しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第100回 ダビ・パロマール「トリミレナリア」

2008-06-16 05:38:09 | カンテ
どーもすみません。またまた御無沙汰しておりました。
新譜の絶対数が少ないし、その中からこれっ! おすすめ、ってのに出会えることはなかなかない昨今なんでご勘弁。。。いやいや。でもだからこそ、これっていう1枚に出会ったときのよろこびもひとしお。。。
ヘスス・トーレスのアルバムがそうでしたね。ほんとすごい。
いつもバックで演奏している彼の底力。こういううれしい驚きがほしくてしつこく、聴き続けている私でございます。

んでこのアルバム。なんかひさびさにアフィシオンが感じられる、気持ちのよいアルバムに出会ったな、ってゆー感じ。
歌っているのはダビ・パロマール。カディスの歌い手でございます。まだ20代。
去年だったかな? コルドバのコンクールで優勝して一躍脚光をあびました。それまでもよく主に舞踊のバックでみかけていた歌い手なんですが、観るたびに進化している、ので私も注目!していた一人。進化、っていう言葉は変かもしれないけど、実力をつけてきた、とか、うまくなった、という言葉だけでは表現できないプラスαがあるんですよ。それは、アフィシオンの力!だと思うわけであります。

アフィシオン、それはフラメンコへの愛。
だからアフィシオナードという言葉はアマチュア、というニュアンスでつかわれることもないではないにせよ、フラメンコを愛する者、という意味であります。んでもって、このダビのデビューアルバムにはフラメンコへの愛をめっちゃ感じるわけですな。
え、どういうところにアフィシオンを感じるか、ですか?
勉強してるな、って思わせられることとかかな。古いフラメンコをよく聴いてそれを自分のものにしようとしているところ。これはヘレスのダビ・ラゴスなんかもそうですね。あと今をときめくミゲル・ポベーダ。
フラメンコが好きでたまらないから、どんどんいろいろ聴いていく。それが実に、身になっていくんですね。。。あ、これはなにも歌い手に限りませんよ~。踊り手も、いや、ただ聴くだけ観るだけの純アフィシオナードでもいっしょ。知れば知るほど楽しくなる、それがフラメンコなのであります。はい。
このアルバムでもソレアを聴けばヘレスのエル・チョサ爺!とか思うのはアフィシオナードの特権かも。。。
んでもなにも知らなくても気軽に楽しめる、のりのいいタンゴやブレリアなんかも満載。最後はカディスのタベルナで録音?というギター伴奏なしのブレリア。フィエスタの雰囲気いっぱいで、これだけでもみんなに聴いてもらいたい!と思うわけであります。
もいっこのブレリアではヘレスの踊り手、メルセデス・ルイスも参加しているし、カディスの踊り手エル・フンコもパルマスで参加~
ギターも通常、彼のリサイタルで伴奏しているセビージャのギタリストでミラグロス・メンヒバルなんかの伴奏でもおなじみのラファエル・ロドリゲスのほか、モライート(シギリージャの伴奏はこの人が世界一!)も参加しているし、なかなか豪華な面々がサポートしています。

細かいことをいえば、カンテをもっと前にもってきてほしいとか、はやりの“フラメンキート”(フラメンコ風味のポップス)風のコーラスはなくてもいいよな~とか、いろいろあるけど、ま、それも流れ。ダビ自身がすべての曲を作詞作曲、プロデュースしたこの自主制作盤。フラメンコ好きにはぜひぜひおすすめの1枚でございます。。。