220915 ドバイ・ショックを解析する~ロスチャイルド銀行・英海外銀行の凋落に繋がる可能性
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 09/11/30 PM08
『ドバイ・ショックを解析する』(国際戦略コラム)リンクより転載します。
----------------------------------------------------------------
~前略~
ドバイ政府の債務総額は800億ドルであるが、この内500億ドルの債務返済延期という金融危機を起しかねない衝撃が来た。この債務総額はアルゼンチンが2003年に債務818億ドルをデフォルトした時と同額である。債務818億ドルの国別保有は、アルゼンチンが34.8%、イタリアが15.6%、スイスが10.3%、米国が9.1%、ドイツ、日本がそれぞれ3.1%となっていた。
BISのデータによれば、世界の銀行によるUAEへの融資総額は6月末時点で1230億ドル。このうち英銀行は500億ドルで、フランス(113億ドル)、ドイツ(106億ドル)、米国(106ドル)、日本(90億ドル)である。際立って英国の銀行の債務が大きい。政府系投資会社ドバイ・ワールド向けの協調融資取りまとめでは、英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)が2007年1月以降では最大手だ。
英国は外為取引量では世界の34%を占めている。米国は17%でしかない。この取引量を確立したのは、大英帝国が植民地への資金供給をした海外銀行が、その権益を現在まで保持したことである。
この保持を可能にしたのが、米国とのイラン攻撃を共同で行うなど強い同盟関係を保持して、米国も英銀行の権益を保護したことである。戦後、中東諸国、特に湾岸諸国の石油収入が増加して、その資金の運用をHSBC、スタンダード・チャータード、バークレイズ、RBSなどの英海外銀行に任せたことで大きな外為取引量になっていた。
このため、リーマン破綻後、英本国銀行や米銀は凋落したが、英海外銀行はあまり影響されなかった。反対にバークレズはリーマン米組織を買収して規模を拡大している。HSBCは上位を占めていた米銀が凋落して、銀行の時価総額で第1位になっている。
というように英海外銀行は、リーマン破綻にあまり影響されていなかったのである。英国は本国銀行が凋落したので、大きなダメージを受けたが、それでも海外銀行が好調であり、英国の金融資本主義は、その繁栄を持続していた。
しかし、湾岸諸国は、ドルの下落で自国通貨を米ドルとのペッグ制から離脱させて、湾岸統一通貨へシフトする意向であり、ロスチャイルド銀行がそのアドバイザリーになったが、これは米国の意向とは違うことで、米英の同盟に大きな溝が出来ている。米ドルが基軸通貨である理由の大きな一つが、石油代金との結びつきである。
そして、英海外銀行は、湾岸諸国との結びつきで大きな利益を得てきたので、ドバイ開発資金の協調融資取りまとめも英海外銀行がしていた。
ということで、ドバイへの債権もその多くが英海外銀行が持つことになったようである。しかし、ドバイ首相国全体の債務額は8兆円であり、その半分程度が英海外銀行であるから4兆円程度のその半分が損失になる可能性があるようだ。
アブダビ首相国がドバイ救済に乗り出すが、全額の補償をしないと表明しているので、半分程度の減免処理が必要であろう。また、UAE全体の債務総額は23兆円であるが、ドバイを除くUAEは石油収入があるので債務不履行にはならないと見る。
このため、英ブラウン首相は「問題ではあるが、これまで対処してきた問題ほど深刻ではないことが明らかになるだろう」とも述べ、直近の金融危機ほど深刻化はしないとの認識を示したが、英海外銀行の凋落に繋がる可能性はあると見る。
英国は、このドバイショックで大きなダメージを受けたようである。特にブラウン首相の世界新秩序で構想した湾岸統一通貨を世界基軸通貨化する案にはドバイの国際金融センタを世界基軸通貨の中心地にする構想があり、そのために、ロスチャイルド銀行もドバイに支店を作り、英海外銀行もドバイに投資してきたのである。
この構想をサウジアラビアは拒否して、湾岸統一通貨の中心地をサウジの首都リヤドに置くとして、UAEは湾岸統一通貨の参加を拒否した。
~後略~
----------------------------------------------------------------
●日本の金融機関の債権額
三菱東京UFJ銀行 600億円強
三井住友銀行 200億円弱
みずほコーポレート銀行 約100億円
●世界の金融機関の債権額
英HSBC(HD) 175億ドル
スタンチャート 78億ドル
バークレイズ 36億ドル
RBS 22億ドル
