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最新刊『子どものまなざし 子育てがおもしろくなる話②』 土佐いく子 著

2009年10月21日 | 新刊案内

 三年生の新也くんが友達とケンカして、三階の窓の柵に登って「死んだる」と叫んでいます。暴れる新也くんを抱いて静かなところへ連れていきました。

「なあ…新也、沖縄にね『ヌチドウタカラ』っていう言葉があってね、『命こそ宝』っていう意味や。沖縄は戦争があったからたくさんの人が死んで、それで沖縄のおばあたちはその言葉をずっと大切にしてきたんやで。『死んだる』なんか言うてたらあばあが泣くで」と言うと表情が和らぎました。ふるさと沖縄が大好きな新也です。

「死ぬまで一人、死んでも一人、幸せになりたかった」という言葉を残して、秋葉原で青年が他殺という名の自殺をしました。死んでからもずっと孤独だと叫ばせる今日の時代とは何なのでしょうか。

 いえ青年ならずともわずか七歳の一年生が「先生、ぼくなんか生まれてこんかったらよかった」とつぶやく今なのです。今、学校は何をしなけらばならないのかと考え込んでしまいます。

 私は昔も今も学校は、子どもたちに生きていく希望を届けるところでありたいと思ってきました。そうです。学校へ行けば賢くなれる。そして「よう来たね」と声をかけてくれる先生がいて、「遊ぼ」と誘ってくれる友達がいる。やっぱり人間ってあったかいなと人への信頼を届ける所なのです。だからこそ、学校は安心の場、自分の居場所のある所でありたいものです。

「先生、ぼくここにいるよ。ぼくの方向いて! ぼくの話聞いてね。勉強わかるように教えてね」とどの子も願っています。

 子どもたちは、悲鳴をあげながらも明日に向かって、健気に生きているのです。

 いえ、親や先生たちも今を生き抜く知恵とエネルギーを貯めながら懸命に歩き続けているのです。

 私は、そんな子どもたちや親、先生方にたくさんの元気をいただいて四〇年間教師生活を続けてきました。

 人間が人間らしく輝いて生きていくことを誰一人止めることはできません。どんな困難があっても歴史は、希望に向かって進んでいくのです。

 しかし今、教職員は管理化と異常なまでの多忙さの中で、命を削って働いています。

 親もまた、今日を生きるのに精一杯、優しい笑顔を向け、ほっこりとわが子を抱きとめる心の余裕も時間も奪われています。

 ときには疲れ果てて、仕事も子育てからも逃げ出したくなる日もあるでしょう。自分が情けなくて淋しくて畳をかきむしる思いで涙する日もありますよね。そんな時、この本を手に取ってみてください。少し優しい風が心の中に吹いて来て「こんな自分だけど大丈夫」「うちの子、やっぱりかわいいわ」と思えたら明日もなんとかやっていけますよ。

 そんな小さな元気が届けられる本になればと願っています。(著者 まえがきから)

『子どものまなざし 子育てがおもしろくなる話②』

土佐いく子

四六判 264ページ 定価1600円
ISBN978-4-88900-861-6

*11月初旬より書店発売予定

*お問い合わせ、通販のお申し込みはコチラ、またはコチラからどうぞ!

●もくじ

 はじめに

 第1章 子どもっておもしろい!

    1.川柳で笑い飛ばして、また明日
    2.笹舟ゆらゆら
    3.高め合って引き分けにする
    4.「力ンぺーズ」命、遊びに夢中
    5.子ども心を失わず今を生きる
    6.ひたすら楽しむ「学級クラブ」
    7.子ども自治で学級を創る
    8.こんな子どもいいな

 第2章 子どもの声に耳傾けて 

    10.ほめられる日きて!!
    11.他人を傷つける子は自分が傷ついてきたんや
    12.「生まれてこんかったらよかった」
    13.よい子でなくていい、立派な親でなくていい
    14.学級崩壊、心の叫びに耳傾けて
    15.子どもの身体のSOS
    16.子どものサインが見えますか
    17.話を聞いてくれるヒマそうな大人

 第3章 どの子も見捨てない―先生への応援歌①

    18.どの子もかしこくなれる
    19.ヤッター! 全員100てんや
    20.やりたいことの中に育ちの芽が
    21.手のかかる子を切り捨てまい 
    22.「先生、うちらのこと見捨てへんか」
    23.きみが一番苦しかったね
    24.「お母さんを大事にしろよ」

 第4章 ことば、表現は生きる力―先生への応援歌② 

    25.子どもは詩人
    26.子どもの世界に寄せてもらう
    27.作文で一人ひとりを主人公に
    28.書くことは生きる支え
    29.産んでくれてありがとう
    30.バトンタッチされた「学級だより」
    31.人間の言葉が育つとき
    32.作文読んだら、やっぱり子どもがかわいい
    33.おはなしの世界でほっこり

 第5章 笑顔の生まれる教室で―先生への応援歌③ 

    34.勉強がおもしろいと思うとき
    35.「引きぎわが大事なんや」
    36.トラブル・ケンカを育ちの力に
    37.背中をポンと押して新学期へ
    38.2分の1成人式を祝う
    39.本物の文化に心動かす
    40.親と教師をつなぐ連絡帳
    41.発達の可能性を信じて 

 第6章 どっこい、父ちゃん母ちゃんもがんばってる  

    42.親の失敗談で大笑い
    43.「欠点まるがかえで信じる」
    44.親の愛情届いていますか
    45.勉強しろと言うよりおいしいごはんを
    46.生きるすべをていねいに2.新しい家族を作る
    47.「お母さん、本よんで」
    48.けんか・トラブル こんなとき親はどうする?
    49.今、大人が伝えたい、人は信じられるということ
    50.やったね父ちゃん
    51.こんな母ちゃんいいな
    52.こんなお父さんいいな
    53.新しい家族を作る
    54.お母さんになってくれてありがとう
    55.どこの家庭にも子育ての知恵がある
    56.親同士をつなぐ「まわる雑記帳」

 第7章 明日の教育を考える  

    57.心をこめて平和の大切さを
    58.いじめ・自殺問題を考える
    59.若者の心の叫び
    60.「モンスターペアレント」と言わないで
    61. 人間の風吹く職場に
    62.親子でいじめを乗り越えて

 あとがき

●紹介記事

 
 
 『しんぶん赤旗 日曜版』(2009年12月6日)

 

 

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