ジジババのたわごと

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公共交通と道路財源

2017年02月01日 | Weblog
鉄道を廃線にするかどうかの目安は、輸送密度が4,000人といわれる。
「輸送密度」というのは、何人の乗客がその路線全区間を乗ったことになるか、という数値である。
長い区間を乗る人もいれば短い区間を乗る人もいる。それらを全体にならして、始発から終着までの全区間を一日何人が乗ったことに相当するか、ということである。
ちなみに 山手線(品川~田端)は1,100,000人/日、 横浜線(東神奈川~八王子)は230,000人/日。

JR北海道は輸送密度4000人未満という路線が全体の4分の3を占めている。500人未満という極めて少ない路線も、全体の4分の1に上るという。

北海道では地方の人口減少が加速し、ローカル線の利用は減少の一途をたどって赤字だらけ。
その上、レールの検査データの改ざんや火災事故などがあり、安全対策や老朽化した設備の修繕費が増加していることも経営を圧迫している。

国鉄が分割・民営化された際に、北海道、四国、九州のJR3島会社は、本業の鉄道事業で利益を出すのがむずかしいことが予想された。
そのため「経営安定基金」と呼ばれる補助金が交付された経緯がある。
「持参金」のようなもので、この運用益で本業の鉄道事業の赤字を穴埋めしなさいというわけである。
ところが、このところの歴史的な低金利もあって、当初想定していた運用益を稼ぐことができず、構造的に赤字体質が続いて改善の見込みが立たない状態である。

公共交通といえども、鉄道で収益が出せなくなればバスに転換する。バスでも経営が厳しくなればその路線は廃止になる。
民間企業に委ねているのだから致し方ないともいえよう。


「高齢者の通院に支障が出る」とか「通学に欠かせない路線が廃止されると、若者の都市部への流出が加速する」という声が聞かれるが、JRに採算を度外視して鉄道を維持せよという理由としては弱い。
鉄道会社は軌道や諸設備を自前で整備しなければならない。一方バスは費用負担のない国道を走るので同列では論じられない。
鉄道はある条件のもとでしか採算に乗らない。

そもそも地方の交通確保ということを考えるとき、“地方の交通は採算が取れない”ということを前提にして考えなければならない。
どのように合意形成するか、難題だ。
公共交通を拡張充実させる方向で考えるのか。それともモータリゼーションの発展や成り行きに任せるのか、と立ち戻ってみる必要がありそうだ。
過疎地の交通をどうするか。どこまで走らせるか、線引きをどうするか、という問題もある・・・。

地方で公共交通システムを整えようとすると、補助金に相当するもの、つまり何らかの支援がどうしても必要になる。
公共交通を考えるときにポイントになるのは道路特定財源だ。一般財源化されたが、優先的に鉄道やバスに適用していく考え方が求められる。



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