零式艦上戦闘機（４３） 長官機護衛の６機（６） 杉田庄一二飛曹の運命は

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零式艦上戦闘機（４３）　長官機護衛の６機（６）　　

昭和１８年（１９４３）７月１日のレンドバ沖空戦で辻野上豊光一飛曹が未帰還となったことで、杉田庄一二飛曹は、ラバウルでのただ一人の生き残りとなった。

杉田は「いよいよ次は俺の番か」と笑っていたが、翌７月２日から呪われたように連日出撃させられ、７月中の出撃回数は実に２１回を記録した。

８月なっても過酷な出撃命令は収まらず、８月の出撃回数１６回目を数えた８月２６日のことだった。
杉田は次第に優勢になりつつある敵機の襲撃を警戒し、その日はブイン基地で情報待機中だった。

午後２時１５分　敵機襲来の報を受け緊急離陸して邀撃に舞い上がる。
敵はグラマンＦ４Ｆワイルドキャット、Ｆ４Ｕコルセアなど２０機、会敵予想はショートランド東南方だ。

すでに６０機を撃墜していたといわれる杉田であったが、空戦に入ると不覚にも序盤にエンジンに被弾して乗機に火災が発生。
全身に火傷を負いながらも、落下傘降下して一命を取り留め、９月３日ブインからラバウルの特設第八海軍病院に送られてきた。

数日後、二〇四空司令　杉本丑衛大佐が杉田を見舞い、「貴様たち６人のことは終生忘れん」と涙ながらに重傷の杉田の手を握りしめると、杉田もまた、今まで我慢してきたものが、関を切ったようにすべて涙になって流れた。

まるで杉田が負傷したことで、山本長官機撃墜の呪縛が解かれたように、杉本指令はその任を解かれラバウルを去っていった。
杉本丑衛大佐は、昭和２０年６月１２日フィリピンのクラークフィールド飛行場で、取り残された日本兵を率い上陸してきたアメリカ軍と交戦して戦死した。

１０月１３日、杉田は火傷の治療がおもわしくなくないので、舞鶴の海軍病院に送られてきた。
二度とみることができないと思っていた内地の土を踏むことができたのだ。

零式艦上戦闘機（４４）　長官機護衛の６機（７） 2014-06-07　につづく～
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