サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

164日目「モーリス・ユトリロ展(損保ジャパン東郷青児美術館)」新宿

2010年05月16日 | 姪っ子メグとお出かけ
姪っ子メグ 文化学園服飾博物館で「ヨーロピアン・モード(18世紀から現代まで)」を見たわけだけど、高校生の子たちが可愛らしかったわね。
キミオン叔父 文化学園に入学希望なのかな。四人連れだったけど、いまどき珍しい野暮なセーラー服でおかっぱでほっぺたがりんごのように赤い色をしている。学校の事務局みたいな人が受付で案内していたけど、応募のための宣伝活動なのかな。
なんかおどおどしてるんだけど、事務局員から離れて展示ルームに入ったら、イキイキしていて、どこか田舎から出てきたんだろうけどさ、頑張って欲しいよね。
モードの歴史というのはわかりやすいね。やっぱり今回も特集していたけど、面白いのは1920年ごろからのアールデコの時代かな。あのあたりから、貴族社会のなかでの「美」の感覚から、女性の自由、機能重視、解放があらわれてくる。
ディオールとかサン・ローランとかいろいろいるけど、そのなかでもやっぱりココ・シャネルかな。生誕百年ということで映画にもなっていたけど、彼女がなしとげた革命はほんとうにすごかったのね。モードの流れを通して見るとすごくわかる。
あの女の子達も、お針子さんになるのかなぁ。シャネルだって、一介のお針子さんからスタートしたわけだけだから、頑張って欲しいよね。



ユトリロ。日本人にも人気が高い。今回はいままで日本では見られなかった作品含めて90点。なかなか見ごたえがあった。
ユトリロっていうとモンマルトルの有名なスケッチが何点かあって、オジサンも若いときにパリに行ったときは、ああここだ、ここだって構図を探してたりしてたよな。
生涯にわたって、ほとんど建物や道や教会やという町のスケッチよね。これほど、静物画や肖像画が少ない画家も珍しいわよね。
20世紀の前半から中盤にかけてなんだけど、同時代の画家と較べて、絵画の革新運動というよりは、ともあれ自分の世界をせっせと書き続けた特異な人生。生涯、アルコール中毒や精神治療から自由じゃなかったからね。
やっぱり母親のヴァラドンの影響が大きいわよねぇ。洗濯女の娘で、奔放な性格をしていたけど、画家のモデルで引っ張りだこになって、自分も絵を描いたり派手な生活をしたり、ユトリロをおばあちゃんに任せたまま社交活動をしている。ユトリオは十代でアルコール中毒で入院して、絵を描き始めたのもその治療の一環ですものね。
ヴァラドンの二番目の夫はユトリロより三歳年下だけど、ここで奇妙な同居生活が会って、才能を認められ始めたユトリロのマネージメントをして、どんどん描かせる。半分、幽閉するみたいなかたちでね。
ユトリロはようやく50歳を過ぎて、自分の絵も買ってくれた年上の未亡人と再婚するわけだけど、このおばさんがまたなかなかのやり手バーサンだったのね。どんどん絵を描かせるばかりで。結局、ユトリロって孤独でマザコンで、とってもかわいそう。
独特の白を使って、建物や町を描くんだけど、徹底して自然風景を描いていないよね。人物も女性なんかは、お尻が張り出した女性をたいして愛情もなさそうに絵の中に配置しているだけ。なんなんだろう、絵を描く歓びなんてなかったんじゃないかなぁ。それにもかかわらず、こんなにユトリロのファンがいるのもまた凄いことだな。
ほら、どこかユトリオは独学だし、彼の描く絵なんて、そこらにたくさんいる日曜画家と紙一重じゃない。あたしだって描けそうな錯覚に陥ってしまう。でも、絶対描けないのよね。どこかで精神に異常を来たしているのか、そういうように見做されてお金を稼ぐ道具にされてしまったのか、絶句するわね。
生涯を通じて、母親の影響から脱することができなかったんだろうな。

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2 コメント

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TB有難うございます (MIEKO)
2010-07-05 23:25:16
再び「キャピタリズム~マネーは踊る~」へのコメントと共に、有難うございます。

kimion20002000さんは、ユトリロ作品の舞台散策したりもされたのですね。この展示会は、解説で、ずっと閉じ込められたような生涯、という事で、そういう狭い世界で、あの楚々とした街並みを描き続けた、という特異さも改めて、だったり、初期のや、少し色合い違う作品等も見られて、割と満足でした。
MEIKOさん (kimion20002000)
2010-07-06 00:19:13
こんにちは。
たまたまそちらの記事を発見したので、TBさせていただきました。
今回の展示会は、ほとんど日本初紹介ばかりだったので、興味深かった。
ユトリロに持っていた認識が、だいぶん変わりました。

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