あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

緩みつつ

2021-10-27 21:17:16 | 旅する

先週末、久しぶりに泊りがけで出掛けた。

緊急事態宣言が明けて気が緩んだ面はあるだろうけど、そもそもは贔屓のバレーボールチームのホームゲームを観に行くため、緊急事態宣言が明けるか否かに関係なく予定していた。だからいいとか悪いということを言うつもりはないけど。

電車の予約を入れた時は大半が空席だったのでそのつもりで乗り込んだら、かなりの混雑に不安を覚えた。コロナ以前だったら普通の光景だったものが、この間で意識が大きく変わったのもあるだろう。その気持ちを抱きながら、窓の外に広がる景色に気持ちを支えながらその時間を過ごした。

電車からバスに乗り継ぎ試合会場に到着すると、ここでは逆に人の少なさが気になった。我ながら「何とも身勝手な…」と思いながら、他の方との一定の距離が保たれた状態で安心して観戦することができた…けど、残念ながら試合は贔屓チームの勝利とはならなかった。

残念な気持ちと共に、帰りは歩いてホテルへと向かった。すると、そのホテルでもチェックインを待つ人が溢れていた。正直イライラしてしまったけど、それをフロントの人にぶつけるのは違うなと思ったのと、体温測定などそのオペレーション負担が増えていることも理解しなければいけない。

荷物を置き身軽になったところで、夕食の場所を探しに少し早めに部屋を出た。距離も近く、また開店まで時間があったけど、「もしかしたら行列が…」という不安が過ったので。

行きたかったお店は、オモウマい店で紹介されていた「騒ぐんじゃねえ!」のママさんがいる中華料理店。日立市にあるということで、観戦ついでに来てみようとその時から思っていた。同じように考えている人が体育館にいたかも…と思い、入れなかったらと思っていたけど、僕がお店を後にするまではそのような方は入ってこられなかった。

店に着くと2組のご家族が開店を待っていた。紹介されてから半年経ち落ち着いたのだろうか。それでも、楽しみに来られている人たちの様子を見ているだけで気分が高まる。

料理を待つ間、ママさんはお子さん連れには絵本を、そして、僕にはスポーツ新聞を持ってきてくれた。本当はそれほど読みたい訳ではなかったけど、お子さんのために絵本を読む親御さんの声をBGMにスポーツ新聞を眺める時間に温かみを感じた。その後、餃子をアテに遠慮なくビールと、ママさんおすすめの鶏入り焼きそばをいただいた。

お勘定の際に少し躊躇すると、例の「騒ぐんじゃねえ!」の一言をいただき、言われた通りに財布からお札だけを出した。その自分の躊躇いに後ろめたさを感じなくはなかったものの、ママさんの優しさを受け取りお店を後にした。

さて、翌日の試合は勝利し帰りの電車は気分よく…と行きたいところだったけど、途中から隣席に座った男性が感じ悪く、所要時間以上に長く感じられた。

マスクは外せないだろうけど、そして、元通りにはならないだろうけど、以前のような日常に少しでも近づいたらと願うばかりだ。

 

お時間がありましたら動画もご覧下さい:https://youtu.be/iINKrZmP8B0


Walls & Bridges

2021-10-10 18:47:26 | 美と戯れる

東京都美術館で開催されていた『Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる』、その最終日に会場を訪れた。

先日、朝の散歩途中に入口に掲示されていたポスターの、黄金色に輝く銀杏の葉ではしゃぐ子どもの写真に目が留まり、そして、そこに添えられた「壁は橋になる」という言葉が気になって、午後半休を取って来ようかとか考えていたものの、結局この日になった。

セレクトされた5名のアーティスト…と言っていいのか…それぞれが、あるきっかけで創作を始められたというエピソードが、それぞれの作品の展示に先立ち紹介されていた。その紹介文を読みながら、一人ひとりの人生をほんの少し想像してみた。

ある日、入所した老人ホームで園長から画材をプレゼントされたことをきっかけに絵を描き始めた人。

戦地で行方不明となった夫に、ダムに沈みゆく故郷の姿を伝えようとカメラのシャッターを押し続けた人。

家事や育児に追われながら、家族が寝静まった夜に広告のチラシの裏などに絵を描いた人。

ナチスの強制収容所に送られ、多くの人を見送った後に解放され、美術を学び創作を続けた人。

同じくナチスの強制収容所に送られるも脱走に成功し、各地を転々として辿り着いたニューヨークで困窮の中で手にしたカメラで映像を残した人。

「アーティスト」という言葉を言い淀んだけれど、彼ら・彼女らはその創作において間違いなくアーティストだと言える。そして、その作品はそうしたバックボーンを抜きにしても、観る者の心に迫ってくるものだった。

それでもやはり、それぞれの人生を想う。

最近は仕事に疲れ、テレビの前で居眠りしてしまうことも少なくない。50の手習いで始めた動画編集も最近はすっかりサボってしまっている。そして、このブログも…

いや、時間がないわけではない。表現したいと思う対象が見つからないのも、それを考えていないからだけなのかもしれない。彼らに比べれば断然恵まれた環境にいる僕だけど、創作に対する意欲は足元にも及ばない。

そんなことを思えたことも、この展示会の最終日に来ることができたからだと思う。

「時間があれば…」という言い訳に、往きに歩いてきた途中で見かけたこの言葉が浮かんだ。

You’ll never find a rainbow if you’re looking down.

孤独ではないものの、心は孤独を感じる中、坂本九さんの歌を口ずさんでみたくなった。そして、壁を橋に変えてみよう。今でなくてもいい。いつかきっと。