ガスが少し薄れて前烏帽子の登りが見えた。視界が50mになった程度であるが期待が持てた。笹原の坂道をゆっくりと登り中間の台地に着いた。後ろを振り返ると寒峰山頂で話をした人が迫っていた。追いつかれまいと少し速度を上げた。今度こそ山頂だと思ったらまた上に坂道が続いていた。今度は立ち止まって追い越されるのを待った。
やっと前烏帽子に着くと水色のカッパを着た人がいた。野菜作りで使う支柱をストック代わり . . . 本文を読む
落禿から西へ向かう。5分ほど歩くと斜面に鎖がかけられている。新品の鎖はピカピカに輝いていた。笹の刈り払われた快適な道は鞍部まで続いていたが、前烏帽子の登りになると笹が股下まで茂っていた。登山道に流れる川は、登るにつれて水量が少なくなり山頂が近いことがわかった。 11時10分、前烏帽子に着いた。標識は落合峠から2km、寒峰まで3kmとなっている。ガスの状態は相変わらずで、南西方向に見えるはずの寒峰 . . . 本文を読む
深渕の集会所の横に、軽ワゴン車が道をふさいで停まっていた。何ごとかと車から下りようとしたら、おじいさんが駆け寄ってきた。「矢筈山に登りたいのですが落合峠はどっちですか」と丁寧な口調で尋ねられた。腰の低い人には丁寧に対応したくなる。「１０キロほど先です、先に走りますからついて来てください」と告げた。
ゆっくりめのスピードで先導した。道路には落ち葉が積もっていて、色こそ違うけれど雪道のわだちのよ . . . 本文を読む