こっちゃんポイント
鑑賞環境 |
★★★★
映画館 |
上映時間 |
144分 |
製作国 |
アメリカ |
公開情報 |
劇場公開 (ブエナビスタ) |
初公開年月 |
2005/09/17 |
ジャンル |
ドラマ/スポーツ |
大恐慌時代のアメリカ。実在し、人々から“シンデレラマン”と呼ばれたボクサーの人生の断片を、カメラは寄り添うように見つめていく。家族と幸せに暮らすジミーは、前途有望な若手ボクサー。右ストレートを武器に、次期チャンピオンになれると目されていた。だが、右手を故障。勝利に見放された彼は、ライセンスを剥奪されてしまう。失業者のひとりとなり、日雇いの肉体労働に就けることすら難しい日々。困窮の中、彼が守りたかったのは愛する家族だけだった。そんなとき、かつてのマネージャーから一夜限りの試合復帰を持ちかけられる。(goo映画より抜粋)
ごめぇぇぇん!ラッセル。君がこれほどまでにヒモジイ生活をしてるとは思わなかったんだよぉ~。お昼ごはんを食べてから観たこっちゃんを許しておくれ・・・・。というワケで先週土曜日の17日から封切りとなったこの映画を観てきました。満腹状態で観ては申し訳ない映画だと知りました。
今年賛否様々な話題をさらったあのボクシング映画『ミリオンダラー・ベイビー』。思えばあれは、ボクシングが題材ではあったものの、純粋な”ボクシング映画”ではなかったですね。テーマがあまりにも深刻で大きかった。
「いい映画だけど、二回は観れない」世間にそう言わせた作品でした。「今回もラッセル・クロウが途中からヒラリー・スワンクみたいになったら嫌だよ! おいらは!」そう思って二の足を踏んでいるアナタ!大丈夫。そんなことにはなりませんからっ!ぜひ恐れず劇場に足を運んで欲しいのデス。これ、ちゃんと感動ついてきます。
少なくても観終わってから、「イーストウッドはあの後どこに行ったんだ?」などと心配する必要はないでしょう・・・。
オープニングは華々しいあるボクサーの全盛期。将来に何の不安もありゃしない。かと思うと、いきなり貧しい失業生活へ直行。そして後半は、人々の希望の星となりながら、再び勝利への階段を駆け上がって行く彼の姿が、144分という長丁場の中、とても丁寧に、しかし過剰な説明を排除しながら描かれて行きます。
主人公ジム・ブラドックを演じるのはラッセル・クロウ。実生活ではちょっとお騒がせもありましたが、とても男っぽさを醸し出す俳優ですね。そして妻メイを演じるのは、コメディ、シリアスなんでもござれの怪女優、レニー(レネー?)・ゼルウィガーです。この二人に関してはもはや言うことなどありません。どちらも、こっちゃんの好きな俳優さんというコトもありますが、それを差し引いても素晴らしかった。二人の主役はとても安心して観ることができるのです。
手を骨折しても、助骨にヒビが入ってもリングに立つジミー。【ハングリー精神】という言葉があるけども、彼は本当の意味でハラペコでハングリー。そして家族もまたそうなのです。牛乳代すら延滞し、配給の列に並び、電気を止められ、借金をし、物乞いのような真似までする所まで追い込まれてしまった彼。妻も、暖を取るために近くの柵を壊し、火にくべる。風邪をひいた子供を医者に通わせることも出来ないのです。ジミーが悪いんじゃない。みんな世間が悪いんだ!これはもう、どこからか「昭和枯れススキ」が聞こえてきそうな展開ではないですか。
たまにありつける港の仕事は競争率が高い。門の前に詰め寄ったたくさんの失業者の中から、選ばれるのはたった5人とか9人の数だったりします。それでも毎朝、門の前にあつまる失業者達の姿が、この時代の暗さというものを表していました。ジミーの家の電気を止めに来た老年の男も「こうしなければ自分がクビになってしまうんだ」というくらいの時代だったのです。
こんな生活でもジミーは、決して家族に当たったりしない優しい夫。また妻もそんな夫を信じて貧乏に耐える。そして子供たちも、こんな環境としては不思議なくらい実に素直に育っていくのです。「どんなに貧しくても盗みはいけない。」長男がお店から太ッいサラミを盗んでしまい、一緒に返しに行くジミーの心中はさぞ辛いものだったでしょう。きっと「この子達のために頑張らなければ!」彼はそう思っていたに違いありません。
ある日、こんな生活を背負った『彼』に、再びリングに立つチャンスが巡ってきます!もう若くない彼に再び巡ってきたチャンス。しかし相手は強豪ばかり。たとえそれが”一夜限り”で、なんの保障のない話であっても、ジミーは家族のために食いつきます。こうなったら、ジミーを応援せずにはいられませんっ!生きるために精一杯というよりも「必死」な彼の姿。人間追い込まれるとココまで強くなれるのか?
ラッセルのファイティング・ポーズは、とにかくカッコいい。スクリーンいっぱいに映し出される彼の眼力は、鋭く対戦相手をニラミつける。でも、その瞳の奥には愛する家族の姿が見えてくるのです。がんばれ!とーちゃんッ!ここまできたらもう、アメリカ国民だけじゃない!日本在住だって応援しちゃうんだモーン!
しかし、さすがに最後に迎える「王者」との対戦は息をのんでしまいました。だって相手は2人殺してるんですよっ!爆弾のように強力な右のストレートを持つ男との対戦は、「死」をも意味するのです。このラストの対戦に向けて、まるで死刑台への階段を一歩一歩上るような展開に、自分の手のひらをギューッ!と握り締め、ひたすら見守るしかありません。もう勝ち負けなんかどーでも良い!家族のために生きて帰って欲しい!誰もがそう思ったでしょう!・・・こっちゃんもです
可愛い子供たちは隠れて、ラジオで父親の試合を聞いてます。決して夫の試合を観戦に行かず、恐らく試合のたびに教会に祈りを捧げてきたであろう妻もこの時ばかりはもう何も言いませんでした。
教会にはジミーの勝利と生還を祈る人たちがあんなにも・・・。ねぇ
なかなか演出が良かったですよ、この映画。こっちゃん的にはオススメです。後半はファイティング・シーンの連続ですが、構成・カメラが素晴らしく飽きることなく観ることができました。
ただ、まさかとは思いますが、この映画のタイトルから勝手にディズニーのメルヘン映画を想像してはいけません。それはあまりにも無謀。どちらかと言えば”男の映画”、むしろ”親父に捧げる賛歌”ような雰囲気プンプンですからね。
実は、この映画にはもう一人。とても良い俳優さんが出演しています。それはジョー役のポール・ジアマッティ。今回はどん底のジミーの力を信じ、家財を売り払ってまで彼を後押しする、親友であり、マネージャーの役です。彼がリングから叫ぶ声は、ジミーを奮い立たせ、勇気づけます。映画『サイドウエイ』では主役をつとめた彼ですが、やはりこの人は脇役で圧倒的な光を放つ役者さんだと思いますね。この映画では本当に良かったです。
ボクシングの手ほどきをしているうちにペシッ!とラッセルの右頬にはいる娘の左フック。
あれ 可愛かったな。
《2006.0726記事一部改訂》
【作品】シンデレラマン
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