人事戦略研究所

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平成17年5月号掲載分

2006年03月31日 | 人事で会社が変わる
昇給の仕方で会社が変わる
 賃金は社員にとって生活の糧であると同時に、自分自身への評価尺度でもあるので非常
に関心の高い事柄です。ですから逆に賃金の扱いを間違えると社員の志気を下げたり、優
秀な社員の社外流出を招いたりと会社にとって損失になることもあります。
 このことをわかってうまく賃金を活用している例を紹介しましょう。商社のB社は賃金、
ことに昇給に気を使っています。B社は成果重視、能力主義賃金を標榜しているので昇給
は上がったり、下がったりします。B社が気を使っているのは、賃金が上がり下がりする
こと自体ではなく、その根拠です。中小企業でよく行われている経営者による総合決定型
なのですが、賃金の額を決める時にはかなり明確にその理由を付けます。なぜこの社員は
賃金が上がるのか、別の社員はなぜ下げなければならないのか、そしてその額はどのよう
な計算で求めているのか等です。商社という業態の性格上営業社員の成績はつかみやすい
と思われがちですが、実態はそれほど単純なものではなく、担当する地区や顧客や扱う商
品によって売り上げや粗利に相当な差があります。B社ではこれを克服するのに目標管理
を使うことにしました。目標は会社が社員に要求するだけでなく、社員と綿密に話し合わ
れ実現性の高いものにしました。目標実行期間中も毎月1回はそのことについての話し合
いが持たれ、進捗状況や周囲の環境に応じたその後の対策がきめ細かく決められていきま
す。その積み重ねの結果が成績として評価されます。昇給は成績だけでなく、勤務態度や
能力も評価され最終決定されるのですが、それらの評価結果も全て本人には公開され、こ
こでも次年度に向けた努力ポイントが社員と話し合われます。重要なのはどこが駄目なの
かを会社が一方的に通告するのではなく、どうすれば評価が上がり、賃金が上がるかが話
し合われることです。そうすることで社員は会社が下した評価に納得し、次のステップに
動き出そうとしているのです。

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