小梅日記

主として幕末紀州藩の学問所塾頭の妻、川合小梅が明治十八年まで綴った日記を紐解く
できれば旅日記も。

谷崎源氏

2017-03-13 | 断捨離
本の整理をしていたら奥の方から出てきたのがこの谷崎潤一郎が翻訳?した「源氏物語」
初版本で昭和十四年の発刊だから私がが生まれる前に出版された本。


積年の疲れでかなり疲弊しているが箱から出すと美しい。

そういえば何年か前に通読したっけ。耽美派らしく華美な修飾語の多さにうんざりすることもあったがなんとか読み終えたのだった。そして、この全集を買った生母のことを思った。幼児の私を置いて父の元から去った母。父が亡くなった直後に黙って実家から持ち出した唯一の物である。

そんなことはともかく、この本の装丁は非常に凝っている。


一つの函に二冊ずつ入っている。
重要な校注も上に載っていてしおりにその巻の主要人物の説明もある。
しかも和紙に透かすように地模様の源氏の世界を彷彿とさせる挿絵が入っている。
これで一冊が1円で著者の検印も押されている。



これだけの本ならさぞや高い値がついているだろうと調べると全巻函入りで5000円がいいところでがっかりした。
新装重版も出ているし、文庫本も出ている。読むだけならそっちの方が楽だ。
若き日のこれを読む母の姿は文庫本にはない。
函入り「漱石全集」は前の引越の時に息子に送った。だから今は漱石を文庫本や「青空文庫」で読んでいる。
娘の息子が本好きだというので函入り「太宰治全集」は彼に贈るつもりだ。好みはまだわからないけど好きになってくれると嬉しい。
そしてこの「源氏物語」は息子に送ることにした。曰くや因縁を伝えずに。
コメント (2)
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