二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

胴の割れ!後ろの糸は危険のしるし。

2024-04-18 09:22:23 | ●二胡の修理
この溝に、糸が入っているのが分かりますか?
少し色が違いますね。
中には全く分からない色の物もあります。
胴が割れてきて、初めてそこに目が行きます。
いままで、もうかれこれ60台近くは胴の割れを直してきています。
その内15台くらいはこのように胴の後ろの溝に糸が巻き付けられています。
胴の割れは、基本的には木と木をはぎ合わせる膠の劣化。
あるいはたまたまその近くに気の弱いところがあって罅が入って割れてしまう、これは本当の割れですね。
また、落としたりぶつけたりしての割れもあります。
膠の劣化というのもこれは仕方ないことだと思います。
経年変化で膠は硬化していきます。
ただきちんとはぎ合せてあれば、100年200年はもつともいわれています。
あるいはもっとかもしれません。
正倉院の御物の楽器たちは今でもきちんとついています。
まあ、途中で直してあるかもしれませんが。
しかし私が持っている戦前の二胡は胴は割れていません。
まあそれでも、木の事ですから、動いたりして膠が剥がれることもあるでしょうが、、
これ、今までは確実性が無かったので言いませんでしたし、これは何らかの音の為だと説明している人もいましたが、二胡業界に文句をつけるようでもあり、言いにくかったのです、、、
この胴の後ろの溝に糸が巻いてあるのは、二胡が作られ出荷までの間に胴割れを起こしたものをこの糸で縛りつけてあるとしか考えられないのです。
いくらなんでもそこまでやるか???
という気はします。
でも昔のそれこそ20年以上前の二胡にはこのようなものは販売はされていません、、と期待します。全部を見たわけではありませんから。
しかし私の知っている限りのこの胴割れを起こした、胴の後ろの溝に糸が入っているものは、たぶんここ10年くらいの間に販売されたもののようです。
それもどうやら、割れが見えて再度補修したようには見えず、単に糸で巻きつけただけのように感じます。
楽器が新しい間は木もそれほど動いていないので割れが見えてきにくいです。
音も問題はないようです。
これは様々なメーカーにあるようでどこのメーカーがとは言えません。
また、落としたりぶつけたりしていないで割れたものが多いです。
ですので、もし皆さんが、例えば新品で購入する時、あるいはヤフオクやメルカリなど中古で購入する時にも必ずこの糸が入っているかどうかは確認してください。
また分かりにくかったら胴を軽く指の背中でたたいてください。
必ずカスタネット音がします。
あまりにもうまくできている時には私などもその気になってみないと分からないことの方が多いです。
気持ちのどこかに、まさかこんなことをするとはという事があるのでしょう。
いずれにせよ、糸が巻いてあったら、いつかは目に見えて割れが来ると考えてください。
修理代が8000円以上してしまいます。送料もだいぶ上がってきて3000円を超えるところはざらです、往復6000円合計14000円は必ずかかります。
工房西野和宏&ほぉ・ネオ



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