ポルトガルのキノコ。キノコの名前教えてください。

ポルトガルの森などで撮ったキノコの写真集です。間違いなどありましたら教えて下さい。食毒はあくまでも自己責任で。

9.ホコリタケ Lycoperdon perlatum Pers

2012-11-26 07:19:27 | ポルトガルのキノコ

 

ホコリタケ(埃茸)は担子菌門真正担子菌綱ハラタケ目ハラタケ科に属するきのこ。キツネノチャブクロの別名でも呼ばれる。英名・Common Puff Ball(Wikipediaより)
2012年11月18日、22日、27日、12月、ポルトガル、セトゥーバル郊外の森で撮影


キツネノチャブクロの別名でも呼ばれる。子実体は4-6cm程度、頭部と柄とで構成されるが、両者の境界はしばしば不明瞭である。頭部はほぼ球形で、普通は径2-3cm程度、白色~クリーム色を呈し、初めは黒褐色・円錐状の細かい鱗片(殻皮最外層のなごり)を密布するが、次第に汚褐色~灰褐色に変わり、鱗片も徐々に脱落するとともに小さな円形の脱落痕を残す。頭部の内部組織(基本体と呼ばれる)は、初めは肉質で白いはんぺん状であるが、成熟するにつれて次第に黄変しながら黄褐色の液汁を滲み出し、最終的には胞子と弾糸と呼ばれる乾燥した綿状の菌糸とで構成された暗褐色・古綿状の塊となる。胞子が成熟した後には、頭部外皮の頂端に一個の穴が開き、胞子はその穴から外部へと放出・分散される。柄は倒円錐状をなし、表面は頭部とほぼ同色でざらつき、内部は丈夫なスポンジ状で腐りにくく、子実体が成熟して胞子を分散させてしまった後も長く残る。また、頭部と柄との境は丈夫な薄膜で仕切られており、柄の基部からは、しばしば白くて細長く不規則に分岐した根状菌糸束を伸ばす。


胞子はほとんど球形で黄褐色・厚壁、表面は微細ないぼにおおわれる。担子器は歪んだ円筒形ないし倒こん棒状で、4~6個の胞子を生じる。弾糸は厚壁かつ淡褐色を呈し、ときに分岐しており、かすがい連結を持たない。頭部をおおうとげ状鱗片(殻皮最外層の断片)は、無色~淡灰褐色で厚い壁を備えた球形細胞の連鎖の集合で構成されている。


夏から秋にかけ、林内や路傍あるいは草原などの地上に群生または点々と散生する。生態的には植物の遺骸(落ち葉・落ち枝など)を分解して栄養源とする腐生菌の一つであるとされる。


溶性でんぷん(4.0パーセント)とショ糖(1.0パーセント)・肉エキス(2.0パーセント)・酵母エキス(0.3パーセント)を含む培地、もしくはブドウ糖・グリセリン・ペプトン・酵母エキスとともに少量(0.2パーセント)の塩化ナトリウムを加えた液体培地(寒天を加えない)を用い、菌糸が培地の底に沈まないように培養容器を軽く振り動かしながら管理することで、培養菌株を得ることができる。ただし、人工的条件下での子実体形成に成功した例はまだない。


極地を除き、ほとんど全世界に産する。日本国内でも、市街地の公園などから深山にいたるまで、普通に見出される。キホコリタケ(Lycoperdon lividum Pers.)は外形も大きさもよく似ており、特に老熟した子実体はしばしば混同されているが、子実体の頭部をおおう外皮最外層の断片(鱗片)がほぼ白色を呈し、キツネノチャブクロのそれ(とげ状~円錐状)と異なり、微細なぬか状~粉状をなすこと・成熟に伴って子実体全体が黄色を帯びてくること・弾糸の表面のところどころに、小さな丸い孔が不規則に生じることなどで区別される。また、どちらかといえば、草地などに発生することが多いとも言われる。


