和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

若芽13/小説「新・人間革命」

2013年11月04日 20時13分33秒 | 新・人間革命
若芽13/小説「新・人間革命」

      小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)11月4日(月)より転載】


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若芽13(11/4)
 山本伸一たちは、さらに三階に行き、工作室を見たあと、作法室に入った。

 伸一は、児童たちに語った。

 「今日は、創価中学校と高校の入学記念祝賀会に出て、それから校内を回ってきたんです。一緒に、ここで休憩しようよ」

 畳敷きの作法室で、座卓を囲んだ。

 伸一の前に、コップに入ったジュースが置かれた。彼は、それを、子どもたちに勧めた。コップの位置が児童から遠かったため、気を利かせた教員が、手を伸ばし、児童に渡そうとした。

 「必要ありません! 自分ですることが大事なんです。甘やかしてはいけません」

 伸一に言われて、教員は、慌てて手を引っ込めた。

 児童にしてみれば、飲むように勧められても、ジュースは伸一の前にある。身を乗り出して取るには、気後れがする。でも、喉は渇いている。ジュースは飲みたい。

 では、どうすればよいか――伸一は、子ども自身に考えさせ、行動する力を身につけさせたかったのである。

 生きていくには、どうすればよいのかわからないことに、多く出くわすものである。そうした時に、どう対応していくのか――その“困難解決力”ともいうべきものこそ、実は、よりよい人生を生きるうえで、極めて大切な力といえる。

 女子児童の一人が、緊張した顔で手を伸ばしてコップを取り、喉を潤した。その姿を見ながら、伸一は、教員たちに言った。

 「放任はいけないが、過保護であってもいけません。過保護であれば、人間としてなかなか自立できず、臆病で、挑戦心が乏しい子どもになってしまいがちです。

 子どもの将来を考え、一人ひとりが、幸福な人生を生き抜くために、何が大切かを熟慮し、教育にあたっていくんです。皆さんが、この学校で行っていくことは、子どものための教育革命でもあるんです」

 創価小学校への伸一の期待は大きかった。


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