あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

移ろいゆく季節

2008-07-03 23:04:45 | 本を読む
デパートに寄るのは楽しい。買うものは少ないが、何となく店内を歩くだけでも楽しい。
さて、どのデパートが好きかと聞かれたら、今は迷わず「西武」と答える。なぜだろうか。子供の頃から行き慣れているというのもあるが、ある時期、単に流通グループという枠組みを大きく超え、僕らの文化レベルを引っ張って行ったそのイメージが今も強く残っているからだろうか。

その、セゾングループを率いた堤清二氏こと、詩人の辻井喬氏と、東京大学大学院教授で、ジェンダー研究で知られる上野千鶴子氏との対談による『ポスト消費社会のゆくえ』という本を読んだ。

経営者が詩を紡いだのか、それとも、詩人が経営に向かっていったのか。僕も含め、多くの人は前者だと考えていたのだが、ご本人は後者を自覚していたようだ。
結局、自らが育て上げたグループの、その解体まで付き合った堤氏の生涯は、父親の急死により社長となり、結局はそこから離れて作家として活躍し、生涯を終えた星新一氏と対照的に見える。でも、堤氏は経営に携わることで、自らの感性をもって経営に向かい、そして我々に豊かな文化を提供する役割を担うことで、彼の持つ理想を具現化していったのだろう。

対談は、上野氏のつっ込みに辻井氏がやんわりと答えるというリズムで続いていく。いくつかの印象的なエピソードが続く中で、経営者としての喜びや苦しみが見えてくる。それだけではない、僕らの行く先についても、両氏は示唆に富んだ思考を広げている。

グループ会社のパルコはテナント業だったのだと、この本を読んで初めて認識した。まあ、流通業界の仕組みは僕には縁遠いものだった。
そう言えば中学の頃、意味のわからないことを「パルコ」と言っていた。

そんなことを思いながら見上げると、マツケンが走っていた。
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