しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第75回「デ・ラ・フェリシダー』

2006-05-31 02:34:09 | そのほか
ビエナルのプログラム、発表になったんです。
なんかこれまでとはかなり趣きかわったかな。
ってかんじ。新作も少なくなったし。
ヘレスだ、マラガだ、コルドバだ、
って最近いっぱいフェスティバルやら
セビージャならエル・モンテやセントラルでも公演があるから
フラメンコ公演がいっぱい!ってだけだとあまり注意ひかないわけで
そこらへんみんなの目がきびしくなってるかな、で
あんまいい意見はきかないんだけど
私的にはわるくないかな、と。
なにより公演数が減って、休みの日があるのがうれしい。。。
いやいや40日毎日はやっぱつかれますぜ。
ベレンもエバもイスラエルもグリロもでるし、
ガデスやオヨス、ミラグロもあるし、ま、いーかな、と。
そりゃサラもマリパヘもバロンもカンパージョ兄妹もカナーレスもでない
(カナーレスはグラネーロのオマージュにでるかもだけど)
つーのはバイレの年としてはちとさびしーけど。ま、こんなもんでしょ。

でその今年のビエナル・プログラムでふ~ん、とおもったのがこれ
「デ・ラ・フェリシダ」
アラ・マリキアンとホセ・ルイス・モントンによる公演でございます。
マリキアンはクラシックのバイオリン奏者。
68年レバノン生まれでマドリード交響楽団の首席バイオリン奏者ってゆーから半端じゃない。
いわゆる天才型、かな。12歳で初リサイタル、ってゆーし。

このアルバムはバルセロナ出身のフラメンコ・ギタリスト、
ホセ・ルイス・モントンとの共演なんだけど
はっきりいってモントンかすんでます。影がうすい。
ひたすらバイオリンの技がめだつ。上手い。んだろーけど私的には苦手。
なんだろー。
バイオリンが嫌い、ってわけじゃないのよ。葉加瀬太郎は嫌いでも。
ただなんか聴いている人の心理とかおかまいなくこれでもかこれでもか~
ってくるのがなんかいやなのね。
はいはい、上手なのはわかりましたよ。だからもうやめてよ、って感じ?

きっとこれが大好き、って人もいるのでしょう。
それにライブで聴いたら案外よかったりするのかもしれない。
でもこのアルバムにかぎっていえばおしすぎ、にくわえ
彼がつくるちょっとセンチな音楽世界もすきじゃない。
フラメンコだけじゃなく、ファドやアルゼンチンタンゴ、クラシックのサラサーテ、
なんかもやってるんだけど、
なんかはすにかまえてるつーか、きどってるつーか。
あと音が前のめり、な感じなのもキツイ。
うしろから来る方が好みなのよ、あたしの場合。
なんてわたしの好みはどーでもいーんだけど。
ま自分の独断偏見でいわしてもらえば、
わたしには最後まできくのけっこーつらかった1枚でございます。


第74回 スペイン・アゲイン

2006-05-30 04:05:52 | そのほか
はいみなさまおまちかねのアルバムです。
ミシェル・カミロとトマティートの2枚目
「スペイン・アゲイン」でございます。

ジャズですねえ。
って感じ。
でもはっきりいわせていただきますと私的には壱枚目の方が。。。です。
ま、好み、なんだろーけどね。
あたしがかわったのかもしれないし
彼らがかわったのかもしれないけど、
壱枚目のときのよーなコーフンはない。って感じ。
そう新鮮さがなくなったのかもしれない。
勝手だからね、聴き手は。

ガルデルで幕をあけ
ピアソラ3曲が続くとゆータンゴなはじまり。
んでもってカミロ先生の曲あったりとまちゃんの曲あったり。
(とまちゃんの曲のタイトル「まごたちへ」つーのはなー。。。たしかに孫いるんだけどさー、たしかふたりも)
でも、これはすごいっ!
てうなるよーなのは残念ながらないのだよ、明智君。
なんか全体的に印象うすいのよね。ごめん。えらそーだけど。
最後から2番目の曲くらいかな。これってCalle54でひいてませんでしたっけか?(うろおぼえ)
ちなみに最後はカマロンがうたったアモル・デ・コヌコを本家(作者)のフアン・ルイス・ゲラがうたうという豪華版。

