225985 米国内の日本自動車メーカーは撤退を検討すべき時期到来
猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/02/06 PM09
『米国内の日本自動車メーカーは撤退を検討すべき時期到来』(新ベンチャー革命)リンクより転載します。
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1.米国トヨタへの攻撃は日本への攻撃に等しい
日本のものづくり企業の代表・トヨタ自動車への批判が米国から欧州に飛び火、トヨタは一大危機に陥っています。この問題は日本にとって極めて重大であり、日本の孤立化の引き金になる恐れが大です。2003年、筆者の上梓した『日米技術覇権戦争』(光文社)にて、日本企業が訴訟大国の米国でいかに狙われているかをMOT(技術経営)の視点から、事例を交えて詳細に記述しています。その当時、トヨタも米司法省から巨額訴訟を起こされていましたが、その行方が不透明であったため、当時はトヨタ事例をあえて加えませんでした。その後のトヨタ訴訟事件の経過は本ブログにてすでに取り上げています。今回、トヨタが再度、受けている大規模攻撃は極めて深刻です。
米国トヨタが被っているリコール被害の報道を読む限り、因縁をつけられているとしか思えないような些細なトラブルです。製造業は一般的に、悪意のある組織に狙われたらひとたまりもありません。とりわけ日本の製造業は、悪意のある訴訟マフィア攻撃には極めて脆弱な体質をもっています。
2.日本とはまったく異なる米国の訴訟社会の現実
企業に因縁をつけて賠償金をぶんだくる犯罪は日本では総会屋ヤクザくらいのものですが、米国は違います。良識派を装うNPOの訴訟マフィア(弁護士資格をもつ専門家集団)がゴマンと存在します。彼らは組織的にターゲット企業(カモ)に訴訟攻勢を浴びせ、合法的に賠償金をぶんだくるのです。このような訴訟マフィアは、特に日本企業だけを狙うとは限りませんが、彼らからみるとナィーブな日本企業が狙われやすいのは確かです。米国で営業する日本企業で、何らかの訴訟に巻き込まれない企業は皆無でしょう。当然、トヨタもそれを承知しており、訴訟のターゲットとならないよう万全の体制を構築しているはずです。にもかかわらず、今回のような大規模リコール攻勢を浴びせられ始めたのは、よほどのことです。
90年代末に米国トヨタの受けた大規模訴訟をジェイRF(米民主党上院議員)の協力で乗り越え、ここ10年、米国トヨタが順風満帆で経営してこられたのは奇跡に等しいほどです。そのおかげで、現在、トヨタは世界一の自動車メーカーに成長できました。ところが、好事魔多しで、案の定、やられてしまいました。近未来、トヨタの大転落は必至ですが、トヨタを盾に難を逃れているホンダはウハウハでしょうが油断大敵です。
3.トヨタ攻略ハラッサーの正体
90年代から米国トヨタは虎視眈眈と狙われていたわけですが、そのハラスメント仕掛け人(ハラッサー)は何者でしょうか。これまでの事件の推移から、背後に大掛かりな組織的ハラッサーが潜んでいると筆者はにらみます。90年代末の米国トヨタ攻略作戦展開時、ジェイRFの威力が奏功して、なんとかトヨタは救われていますが、今回はジェイの威力が効いていないと思われます。なぜなら、ジェイRFの狙っていた郵貯・簡保資金が、昨年の日本での歴史的政権交代、続く郵政民営化見直しによって、ジェイの関与するゴールドマンサックスの手中に入らなかったわけですから、今回、ジェイがトヨタを救う動機はもはや存在しないからです。
現実にトヨタを攻撃しているのは上記、NPO訴訟マフィア集団でしょうが、その背後には、彼らに資金提供する闇のスポンサーがいるはずです。その正体は容易につかめませんが、いずれにしてもGMやフォードを復活させたい勢力でしょう。
4.オバマ政権の国家技術戦略との関連性
周知のようにオバマ政権はグリーン・ニューディール政策を掲げていますが、その目玉は『スマートグリッド』です。その究極の狙いは、米国の車社会をガソリン燃焼車から電気自動車へ転換することです。これは米国にとって歴史的な社会革命です。その実現のために、是が非でも、GMやフォード、そして米国内の新興自動車ベンチャー(テスラ自動車など)の活性化が喫緊の国家技術戦略課題です。そこにトヨタなど日本の車メーカーが跋扈するのは米国の国益にならないはずです。筆者が米国の国家技術戦略オフィサーであれば、当然、そのように考えます。米国で歴史的な自動車革命が完結するまでは、米国企業の技術力を高めると同時に、米国内の日本自動車メーカーを合法的に撤退させる国家戦略は米国の国益にかなうのです。
