と見なし、その数を数えるととざっと2695の地域に分かれています。そのうち"非該当地域"と"置局不要"は中継基地完成に準ずる扱いとして足していくと、対策済み地域は1632、未対策は1063です。なんと、まだ60%しか終わっていません。ただ、日本は45%しかない平野部に91%以上の人口が集中し、残り55%の山間部には8%少々の人しか住んでいません。その差11.5倍にも及びます。なので、すでに対策してある基地で人口密度の高い平野部は全てフォロー済み、残りは山間部のみ、と考えて問題なしです。一部の山間部はすでに対策済みと思われますので、設置済み地域と非設置地域の差を11.5倍より縮めて9倍とし、その視聴不可地域の世帯数(人口密度と世帯数をごっちゃにしているのは問題がありますが、他に手もないので)は、やはり3330万世帯ほど、6.66(6.7)%です。

先の都市部の難視聴地域と山間部の非視聴地域を足すと12.7%、残りはたったの3.5%しかありません。つまり、「本当はすぐにでも地デジを入れたいのだけど、電波のせいで移行したくてもできないんだ」という理由のある人を除いてまだ移行していない人は、移行者のたった1/23しかいない、と総務省は言っているのです。10件に8件移行済みどころの話ではなく、24件に23件なんです。ありえねぇ~~~!

ただ、おそらく総務省は、はじめから電波が届かないことは分かっている山間部をそもそも数に入れずに計算したと、わたしは考えています。共同アンテナ非整備地区は数に入れ、それに該当したらすぐに担当者を派遣するような、対策も兼ねているのではないかと思います。なぜなら、非視聴地域の人口6.7%を引けば、視聴可能地域は93.3%になるからです。その93.3%に83.8%をかけると、なんとわたしの予想した78.2%にほぼなっちゃうんです(笑)。いやね、さすがに今回はこじつけですよ。ただ、まともに電波が届かない地域のことを考えたら、83.8%なんて数字は恥ずかしくて発表できませんし、なんでこんな阿呆な結果を出したのかなぁって逆算したら、こうなっちゃったもんで。個人的には多めに考えて63~64%がいいところではないかと思っています。

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14 コメント

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Unknown (913d)
2010-05-25 22:17:35
いろいろとトリックを使っていそうですね。近所の方なのですが家にあるテレビ5台ををすべて一気に地デジ対応に買い換えたそうです。それを数字上は5世帯にカウントすれば世帯普及率は一気に上昇しますね(笑)また、私の加入しているCATVもデジアナ変換に対応しましたがこれでアナログ専用機も地デジ対応としてカウントできます・・・ってこれはいくらなんでも勘ぐり過ぎですかね。
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Unknown (arpus)
2010-05-26 09:08:18
エコ替えで入れ替えされて破棄された分は普及率に残るんでしょうね。このご時世で積極的に買い換える世帯とまだまだ様子見あるいは経済的に難しい世帯の二極化は進んでいるはずですから。
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Unknown (Unknown)
2010-05-26 13:40:05
どう見ても今までカウントしていたか怪しい単体チューナーとレコーダーとPCチューナーを計算に入れている気がする

あとは、チューナー数で計算してるとか・・・
最近は録画機能付きのテレビに3チューナーとか付いてるし(w
まぁ、そこまで乱暴ではないでしょうけどね

春ごろからテレビショッピングに出てきたワンセグテレビがカウントされてたら流石に突っ込む
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Unknown (krmmk3)
2010-05-27 00:01:31
>913dさん
そういうカウントは一応していないはずなんです。どこでやっているのかさっぱり分かりませんが、アンケートを郵送してもらうやり方らしいですよ。もちろん以前から省庁の公開するアンケートは「結果ありき」なので全く信用できませんけど。PSE法の時にはあきれました。

>arpusさん
多いところでは、すでに2代目3代目のデジタルテレビが入っているでしょうね、真っ先に飛びつくような先行導入層が旧式で満足し続けるわけないですし。
ただ、3D映像のことを考えると、当分テレビに飛びつくのは損だと考えるわたしは、未だHDのブラウン管。

>2010-05-26 13:40:05さん
単体チューナーやPCチューナーはデジタル放送が受信できますから、当然カウントされるでしょう。
ワンセグも、回答にそれがあるのならば集計の対象でしょうね。回答用紙見たことないですけど。

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浸透度調査結果 (KCC)
2010-05-27 18:35:30
普及率が発表された元資料と鳴る平成22年3月の浸透度調査の結果が総務省サイトに掲載されています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000067968.pdf