また、タヌキノチャブクロ(Morganella pyriformis (Schaeff. : Pers.) Kreisel et Krueger)は、多くの場合は腐朽材上(あるいは地上に散乱した木片などの上)に発生し、頭部表面をおおう外皮膜片はとげ状に尖らず、丸みを帯びたいぼ状~粉状をなす。柄の頂端から頭部の底部にかけて、柱軸と呼ばれる円錐状の無性組織が発達することでも異なっている。


内部が純白色で弾力に富んだ若い子実体を選び、柄を除き、さらに堅くて口当たりの悪い外皮を剥き去ったものを食用とする。内部の組織が黄色みを帯びたものは、異臭があって食用に耐えない。はんぺんに似た口当たりであるため、吸い物のような薄味の汁物などによく合う。酢の物・醤油をつけての串焼き・バター焼などにも使う。漢方では「馬勃(ばぼつ)」の名で呼ばれ、完熟して内部組織が粉状となったものを採取し、付着している土砂や落ち葉などを除去し、よく乾燥したものを用いる。咽頭炎、扁桃腺炎、鼻血、消化管の出血、咳などに薬効があるとされ、また抗癌作用もあるといわれる。西洋でも、民間薬として止血に用いられたという。


ホコリタケ(および、いくつかの類似種)は、江戸時代の日本でも薬用として用いられたが、生薬名としては漢名の「馬勃」がそのまま当てられており、薬用としての用途も中国から伝えられたものではないかと推察される。ただし、日本国内の多くの地方で、中国から伝来した知識としてではなく独自の経験則に基づいて、止血用などに用いられていたのも確かであろうと考えられている。


鉛・カドミウムなどの重金属やセレンなどを吸収して生物濃縮を行う性質がある。この性質を利用し、重金属による土壌汚染の程度を推定する指標としての応用が研究されている。総炭水化物は42g、総たんぱくは44.9g、脂肪は10.6gとの分析結果がある(いずれも100g乾重あたり含有量)。


脂肪酸としては、リノレイン酸・オレイン酸・パルミチン酸・ステアリン酸が検出されており、色素としてはメラニンが含まれている。香気成分としては、マツタケオール(3-オクテン-1-オール)・イソマツタケオール(cis-3-オクテン-1-オール)・ 3-オクタノン(アミルエチルケトン)および桂皮酸などが知られ、無機成分では、鉄(100g乾重あたり5.5㎎)およびマンガンが比較的多い。


この他に、リコペルド酸(Lycoperdic acid)と呼ばれる非たんぱく性アミノ酸を含んでいる。その一方で、ノウタケ属の菌やタヌキノチャブクロなどの培養ろ液から得られたカルバチン酸(Calvatic acid)は、ホコリタケからは見出されていない。


「ホコリタケ」の名は、本種を示す和名として用いられるほか、ホコリタケ属・ノウタケ属・ダンゴタケ属・シバフダンゴタケ属などに属する本種以外の種をも含めて総称する呼称としても使われる場合がある。成熟した子実体の外皮が何かに接触したり風に吹かれるなどの物理的刺激を受けると、頂部に開いた孔から胞子が煙のように噴出することから与えられた名である。迷信ではこの煙が耳に入ると耳が聞こえなくなるという地方もあり、「つんぼたけ」とか「みみつぶし」などの方言名は、この迷信に由来する。


方言名も、上記の二つのほかに「かぜのこ」・「けむだし」・「かぜぶくろ」・「うさぎたけ」・「かざぶく」・「いしわた」・「いしのわた」・「きつねのおこつ」・「きつねのたばこ」・「きつねのたま」・「きつねのだんご」など多数にわたるが、これらもまた、本種のみでなく、上記の各属に属する複数の類似種をも含めた呼称である場合が多い。
漢名の「馬勃」もまた、本種とともに、いくつかの類似種(日本では未産の種をも含む)の総称であると考えられる。(Wikipediaより)
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