あしたはきっといい日

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雲海を観に行こう

2023-10-29 09:58:00 | 見つめる

先週くらいまで仕事が忙しくて…というか、これからも忙しさは変わらないけれど、休日出勤の振替で金曜日に休みを取り、長野まで出掛けた。

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仕事を終え、家で夕食を食べてから、22時少し前に車で出掛けた。20代から30代の頃はそんなの苦にならなかった。母や妹を連れて遠くに出掛けたりしていたけど、40代後半になるとだんだんと車の運転も億劫になり、あまり無理をしないようになっていた。ただ、この日は「雲海を観る」という目的を掲げていたのと、近くに前泊というのも難しいだろうと、深夜に車を走らせることにした。

仕事の疲れもあり、なるべく多めに休憩を挟むようにしたけど、それでも寄る年波には勝てず、100%回復には遠く及ばない程度でまた車を走らせた。

一般道も高速道路も、年度末でもないのにあちこちで工事をしていた。本来であればこれが通常の光景なのかもしれない。予算が余っているから年度末に消費するという考え方は今も残っていると思うけど、この国はもうそんなことを続けられるほどの余裕は持っていないし、人のやりくりも海外に頼らざるを得ないくらいだし。頼みの綱の海外からの労働者も今後が見通せないだろう。

さて、そこまで深くは考えなくとも、眠気覚ましもかねてあれこれ考えながら、3時少し前に現地の駐車場に到着した。すでに先客らしい車が何台も止まっていて、おおむね内側からガラスに目隠しをするなど万全の夜明かし対策が講じられていた。

そんな中、夜空を見上げると普段は見ることができない、たくさんの星が輝く光景が広がっていた。持参したコンパクトカメラに小さな三脚を繋ぎタイマーを使って撮ったものの、三脚とミラーレス一眼を持ってこなかったことは後悔した。車で来るんだから、それくらいの荷物が増えても大したことなかったのに…って。

さて、静まり返った駐車場に少しだけだけどシャッター音を響かせた後、僕は運転席の椅子を深めに倒し、持参したネックピローを普通の枕のように頭に敷いて横になった。疲れもあったのか案外眠ることができて、5時少し前に目覚ましが鳴るタイミングで目を覚ました。

ゴンドラのチケットを購入して乗り場まで歩く。思いのほか距離があったけど、体の芯から目覚めるにはちょうど良かったのかも。本格稼働する冬のスキーシーズンとは違うし、また週末とはいえ平日だったので、相乗りではなく一人で乗せてもらえた。上を眺めても暗くてよく見えなかったけど、麓側の目の前には今まさに太陽が昇って来ようかと言う景色が広がっていて、ここまで来た甲斐があったというのか。

先客の方々と、後から来る方々と共に日の出の瞬間を待つ。まあ、この時点で雲海は諦めていた。前日にここ富士見パノラマリゾートのホームページで「雲海が現れる確率40%」を確認していたので、そこまでショックではなかったけど、残念なことには変わりない。

日の出を見るのは昨年の年末に九十九里海岸を訪ねた時以来。あの時は日の出を見るためだけに出掛けたけど、今回はもう一か所目的地を考えていた。

美しい光景を眺めてから、さてこれからどうしようかといつものようにノープランの悩みが浮かんだものの、すぐ脇に「入笠山頂まで60分」という看板を見つけ、なぜかあまり迷わずに看板が指し示すその道へと入っていった。というのも、何年も使っていなかったトレッキングシューズを履き、同じくのトレッキングポールを持っていたからという単純な理由からだ。そして何より「60分」という所要時間が「可能なもの」という意識を強く擽った。

はじめのうちは山道の散策程度に感じられたけど、湿原を抜け、山小屋のある辺りから登山路に入っていく辺りから若干の後悔の念が浮かんだ。まあ、ここまで来ると引き返すのはどうかなと思うのと、それを「勇気」と称賛されるほどの難易度ではないと…そう「60分」だし。

ただただじっと日の出が作る光景を見るために厚着をしてきたのが、山歩きにはむしろ暑さに繋がった。実際に汗だくになったので、中に着た上着を脱ぎリュックに入れ山頂を目指した。

ようやく山頂に着くと、360度見渡せるパノラマにここまでの苦労(の足元にも及ばない…)が報われたと思うとともに、汗をかいた体が冷たい風を受け冷えていく感覚があった。膝の辺りに衰えを感じるものの、まだまだ歩けるうちに少し負荷をかけた歩きを愉しもう(か)と思った。(か)は留保の意味で。

ゴンドラ駅に戻り併設されたレストランに向かうと、営業は8時までとなっていた。入笠山の山頂へ行かなければという気持ちが過ったものの、それもまた愉しいと思えた。

その後、富士見の街で買い物をしたりして、次の目的地へと向かったものの、その途中で睡魔に襲われ、事故を起こさぬうちにと思い仮眠を取ったら思いのほか眠ってしまい、その目的地へ行くのを諦め家路に着いた。

行き当たりばったりは僕の人生そのものだなって思うけど、今さらそれを変えようとも思わないし、ならば最後までそんな人生を愉しんでみようとも思う。

ということで、中年真っ盛りにもかかわらず頭の中のかなりの領域を占める「行きたい場所候補」に「山野草のきれいな場所」と「夜空の星を眺める場所」を改めて加えた。