零式艦上戦闘機（４１） 長官機護衛の６機（４）

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零式艦上戦闘機（４１）　長官機護衛の６機（４）　

昭和１８年６月７日のルッセル島航空撃滅戦につづいて、『セ』作戦「ルンガ沖航空戦」が企画された。

『セ』作戦は、艦爆隊と共同して、刻々と戦力を増強しつつあるガダルカナル島の北西端にあるルンガ泊地の艦船、航空機を撃滅する戦いだ。
ここでも二〇四空の宮野大尉の発案で、零戦隊を三隊に分け一隊は艦爆隊の『直掩隊』、もう一隊は『制空隊』として上空の敵戦闘機の排除、最後の一隊は『収容隊』だ。
『収容隊』は艦爆隊の楯となり、先行して目標付近の敵戦闘機隊をかき回し、味方の艦爆の爆撃終了後に殿（しんがり）を務めるというものだ。

また、研究会討議の結果、次回から全ての零戦隊は、すでに二〇四空が採用している一個小隊４機編成を採用することになった。

ブインに終結した航空機は、
直掩隊、五八二空の零戦１６機、二五一空から零戦８機　計２４機
艦爆隊、二五一空から九九艦爆２４機
制空隊、二五一空の零戦２４機
収容隊、二〇四空の零戦２４機
合計９６機

６月１６日　１０：００
進藤少佐を総指揮官としてガダルカナルに向けて飛び立っち、高度を５０００メートルから８０００メートルにとって、層をなして編隊を組み大空を圧して進撃する。
二〇四空は宮野大尉を指揮官に、森崎中尉、辻野上一飛曹、杉田飛兵長の三人も参加した。

１１：５０　そろそろ目的地のガダルカナルが見え始めたとき、敵機発見！
次々に舞い上がってきた敵は、Ｐ３９、Ｐ４０、Ｆ４Ｆ、Ｆ４Ｕなど１００機余り。
各所で彼我入り乱れての空戦が始まった。

直掩機は、敵機から射出された機銃弾と艦爆の間に入り一身に弾丸を引き受け、一機離脱すればその隙間を直ちに別の一機が埋めて艦爆を守った。
ルンガ泊地の上空では、艦船や地上からの激しい砲火で一分の隙もない。
艦爆隊は急降下に入り、途中で被弾して落ちていくものあったが、それでもひるまずに艦爆隊が投弾を終えて退避するのを見届けると、全ての零戦が戦闘に加わった。
　
宮野大尉の乗機は黄色の二本線のマークがある。
宮野機を護るように付き従っていた辻野上一飛曹は、宮野大尉がＦ４Ｕコルセア１機を撃墜し、被弾した僚機に寄り添い、不時着を指示していたのを目撃したのを最後に、混戦の中で宮野機を見失った。
杉田飛兵長は空戦域から離脱して、集合場所で旋回していた宮野大尉機が、再び空戦域に戻って行ったのを目撃したが、再び帰ってこなかった。
宮野善次郎大尉（２７才）未帰還。

森崎中尉がＦ４Ｆを追いつめ、撃墜するのを杉田飛兵長は目撃したが、だれもその後の森崎機を見ていない。
森崎中尉も再び帰ってくることはなかった。
森崎武中尉（２４才）未帰還。

辻野上一飛曹は宮野機を見失ったあと、Ｆ４Ｆと交戦し銃弾に肩、背中、大腿部などを負傷したが、コロンバンガラ島に不時着して一命を取り留めた。
護衛の６人の中で残ったのは、辻野上一飛曹と杉田二飛曹の二人になってしまった。

日本側の損害は、零戦１５機未帰還、１機不時着水。艦爆１３機自爆・未帰還。
アメリカ側の損害は、戦闘機６機未帰還、輸送船１隻大破、戦車揚陸艇１隻大破

これ以降、日本はガダルカナルへの大規模な進撃はできなくなり、徐々に防戦一方の戦いになっていくのでありました。

零式艦上戦闘機（４２）　長官機護衛の６機（５）　2014-05-24 　につづく～
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