神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

神戸・生田神社。

2006年05月14日 | ■神戸市中央区
縁結び・健康長寿・合格祈願・勝運・交通安全

生田神社

(いくたじんじゃ)
神戸市中央区下山手通1-2-1

神仏霊場兵庫 豊饒の道・第1番札所
KOBE七福神・弁財天



神戸の中心地・三宮に鎮座する生田神社。「神戸」の名の由来となった神社です。


〔御祭神〕
稚日女尊
(わかひるめのみこと)



 JRや阪急、阪神や神戸市営地下鉄の三宮駅から高架沿いに西へ少し歩くと、「IKUTA ROAD」のアーチが目に入ります。昼も夜も多くの人々で賑わう神戸の中心地・三宮の生田新道沿いに立つ東急ハンズの向こうに、朱塗りが一際明るい大きな鳥居が立っています。その奥に鎮座しているのが生田神社長田神社湊川神社とともに神戸三社のひとつに数えられ、初詣の際には神戸の中で最も多い150万人近い参拝客を集める由緒正しい古社です。創建の時、社領として朝廷より神社に御供えする米や酒などを作る荘園である神戸(かんべ)を賜わり、9世紀初頭の記録には「生田の神封四十四戸」という記述が残されています。この神戸が中世になるにつれて紺戸(こんべ)に変わり、最終的には神戸(こうべ)となったそうです。そのため、生田神社は「神戸」という名前の由来となった神社としても知られています。




 
ともに鮮やかな朱塗りが映える二の鳥居(左)と楼門(右)。



 「日本書紀」によると201年、神功皇后新羅遠征から難波の都へ帰る途中に神戸港にさしかかったところ、船がぐるぐる回って進まなくなりました。そこで務古の水門(現在の和田岬辺り)まで戻って占いを行ったところ、稚日女尊の神託を受けました。「吾は活田長峡国に居らむと 海上五十狭茅に命じて生田の地に祀らしめ。」 つまり「わたしは活田長狭国にいたいのです。海上五十狭茅に命じて生田の土地に祀らせてほしい」というのです。その神託に従って祠を築いたのが始まりだとされています





震災で全壊した社殿は、氏子の皆さんの御尽力によって不死鳥の如く復活しました。



 「活田」や「長狭」はこの地域の古い地名で、今も「生田通」「北長狭通」などの地名に名残りを残しています。ただ、元々の御社は今の新神戸駅の奥の砂山(いさごやま)と呼ばれるところにありました。砂山は、読んで字のごとく砂地で崩れやすい地盤の場所だったため、周囲に松の木が植えられるなど地滑り対策が行われていました。しかし、せっかくの松林も長く続いた大雨のためにあっけなく崩壊。祠の御神体は、長雨による土砂崩れを心配して危険を顧みずに駆け付けた刀祢七太夫という地元の若者によって間一髪救出され、現在地に遷されたといわれています。洪水を防ぎ切れなかったため、現在でも「松の木頼むに足らず」として境内に1本も松を植えられておらず、正月に飾られるはずの門松も松を一切使わず杉の木で代用するほど徹底されています。




 
社殿の奥に鎮座する市杵嶋神社(左)と、鬱蒼と広がる「生田の森」(右)。



 神社の北西には1,600㎡にわたって「生田の森」が広がっています。生田の森は、往古は現在のフラワーロード辺りにまで及ぶ広大な森でした。交通の要衝の地に広大な森を抱えた生田神社は、軍事上も重要な拠点となったため何度も戦乱に巻き込まれることとなります。源平の争乱の時には平知盛公が生田の森に陣を構えて源範頼公と戦い、南北朝争乱の際の湊川合戦では新田義貞公がここで足利尊氏軍を迎え討ちます。戦国時代には織田軍が謀反した荒木村重公が拠っていた花隈城を攻める際にここを中心に陣を構えるなど、戦乱に遭うたび様々な被害を受けて貴重な文献も失われていきました。




 
梶原景季公ゆかりの「箙の松」(左)と、「鏡の井」とも呼ばれる「梶原の井」(右)。



 その後も1938(昭和13)年に神戸を襲った阪神大水害や、1945(昭和20)年に起きた神戸大空襲、そして1995(平成7)年の阪神・淡路大震災など、何度も壊滅的な被害を受けてきた生田神社は、そのつど氏子や崇敬者の方々の協力により復興を果たしてきました。そして度重なる被害から立ち直った神社だということから「蘇る神」として崇敬されています。また、勝運の神としてJ1リーグのヴィッセル神戸など、地元に本拠を置くスポーツチームも必勝祈願と1年の健康祈願のために訪れています。




 
二の鳥居の左手に鎮座している大海神社(左)と、右に鎮座する松尾神社(右)。


アクセス
・阪急電車「三宮駅」下車、北西へ徒歩5分
・阪神電車「三宮駅」下車、北西へ徒歩7分
・JR神戸線「三ノ宮駅」下車、北西へ徒歩7分
・神戸市営地下鉄山手線「三宮駅」下車、徒歩すぐ
生田神社地図  【境内図】  Copyright (C) 2000-2009 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・無料

拝観時間
・常時開放

公式サイト



生田神社
加藤 隆久
學生社

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