手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

最悪の通訳経験/続き

2016-03-25 12:12:00 | 手話
「続きが気になる」とコメントいただいたので、書くことにした。
こんな大変な状況に直面することもあるんや、で終わりにするつもりだったが(笑)


通訳現場である会社に到着するやいなや、ろう者のZさんは荒々しくドアを開けて、社長の席にまっしぐら。
いきなり、社長を罵り始めた。
打ち合わせも何もない。何がどうなっているのか、事情が全くわからないまま、通訳を開始しなければならなくなった。
Zさんと社長のやりとりが始まった。


「いつも、ろう者を差別。会社、辞めたい。俺をバカにする理由を説明しろ!」
なんなんだ、いきなり。この人は?Zさんの親戚か?
「手話通訳者。今まで何回も、社長に手話通訳者派遣を許可して欲しい、と言った。あんたはずっと無視した」
言ったはずだ。手話通訳者は必要ない。筆談すれば済むことだ。
「バカ! ろう者への理解がない。必要だから、手話通訳者派遣をお願いした。あんたは無視した」
話にならん。もう帰れ。
「もう我慢できん。辞める。制服は洗って返せばいいか?」
辞めると言うなら止めない。制服はクリーニングに出すから、そのまま返してくれればいい。


売り言葉に買い言葉みたいな状況となり、Zさんはそのまま荒々しく部屋を出ていった。
追いかけるしかない。
社長に一礼してZさんを追いかけた。


どうすることもできない。
いや、通訳者の立場で、「間に立ってなんとかしよう」なんて考えてはならない、と思っている。

手話は絵である

2016-03-25 00:25:49 | 手話
カリスマ手話通訳者の言葉。
30年前、手話通訳者になったばかりの頃、ろう者の手話が全く読み取れず、悩んでいた。

どうすれば、手話を読み取ることができるようになりますか?

カリスマ手話通訳者は厳しい人である。
手取り足取り教えてくれるような方ではない。
でも、助言が欲しい。食い下がった。
「手話は絵だからね」
・・・・・

どういう意味や・・・
すぐに理解することはできなかったが、とても大切な「本質」が含まれているような気がした。
この言葉は、心に焼き付いた。
その後、10年ぐらい経って、
あ・・・・
突然、理解した。
ただし、理解したと言っても、あの時のカリスマ手話通訳者が伝えたかったことの一部を理解したに過ぎない。
そんな気がする。

カリスマ手話通訳者、やはり、偉人である。