5.日本自動車メーカーはこれまで米国で単に泳がされていたにすぎない
これまで、日本の自動車メーカーはなぜ米国での営業が許されたか、それは筆者の持論(米国覇権産業論:拙著『日米技術覇権戦争』)によれば、ガソリン燃焼自動車の技術体系は米国にとって、国家覇権技術からはずれるからです。量産のガソリン燃焼自動車技術体系はことごとく、軍事技術を民生用に棚卸したセカンド・ハンデッド技術体系なのです。日本の自動車メーカー技術は米国の国益を脅かさないから、単に経済競争原理のみで、米国内の営業を黙認されてきたに過ぎません。ちなみに米国の唱える自由競争原理は、米国の国益を侵さない範囲で適用されるにすぎません。ただし、米国における自動車市場は巨大であり、米国にとって一定程度の国家戦略的重要性はあるのです。
このような観点から、筆者は、量産ガソリン燃焼自動車産業を、軍事産業のような覇権産業と家電産業のような非覇権産業の中間の『準・覇権産業』として分類してきました。
6.オバマ政権の自動車革命にとって米国内の日本自動車メーカーは邪魔
量産自動車技術体系が、これまでのガソリン燃焼車から電気自動車に転換されようとする現在、当面、米国にとって電気自動車技術体系は電池技術やエコシステム技術を含め、国家覇権技術に格上げされます。そうなれば、米国内の日本自動車メーカーは米国の国益にとって脅威の対象に変貌します。こうして、日本自動車メーカーの代表・トヨタが攻略の対象になっていると分析できます。
7.米国で営業する日本の自動車メーカーはおとなしく撤退した方が無難
上記に分析したような米国の国家技術戦略を考慮した場合、米国で営業する日本の自動車メーカーはまず目立たないようにおとなしくしている他ありません。所詮、他人の庭で営業させてもらっている肩身の狭い身分ですから。
筆者が日本の自動車メーカー経営者であれば、徐々に米国での生産、営業を縮小するか、米国内の事業資産を思い切って米国資本に売却して、最終的に撤退します。その代わり、アジア投資を強化します。こういう決断はタイミングが命です。
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猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/02/06 PM09
『米国内の日本自動車メーカーは撤退を検討すべき時期到来』(新ベンチャー革命)リンクより転載します。
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1.米国トヨタへの攻撃は日本への攻撃に等しい
日本のものづくり企業の代表・トヨタ自動車への批判が米国から欧州に飛び火、トヨタは一大危機に陥っています。この問題は日本にとって極めて重大であり、日本の孤立化の引き金になる恐れが大です。2003年、筆者の上梓した『日米技術覇権戦争』(光文社)にて、日本企業が訴訟大国の米国でいかに狙われているかをMOT(技術経営)の視点から、事例を交えて詳細に記述しています。その当時、トヨタも米司法省から巨額訴訟を起こされていましたが、その行方が不透明であったため、当時はトヨタ事例をあえて加えませんでした。その後のトヨタ訴訟事件の経過は本ブログにてすでに取り上げています。今回、トヨタが再度、受けている大規模攻撃は極めて深刻です。
米国トヨタが被っているリコール被害の報道を読む限り、因縁をつけられているとしか思えないような些細なトラブルです。製造業は一般的に、悪意のある組織に狙われたらひとたまりもありません。とりわけ日本の製造業は、悪意のある訴訟マフィア攻撃には極めて脆弱な体質をもっています。
2.日本とはまったく異なる米国の訴訟社会の現実
企業に因縁をつけて賠償金をぶんだくる犯罪は日本では総会屋ヤクザくらいのものですが、米国は違います。良識派を装うNPOの訴訟マフィア(弁護士資格をもつ専門家集団)がゴマンと存在します。彼らは組織的にターゲット企業(カモ)に訴訟攻勢を浴びせ、合法的に賠償金をぶんだくるのです。このような訴訟マフィアは、特に日本企業だけを狙うとは限りませんが、彼らからみるとナィーブな日本企業が狙われやすいのは確かです。米国で営業する日本企業で、何らかの訴訟に巻き込まれない企業は皆無でしょう。当然、トヨタもそれを承知しており、訴訟のターゲットとならないよう万全の体制を構築しているはずです。にもかかわらず、今回のような大規模リコール攻勢を浴びせられ始めたのは、よほどのことです。