第73回 ミゲル・アンヘル・コルテス

2006-05-29 20:55:50 | ギター
グラナダ生まれでセビージャ在住
最近ぱぱになったギタリスト
ミゲル・アンヘル・コルテス
2枚目のソロ・アルバムです。

プロデュースはヘラルド・ヌニェス!
自分の家につくったスタジオで
自分のアルバムを録音するだけではなく
ヌエバ・エスクエラにつづいて若手ギタリストをプロデュース。
世に出すお手伝いをするなんて、ふとっぱらつーか広い心なくてはありえませんわな。
素晴らしい! ぱちぱち

派手なとこはないけれど、シックな感じ。
おしゃれなとこもあるし
ルーツっぽいかんじもある。
じっくりとききたい一枚ってゆーのかな。
なかなかよいアルバムにしあがっています。
ゲストがすごい。
エスペランサ・フェルナンデス!(最近ミゲル・アンヘルがずっと伴奏してるだよ)
アルカンヘル!(このひとのうたいかたまねる若手多数)
カルメン・リナーレス!(やっぱ貫禄~)
パーカッションはセピ(この人、ほんと最近いーわー)

ミゲル・アンヘルってあまり目立たないギタリストだけど
(背高いのでその意味ではめちゃ目立つんだけど)
こうしてきいてみるとすごいね~
伴奏ギタリストってわりとみんなそーかも。

アルフレド・ラゴとかもすげえ、って思ったのは一人で弾いた時で
それまでなんでみんな彼をよぶのかわかんなかったもんな。

パコからヘラルド、リケーニ、ビセンテ、カニサレス、そしてトマテと
ソロのギタリストはいまだにここらであしぶみ。
いやみんなうまいんだけど
これってゆー強力ぱんちがない。
みんなうまいのよ、って何度もいうけど。
最初にこえなくちゃいけない垣根が高くなりすぎてるからさ
それをこえてのパンチ、個性ってゆーのがでにくくなってるのかな。。。
音だけで誰だってゆーのが分かる感じがあるのは上にかいた6人くらいでしょ、いまだに

それはこのアルバムでもやっぱちょっと感じたかも。
その意味で今一番期待してるのはディエゴ・デ・モラオなんだけど、さて。
どーなりますやら。


第72回 ポティート「バリオ・アルト」

2006-05-28 20:11:38 | カンテ
ポティート、として知られている彼ですが
今回の新譜、ジャケットには本名の
アントニオ・バルガス
も書かれています。
ポティート(離乳食)とゆーこどもっぽい名前から脱出したいのかな。

さてこのアルバム。
発売までにこれほど時間がかかるものも珍しいのではないかと。
最初、ビセンテ・アミーゴがプロデュースするという話だったのが
後、二転三転。
結局トマティートのグループでの仲間であるディエゴ・アマドールがプロデューサーとなり
完成したのはもう1年以上も前。
ネットの某サイトではもうかなり前から聴けるという噂でありました。

ポティートはご存知のようにセビージャの踊り手一家、バルガス家の一員。
父はチャンギート、伯父に故イシドロ、叔母にアンヘリータ・バルガス、
いとこにも踊り手が多数つー環境で育ち、がきの頃から歌ってた。
あたしが知り合ったのは彼がもう12歳くらいの、声変わり直前だけど
もっと小さいときからあちこちで歌って稼いでいたつーベテラン。
声変わりを経ても、そのフラメンコ性にかげりはなく、
いいひねりをもった、私のお気に入りの歌手の一人。
去年の公演にはでてなかったけど
ホアキン・コルテスのバックや、トマティートのグループで活躍しています。