世帯普及率は、「対応テレビ・録画機・チューナー・PC・STBのうちいずれか所有」となっていますので、単体チューナーやPCチューナーは当然カウントされています。

ワンセグは保有していない理由に「携帯電話(ワンセグ)などで十分」があるため、設問の趣旨としてはノーカウントになるべきですが、回答用紙の設問がこの資料通りであるとした場合、機器の所有にワンセグが入るのかは記入者任せになるため、ワンセグを「対応テレビ」として誤記入しているかもしれません。

既に廃棄された対応機器は当然ノーカウントですが、買い換えしていればその買い換え後の機器でカウントされます。

friioやPT2のようにJEITAやNHKの出荷実績にならない物でも、回答者が「対応機器である」と認識していれば対象に入ります。

数値の水増しの方法については、いくつか考えられます。
・市外局番と市内局番で地域を選択する際、難視聴地域を対象から外す
・電話で対象世帯を選んだ際、機器を所有していない所の一部を調査対象にせず、調査票を送らない
・機器を所有していない所の一部を有効回答としない。(結果には有効回答数はあっても有効回答率や対象世帯数がない)
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Unknown (Unknown)
2010-05-27 18:48:26
別に単体チューナーやPCチューナーがカウントされてもいいんじゃないのかな?
「地デジ対応液晶テレビ」である必要はないと思うんだけども。
「地デジ普及率」なんだから。
見れれば一緒だし・・・
自分もPT1で地デジ放送見ている人間なんで・・・

こういう意見がこちらの趣旨にそぐわなかったらスミマセンm_ _m
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Unknown (Unknown)
2010-05-27 22:50:21
世帯分離が増えてるらしいので地デジを持ってる人が世代を分けたのを狙ってアンケートを送れば普及率は増えるなとか邪推してしまいます。国なら対象を特定できそうですし。。。
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Unknown (aetos)
2010-05-28 19:14:32
ご存知かもしれませんがタレコミです。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1005/28/news089.html
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Unknown (Unknown)
2010-05-28 20:16:11
多分あれでしょ地デジ契約世帯で出してるんだと思います.
最近の記事でこう言うのがありまして・・・
その方はTVは観ないので家に地デジ製品は置いてないので契約の義務はないと言われたそうなのですが,たまたまその時に手にしていた携帯電話をみて,それはワンセグ受信は可能ですかと訊かれたそうです.
その方はワンセグも見ないと言うことですが,訪問契約している方は観る観ないに関わらず受信機があるなら放送法により契約が必要と迫られ,契約となったそうです.
これを問い合せると受信機があるのなら観るか観ないかを部外者は判断出来ないので契約して頂く事になっているとの返答だったようです.

これは一理ありますから仕方ないでしょうけど,居間に鎮座してる地デジ機器だけではなくワンセグ携帯のみでも地デジ視聴契約が必要という点です.勿論これはフルセグかワンセグかの差しかありませんし,1世帯1契約なのでカウントされます.
携帯電話自体は今や世帯数より多い訳で,その8割程度がワンセグ機能付きです.つまりはワンセグ携帯が8割の世帯に普及していると見ていいと思います.

と言うことでこういう場合も含めて考えると,ほぼ視聴可能世帯には普及していると言ってもあながち間違いないと思います.ただしこれは誤解を含んでいるのも間違いないところです.まさかワンセグ受信のみの視聴(と言うか所持のみ)でも契約が必要だとは一般には知られていませんから.
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Unknown (krmmk3)
2010-05-28 21:47:19
>KCCさん
おっと、もう出てましたか、総務省の資料。
わたしの場合、その水増し理由に加えて「理想的普及率上昇になっているはずの最低数字」を基準にした疑惑をあげています。

>2010-05-27 18:48:26さん
いえいえ、わたしもそう思いますよ。ワンセグは苦しくても、単体チューナーやレコーダーは立派な受信機です。
ただ、FriioやPT1/2しか持っていない人が、果たして「持っている」とアンケートなどで回答するかどうかは疑問ですね。

>2010-05-27 22:50:21さん
さすがにそこまで細かく対応はしてないんじゃないですかね。数字を合わせるためにアンケートの一部の無かったことにする、くらいがせいぜいでしょう。

>aetosさん
はい、書こうかと思ったんですが、昨日は「今日はサボる!」と決めちゃっていたので、旬を過ぎたので書くのやめました(笑)

>2010-05-28 20:16:11さん
ワンセグ機って、そんなに売れてますかねぇ。わたしも持ってますけど、電波が届かないのでほとんど視聴したこと無いのですが。
さすがのわたしもワンセグ付きの携帯電話を持っているだけで契約の対象、には違和感を覚えますね。
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