あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

気分転換

2022-05-01 13:00:01 | 旅する

日々、心と体に生じた歪のようなものが積み重なっていく。週末に仕事の遅れを挽回しようと思うものの気持ちが乗らず、歪は解消しないばかりか余計に大きくなっていく。最近はそんなことの繰り返しだ。気持ちだけでも切り替えられたらと遠出をしようにも、年老いた母を一人家に置くのが不安でそれも叶わない。

連休初日、午後から雨が降ると知りつつも思い切って出掛けた。

動画はこちら「前橋への日帰り旅

前橋には何度か訪れたことがあるけど、いずれもどこかに行ったついでに立ち寄るくらいだった。日帰りで行ける場所を選ぶ中で、何となく選択肢を絞り込む中で行先を選んだ。行く日を決めたのもそんな感じで、あれこれ考えると連休中の他の日では出掛けられないだろうと。そう思い込むのは僕の癖というか、ある種の病気のようなものなのかなと思ったりするけど、これからもその癖と上手く付き合っていくしかない。

上野から新幹線で高崎まで行き、バスに乗り換え前橋に向かう。JRでも行けるけど、バスの車窓を楽しんでみたかった。そして、一つ目の目的地近くまで直接行けるのがいいかなと。

群馬県庁近くでバスを降り、前橋公園の緑と鳥の囀りを心地よく感じながら臨江閣に向かった。

数年前に放送されたドラマに登場した臨江閣、いつか訪ねてみたいと思っていた。一昨年の秋に軽井沢を訪れた帰りに立ち寄った時には忘れていたのか時間がなかったのか、その機会を逃していた。

建築の専門家ではないけど、造りについてよりもそのスケールの大きさに興味を持った。そして、この建物を維持管理されている街の人たちに頭が下がる。そんな気持ちでボランティアの方(?)に会釈をして建物を後にした。

家からでも少し足を伸ばせば川沿いを散策することは出来るけど、たまには違う景色を眺めたい。訪れる前に地図で確認した川沿いの散策路に向かった。

水の流れる音、風に揺れる木々の騒めき。無心にはなれなかったけど、気持ちは歩く方向と同じく前へと向かっている、向かうことができていることを実感しながら。

少し変わった魅力的な橋を見られただけでも、来てよかったと思えた。

そんな気持ちとともに川沿いを歩き続け、前橋文学館に辿り着いた。

こういう施設があることは事前に確認していたけど、文学への興味が薄いこともあり立ち寄る予定をしていなかった。まあ、散歩のような気ままな旅に予定などあってないようなものだけど。で、中に入ってみた。

当日は、詩人の岸田将幸さん、そして漫画家・イラストレーターの雨月衣さんの企画展が開催されていた。

お二人のことはここに来て初めて知った。知らないから立ち寄らないという選択肢もあったけど、気ままな旅だからこそ、立ち寄ってみよう。

岸田将幸さんは僕より一回りほど若い方だけど、彼のプロフィールを読み、そして彼が綴った言葉に触れ、より深くその言葉に触れ、噛み締めてみたいと思った。僕も随分と前、言葉で伝える仕事に携わったのをきっかけにその力や使い方を間違えた時の恐ろしさについて考え始めた。今もまだ言葉を駆使するところまでは行かないし、そんなところに辿り着くことは出来ないだろうと思うけど。

雨月衣さんは、かつて放送されていた『伊東家の食卓』でイラストを担当されていたという。その番組をかつて何度か視た程度の僕の記憶には残っていないのも当然だと開き直る訳ではないけど、そのキュートなイラストはどこかで見たことがあるような…と思えるものだった。

岸田将幸さんの企画展図録を購入し、館を後にする頃には小雨が降ってきた。

アーケードの商店街にあるお蕎麦屋さんで昼食を取り、中央前橋駅まで歩いて上毛電鉄線に乗った。

はじめは桐生まで乗って、再び前橋に戻るかまたは桐生から東武線で帰ろうかとも思っていたけど、帰りの時間を考えてほんの少し乗ってみることにした。そう思って地図で調べて「行ってみたい」と思える場所も見つけていたので。

二つ先の三俣駅から歩いて向かったのは、ハイノート前橋店。地方都市にこんな大きな文具店があるということに興味を持ち、訪ねてみたいと思った。雨は激しさを増していたけど、それでも興味の方が勝った。

店内に入ると、品数の豊富さに驚くとともに、各コーナーに添えられた店員さん手作りのPOPに興味をひかれた。どんな仕事でも本質的に楽しさを持ち合わせているものだと思うけど、これらのバナーを見ながら、店員さんたちの商品に対する愛情や、仕事をしている上での愉しみなどが感じられ、店内を歩いているだけでワクワクした。

もともと仕事で使うためのノートでも買っていこうかくらいは思っていたけど、こちらのディスプレイ・POPに惹かれて榛名山の方を購入した。どんなシチュエーションで使うか、今から楽しみだ。

お会計の時に店員さんに感想を伝えたら話が弾んだ。来てよかったなと思えたし、それこそ、充実した旅になった。

群馬に来たらいつか「朝鮮飯店」か「登利平」で食事をしたいと思っていて、「登利平」はお弁当を買って食べたことはあるものの、未だに、そして今回もそれは叶えられなかった。それはまた次の愉しみに取っておくとして、高崎駅で「鶏めし弁当」を購入した。売店のおばさんに「鶏めし弁当美味しいよねえ」と声を掛けられ、頷きながら急ぎ売店を後にして、高崎線のグリーン車に乗り込んだ。往きにほとんど読み進められなかった本をゆっくり読もうと思っていたけど、雨に濡れても窓の外が気になり結局往きと同じくらいしか読み進められなかった。もちろん、美味しい鶏めし弁当のせいもある(いい意味で)。

そんなに遠い場所でもないし、車でも来られるからと思っているとなかなか来られないものだけど、夏か秋にまた訪ねてみよう。次は雨ではなく晴れた日に。