シティグループ 19億ドル
BNPパリバ 17億ドル
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 09/11/30 PM08
『ドバイ・ショックを解析する』(国際戦略コラム)リンクより転載します。
----------------------------------------------------------------
~前略~
ドバイ政府の債務総額は800億ドルであるが、この内500億ドルの債務返済延期という金融危機を起しかねない衝撃が来た。この債務総額はアルゼンチンが2003年に債務818億ドルをデフォルトした時と同額である。債務818億ドルの国別保有は、アルゼンチンが34.8%、イタリアが15.6%、スイスが10.3%、米国が9.1%、ドイツ、日本がそれぞれ3.1%となっていた。
BISのデータによれば、世界の銀行によるUAEへの融資総額は6月末時点で1230億ドル。このうち英銀行は500億ドルで、フランス(113億ドル)、ドイツ(106億ドル)、米国(106ドル)、日本(90億ドル)である。際立って英国の銀行の債務が大きい。政府系投資会社ドバイ・ワールド向けの協調融資取りまとめでは、英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)が2007年1月以降では最大手だ。
英国は外為取引量では世界の34%を占めている。米国は17%でしかない。この取引量を確立したのは、大英帝国が植民地への資金供給をした海外銀行が、その権益を現在まで保持したことである。
この保持を可能にしたのが、米国とのイラン攻撃を共同で行うなど強い同盟関係を保持して、米国も英銀行の権益を保護したことである。戦後、中東諸国、特に湾岸諸国の石油収入が増加して、その資金の運用をHSBC、スタンダード・チャータード、バークレイズ、RBSなどの英海外銀行に任せたことで大きな外為取引量になっていた。
このため、リーマン破綻後、英本国銀行や米銀は凋落したが、英海外銀行はあまり影響されなかった。反対にバークレズはリーマン米組織を買収して規模を拡大している。HSBCは上位を占めていた米銀が凋落して、銀行の時価総額で第1位になっている。
というように英海外銀行は、リーマン破綻にあまり影響されていなかったのである。英国は本国銀行が凋落したので、大きなダメージを受けたが、それでも海外銀行が好調であり、英国の金融資本主義は、その繁栄を持続していた。
しかし、湾岸諸国は、ドルの下落で自国通貨を米ドルとのペッグ制から離脱させて、湾岸統一通貨へシフトする意向であり、ロスチャイルド銀行がそのアドバイザリーになったが、これは米国の意向とは違うことで、米英の同盟に大きな溝が出来ている。米ドルが基軸通貨である理由の大きな一つが、石油代金との結びつきである。
そして、英海外銀行は、湾岸諸国との結びつきで大きな利益を得てきたので、ドバイ開発資金の協調融資取りまとめも英海外銀行がしていた。
ということで、ドバイへの債権もその多くが英海外銀行が持つことになったようである。しかし、ドバイ首相国全体の債務額は8兆円であり、その半分程度が英海外銀行であるから4兆円程度のその半分が損失になる可能性があるようだ。
アブダビ首相国がドバイ救済に乗り出すが、全額の補償をしないと表明しているので、半分程度の減免処理が必要であろう。また、UAE全体の債務総額は23兆円であるが、ドバイを除くUAEは石油収入があるので債務不履行にはならないと見る。
このため、英ブラウン首相は「問題ではあるが、これまで対処してきた問題ほど深刻ではないことが明らかになるだろう」とも述べ、直近の金融危機ほど深刻化はしないとの認識を示したが、英海外銀行の凋落に繋がる可能性はあると見る。
英国は、このドバイショックで大きなダメージを受けたようである。特にブラウン首相の世界新秩序で構想した湾岸統一通貨を世界基軸通貨化する案にはドバイの国際金融センタを世界基軸通貨の中心地にする構想があり、そのために、ロスチャイルド銀行もドバイに支店を作り、英海外銀行もドバイに投資してきたのである。
この構想をサウジアラビアは拒否して、湾岸統一通貨の中心地をサウジの首都リヤドに置くとして、UAEは湾岸統一通貨の参加を拒否した。
~後略~
----------------------------------------------------------------
●日本の金融機関の債権額
三菱東京UFJ銀行 600億円強
三井住友銀行 200億円弱
みずほコーポレート銀行 約100億円
●世界の金融機関の債権額
英HSBC(HD) 175億ドル
スタンチャート 78億ドル
バークレイズ 36億ドル
RBS 22億ドル
シティグループ 19億ドル
BNPパリバ 17億ドル