サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

複雑な人/川内康範(作詞家)/88歳

2008年04月07日 | 毎日がメメント・モリ

「月光仮面」「おふくろさん」…川内康範さん死去


4月7日17時23分配信 読売新聞




 テレビ番組「月光仮面」の原作や、ヒット曲「誰よりも君を愛す」「おふくろさん」などの作詞で知られる川内(かわうち)康範(こうはん)(本名・潔=きよし)さんが、6日午前4時50分、入院先の青森県八戸市内の病院で亡くなった。88歳だった。告別式は近親者だけで行う。
 北海道函館市生まれ。高等小学校を卒業後、鉄道員や炭鉱員を経て、上京。作家の中河与一に師事し、「天の琴」「生きる葦(あし)」などの小説を発表した。その後、映画「銀座旋風児(マイトガイ)」シリーズや「東京流れ者」など多くの脚本を手がけ、1958年から放送された「月光仮面」の原作者として一躍有名になった。
 週刊誌に恋愛小説を執筆しながら、作詞家としても活躍。60年の日本レコード大賞を受賞した松尾和子さんの「誰よりも君を愛す」や、森進一さんの「花と蝶」「おふくろさん」、青江三奈さんの「恍惚(こうこつ)のブルース」など、数多くのヒットを放った。
 後年は政治評論も行い、機動隊の応援歌を作ったり、グリコ・森永事件で犯人の「かい人21面相」に犯行中止を呼びかけたりして話題を集めた。竹下登元首相や福田首相と交流があるなど、政財界にも広い人脈を持っていた。

 また、2006年のNHK紅白歌合戦で、森さんが「おふくろさん」の本歌にない歌詞を加えて歌ったことに反発。日本音楽著作権協会に対し、「作者の意図に反する無断改変に当たる」と通知した。森さんがこの曲を歌うことを自粛するなど、著作権問題に一石を投じる騒ぎになった。


国士といえばいいのだろうか。
筋を通すということに対しては、この人なりに思うことがあったのだろう。

仏教思想が背景にあるようで「月光仮面」も月光菩薩をイメージしている。
「憎むな、殺すな、赦しましょう」がキャッチフレーズではあるが、奇妙といえば奇妙なフレーズである。

「日本むかし話」の監修をして、長寿番組に育て上げたことと、青江美奈の名曲「恍惚のブルース」の作詞が、同一地平にある事の不思議。
グリコ・森永事件の犯人に資財を担保に休戦を申し入れたり、晩年の森進一への縁切り宣言。
大向こう受けを狙ったのかもしれないし、彼なりの正義感の表明であったかもしれない。

民族派の同伴者とも見られたし、どこか一撃一殺の浪漫的テロリズムの匂いをさせながらも、ガンジーの絶対平和主義を誉めそやしたりもした。

大陸浪人的な、大アジア主義であるかもしれないし、表現されたものを見る限りでは、センチメンタリズムを大切にしたロマンチストのようにも見える。
複雑といえば複雑だし、その語る言葉は、あまりにも含みのない平明すぎる主張でもあった。
もう、こんな表現者は出ないかもしれない・・・合掌!




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1 コメント

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おふくろさんと月光仮面  (もののはじめのiina)
2021-08-07 11:05:22
幼いながらに記憶していたてい「月光仮面」の川内康範が、忽然と「おふくろさん騒動」に現れて戸惑いました。

森進一の代表歌を封印できるかを見守ると、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、次のように判断しました。
作詞・作曲・編曲は著作権法による保護の対象となるが、歌手には著作隣接権(オリジナルバージョンについてはそのまゝ歌える)を有する。

川内康範は、熱心な「森進一の後見人」であったらしく、詩人としてのこだわりがこじれて残念なことになりました。

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