のっけからカマロンがトマティートのアルバムで歌っていた
「ロサ・デル・アモール」だよ。ギターはパケテだけど。
得意の“のり”できかせるブレリアとかタンゴだけでなく、
タランタやシギリージャ、ソレアもはいってます。
シギリージャの伴奏、ディエゴ・デ・モラオなんだけどこれがめちゃ個性的でよいでっせ。

でもポティート自身の魅力が全面的に発揮されたかとゆーと?な感じものこりますな。
6曲目のタンゴとか、部分部分ドゥケンデも歌ってたし、つい比べちゃう。
いやどっちがいいとかではないですけどね、私的にはどっちもいーし、好きだし。
でもポティートのあの節回しの微妙な感じとかうたいっぷりとかもっとたっぷりきかせてくれよー
って感じなんだよな。なんか不満がのこるのだよ。
たぶん待たされた分期待たかまりすぎた、つーのもあるんだろーけどね。


第71回 マノロ・サンルーカル「メデア」

2006-05-26 20:15:40 | カンテ
ついについにようやく!!!
って気持ちでうれしく買って参りました
マノロ・サンルーカルの「メデア」
これをどんなに待っていたことか。です。
けっこーそーゆー人多いんじゃないかな?

スペイン国立バレエ団の名作「メデア」
日本での公演でも何度も上演されたこのスペイン舞踊史上に燦然と輝くこの作品のための音楽ですが
これまで国立バレエ団の限定版LPしかなかったのですね。
私だってもってなかった。。。この名作がついにCDになったんですよ。めちゃくちゃうれしー!
それもマラガ交響楽団との共演での新録音で、であります。

バレエとしての「メデア」はスペイン演劇界を代表する演出家の一人、ミゲル・ナロウの脚本,演出、
この5月に亡くなってしまったホセ・グラネーロの振付けで、
マヌエラ・バルガスが主演して初演されたのは1984年。
初演にはハビエル・ラトーレやアントニオ・カナーレス、ミゲル・アンヘルも群舞ででてたとゆーのは余談。
また第2ギタリストでイシドロ・ムニョス、第3ギタリスト?でビセンテ・アミーゴも参加してた、つーのも余談。

この作品が名作であるには
・たとえメデアの物語をしたずとも誰にでもわかりやすくつくられている演出と振付け
とともに
・美しくドラマチックな音楽
が欠かせなかったことはいうまでもありません。

んでもって一人の踊り手の力量にのみよるのではないというのも大きいですね。
タイトルロールのメデアもその後、メルチェ・エスメラルダ、アナ・ゴンサレス、ローラ・グレコ、マリベル・ガジャルド…
相手役のイアソンも初演のアントニオ・アロンソにはじまり、ホセ・アントニオ、アントニオ・マルケス、ルイス・オルテガ…
といろんな人が演じたけれど、それぞれがそれぞれに素晴らしく、
作品としての素晴らしさをより印象づける結果となりました。

たぶん日本にいる人の方が、スペインのフラメンコファンよりもこの作品にふれる機会は多かったはずです。
いやーあたしなんかともだちと口オケでほとんど全曲やってましたもん。
魔法のとこ、とかラブシーン、けんか、結婚式、とかいえばすぐメロディがでてくる。
そう、覚えやすい、つまり親しみやすいメロディ、とゆーのも特徴ですね。

日本公演のときとかつかってる録音とはテンポなどいろいろちょっとちがったかんじのとこもあるけど
やっぱいーですわ。
こうしてきいていてもそれぞれのシーンが目の前にうかびあがってくる。
でも反対にいえば、舞踊作品の舞台を観ていない人にどう聴こえるんだろう、という気はしますね。
どうですか?