90年代末に米国トヨタの受けた大規模訴訟をジェイRF(米民主党上院議員)の協力で乗り越え、ここ10年、米国トヨタが順風満帆で経営してこられたのは奇跡に等しいほどです。そのおかげで、現在、トヨタは世界一の自動車メーカーに成長できました。ところが、好事魔多しで、案の定、やられてしまいました。近未来、トヨタの大転落は必至ですが、トヨタを盾に難を逃れているホンダはウハウハでしょうが油断大敵です。
3.トヨタ攻略ハラッサーの正体
90年代から米国トヨタは虎視眈眈と狙われていたわけですが、そのハラスメント仕掛け人(ハラッサー)は何者でしょうか。これまでの事件の推移から、背後に大掛かりな組織的ハラッサーが潜んでいると筆者はにらみます。90年代末の米国トヨタ攻略作戦展開時、ジェイRFの威力が奏功して、なんとかトヨタは救われていますが、今回はジェイの威力が効いていないと思われます。なぜなら、ジェイRFの狙っていた郵貯・簡保資金が、昨年の日本での歴史的政権交代、続く郵政民営化見直しによって、ジェイの関与するゴールドマンサックスの手中に入らなかったわけですから、今回、ジェイがトヨタを救う動機はもはや存在しないからです。
現実にトヨタを攻撃しているのは上記、NPO訴訟マフィア集団でしょうが、その背後には、彼らに資金提供する闇のスポンサーがいるはずです。その正体は容易につかめませんが、いずれにしてもGMやフォードを復活させたい勢力でしょう。
4.オバマ政権の国家技術戦略との関連性
周知のようにオバマ政権はグリーン・ニューディール政策を掲げていますが、その目玉は『スマートグリッド』です。その究極の狙いは、米国の車社会をガソリン燃焼車から電気自動車へ転換することです。これは米国にとって歴史的な社会革命です。その実現のために、是が非でも、GMやフォード、そして米国内の新興自動車ベンチャー(テスラ自動車など)の活性化が喫緊の国家技術戦略課題です。そこにトヨタなど日本の車メーカーが跋扈するのは米国の国益にならないはずです。筆者が米国の国家技術戦略オフィサーであれば、当然、そのように考えます。米国で歴史的な自動車革命が完結するまでは、米国企業の技術力を高めると同時に、米国内の日本自動車メーカーを合法的に撤退させる国家戦略は米国の国益にかなうのです。
5.日本自動車メーカーはこれまで米国で単に泳がされていたにすぎない
これまで、日本の自動車メーカーはなぜ米国での営業が許されたか、それは筆者の持論(米国覇権産業論:拙著『日米技術覇権戦争』)によれば、ガソリン燃焼自動車の技術体系は米国にとって、国家覇権技術からはずれるからです。量産のガソリン燃焼自動車技術体系はことごとく、軍事技術を民生用に棚卸したセカンド・ハンデッド技術体系なのです。日本の自動車メーカー技術は米国の国益を脅かさないから、単に経済競争原理のみで、米国内の営業を黙認されてきたに過ぎません。ちなみに米国の唱える自由競争原理は、米国の国益を侵さない範囲で適用されるにすぎません。ただし、米国における自動車市場は巨大であり、米国にとって一定程度の国家戦略的重要性はあるのです。
このような観点から、筆者は、量産ガソリン燃焼自動車産業を、軍事産業のような覇権産業と家電産業のような非覇権産業の中間の『準・覇権産業』として分類してきました。
6.オバマ政権の自動車革命にとって米国内の日本自動車メーカーは邪魔
量産自動車技術体系が、これまでのガソリン燃焼車から電気自動車に転換されようとする現在、当面、米国にとって電気自動車技術体系は電池技術やエコシステム技術を含め、国家覇権技術に格上げされます。そうなれば、米国内の日本自動車メーカーは米国の国益にとって脅威の対象に変貌します。こうして、日本自動車メーカーの代表・トヨタが攻略の対象になっていると分析できます。
7.米国で営業する日本の自動車メーカーはおとなしく撤退した方が無難
上記に分析したような米国の国家技術戦略を考慮した場合、米国で営業する日本の自動車メーカーはまず目立たないようにおとなしくしている他ありません。所詮、他人の庭で営業させてもらっている肩身の狭い身分ですから。
筆者が日本の自動車メーカー経営者であれば、徐々に米国での生産、営業を縮小するか、米国内の事業資産を思い切って米国資本に売却して、最終的に撤退します。その代わり、アジア投資を強化します。こういう決断はタイミングが命です。
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