磁気物理学研究室の研究活動記

鹿児島大学理学部物理科学科磁性研究と教育活動、周辺での出来事を中心に紹介しています。

サイエンスクラブ2015/7/2ーロックインアンプを使うー

2015年07月03日 04時38分34秒 | 研究
昨日、放課後、サイエンスクラブの1年生と2年生が研究室に来て、
ロックインアンプについて学びました。

前回までにストローに励磁コイルと検出コイルを巻いて、
発信器から励磁コイルに1kHzから10kHz、約1Vの信号を入れて
オシロスコープで検出コイルからの信号を測定していました。
ストローに鉄心を入れたり出したりして、
検出信号の変化を見ていました。
検出信号はかなり小さく1kHzではオシロスコープの縦軸を最小電圧/DIVでやっと
検出できるくらいでした。ノイズまみれの波形です。
(10KHzでは1kHzの信号よりはきれいに検出できます)

そこで、登場するのがロックインアンプ。
発信器からの入力信号のsin(wt+a)を励磁コイルとロックインアンプの参照入力に接続します。
検出コイルから検出信号のsin(wt+b)をロックインアンプの信号入力に接続します。
ロックインアンブでsin(wt+a)xsin(wt+b)のかけ算をして、
cos(a-b)-cos(2wt+a+b)に比例する(計算確認していません)信号をb(またはa)の位相を
調節しながら最大ゲインとなるようにして、増幅し電圧信号として電圧計に出力します。
これによって、オシロスコープではノイズに隠れてしまいそうな微小信号
(非常に小さい電圧の変化(マイクロボルト))を
参照信号と同じwで検出しクリアにDC電圧(ボルトの大きさ)として検出できます。
上の写真のように説明しました。(計算過程は消されています)
このロックインアンプをつかった信号検出回路の原理を参考に
学生に装置を組み上げてもらいました。


できあがり。
学生自ら同軸ケーブルを使って組み上げた装置です。

「組めない」「無理だから教えて」と言うのを待っていましたが、
あっという間に「できた!」との回答。(私の活躍する出番がなかった。。。)
私は「電源入れてみて」と言うだけ。

ちゃんとオシロスコープに比べてかなりクリアなCD出力信号検出しました。
位相調整をAutoにしたり、手動で0から180度変化させたりして、検出信号の変化を確認。
ストローに鉄心を入れたりだしたりして、位相やDC出力信号の確認をしました。
鉄心の入っている場合と入っていない場合は、磁石(強磁性体)の場合と磁力を失った(非磁性の)場合に相当し
同時に試料の温度を測定すれば、DC出力信号の温度変化を観測でき、
磁気を失う温度(磁気相転移温度)を決定できることを学びました。

クラブの1年生らは、コイル巻き、テスター、発信器、オシロスコープ、ロックインアンプ、デジボル(電圧計)を使えるようになり、装置もシステムとしても組めるようになりました。
ラボビューでプログラムも組んで自動化したいとのコトですので
今後ラボビューでのプログラミングも教える予定です。

私の研究室のサイエンスクラブ1年生は、このあと
異種金属導線をつないで、熱起電力発生の原理と教えます。

その後、これらの知識を総合して、交流透磁率測定装置を組み上げる予定です。
今年は、コンピューターを使った測定の自動化も行うかもしれません。

さらに、実際に彼女らのつくりたい磁性材料を合成して、磁気特性を測定する予定です。
磁気特性評価装置を学生自らでつくったので、これを用いて未知物質の解明や
さらに自主研究に発展させる予定です。

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