なお最後の曲はアレンジされ聖週間のマルチャとしてもつかわれてるんですよ~





第70回 エストレジャ・モレンテ「ムヘレス」

2006-05-25 21:03:57 | カンテ
先週出たばかりの新譜。
血統書付きのフラメンカ
エストレージャ・モレンテの3枚目は
女性たちにささげた「ムヘーレス」

フラメンコだけでなくポピュラー曲もとりあげています。
ライブ録音もあったりで、バラエティにとんでる?
でもアルバム全体はひとつのトーンのもとにある。
落ち着いた静かな感じ。タランタふたつうたってるけど、
そう、タランタみたいな感じ?
ペルラのブレリアとかもあるんだけどね。(私的にはいまいち)

声きれいです。きれいなだけでなくニュアンスがある。うまい。
テクもある。

フラメンコ歌手、なのではありますが、彼女は声質からいっても
ポピュラーもすごくあう。。。
サンブラもマンドリンとかで伴奏されてて民族音楽とゆ-か民謡風
(フラメンコよりあうとかいってた人もいたが無視)
でもやっぱフラメンコなデテールがあってそこがまたいーっす。
ノスタルヒア(ライブ録音ね)は歌い方がちょっとマイテ・マルティン風かも。

Volverはアルモドバル監督の新作映画でペネローペ・クルスが口ぱくしてる曲です。
ペネちゃんとどっちが美人?つーくらいエストレージャも美女ですね。

最後のNe me quite pas、タイトルきいただけではわかんなかったんだけど
これ日本で「行かないで」っていってるやつやんけ~
思わずいっしょに歌ってたわたし。

こーゆーなんつーの?名曲をフラメンコ歌手がとりあげるのって最近の流行?
シャンソンを歌ったのあたりからはじまったのかな、テリトリオ・フラメンコもそーだし
シガーラがボレロ歌ったアルバムも大ヒットとなったし(私的にはマイテ・マルティンのが百倍好きだが)
エンリケ・エストレメーニョもボレロとりあげてたよな。

絶対のおすすめとゆーほどではないけど悪くないアルバムでする。

第69回 リトモ・デル・スール

2006-05-23 02:10:02 | そのほか
ご無沙汰してばかりでもうしわけございません。
いやね、仕事やら風邪やらで。と言い訳はともかく。
早速1枚ご紹介。今日は幻の1枚でする。
「リトモ・デル・スール」

これはホアキン・コルテスのマネージャーをつとめてたプロデューサー、
ピノ・サグリオコの制作で96年にディズニーのブエナビスタからでたんですね。
内容は、とゆーと、ごちゃごちゃ。
といったらみもふたもないか。ま、あえていえばフラメンコ・ディスコ?
ってこのアルバムの発表公演がマドリのディスコ、パチャであったから、ってゆーだけじゃないっすよ。
参加アーティストをきいておどろけ。

マット・ビアンコ
ディエゴ・カラスコ
エクトル・ドナ
キム・マゼル
ローレ・モントージャ

???でしょ?
ま、みんないっぺんにやってるわけではないけどね。
マットビアンコhttp://www.emarcy.com/bianco/はラテン風味の大人のディスコ
ディエゴ・カラスコはご存知コンパスの魔術師
エクトル・ドナはきえてしまったが、CD1枚だしたラテンディスコ系
キム・マゼルはマイケル・ジャクソンの隣人だったとゆーR&B歌手で映画「ロミオとジュリエット』(あの新しいミュージカル風のほうね)でもかげうたうたっている。
に、ローレ・イ・マヌエルのローレ。

ディエゴとキムの共演の「マチャカ」とか、後にルクレチアつーキューバ人バルセロナ在住歌手とも歌ったけど
なかなかよいです。これが一押し。
でもマットビアンコにもレメディオス・アマジャの妹カルメンがコーラスで参加してるし
(空耳アワーにもとりあげられた「ジプシーレィディ」ね)
エクトル・ドナものりのりだし、でけっこ-楽しい1枚かと。
バックもティノやらチャリ・セペーダ(今はアルバ・モリーナの旦那になった、エレキギターの名手!)でしっかり固めてる。
悪いはずがない、でしょ?

個人的には発表公演のあと楽屋でマットビアンコやキムとディエゴの雑談の通訳してたのが思い出~
って英語できないんだけど、どーやったんだろーか?
火事場の、ってやつね。
ちなみにマットビアンコは日本ツアーにもカルメンとパーカッションのドクトル・ケリーつれていったもんだ。