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葛飾ビラ配布弾圧事件に思う

2009年12月01日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 葛飾政党ビラ配布事件に最高裁で有罪判決が出ました。しかしまったくもっておかしな判決です。言論表現の自由への攻撃として、断固抗議します。

 いろいろ疑問があります。このマンションは従来から様々な商業ビラはもちろんいろんなビラが投函されていたそうです。なのになぜ荒川さんのビラ配布は警察に通報され、逮捕に至ったのか。逮捕されるまで苦情を言われたこともなかったし、被害届けも出ていないのになぜか、ある日突然逮捕されたのです。

 投函禁止は管理組合の規則だといいますが、住民たちは本当に投函禁止に賛成したのでしょうか? そんなことを管理組合が決めることができるのでしょうか? 住民の中にはビラ投函OK、読む自由もあるという人もきっといるでしょう。

 新聞報道によると、このマンションには管理組合の議事録にも載っていないような規則があったという管理人の証言を根拠に、最高裁は荒川さんが管理組合の決定を犯したと判断したとされています。実にいい加減な判断のように思えます。

 もしこういう規則をマンション住民が決めていたとしたなら、何とも薄ら寒さを感じるマンションではないかと思います。私は住みたくない。そう思います。そういう管理組合自体が恐ろしいです。

 私たち1人ひとりの民主主義に対する感度が問われる事件です。

 我が家にも様々なビラが投函されます。そこに自分に関係あるものはほとんどありません。勧誘の電話もよくかかります。実に鬱陶しく感じることもしばしばです。

 でもだからといってじゃあ、即警察に電話して取り締まれとはなりません。気に入らなければゴミ箱へ捨てればいいのです。読まなければいいのです。それが普通の感覚でしょう。

 誰でも自由に自分の意思を表現することができるという民主主義の大本の感覚がわかっているからこそ、まあそれでいいじゃないかと許せるのだと思います。

 弁護士の内田雅俊氏はある本でこう書かれています。

「現代社会は多少の『迷惑』『不快感』を甘受することを前提に成り立っている。これを直ちに刑罰によって取り締まったら社会全体がギスギスしたものになる。
 警察の基本は『民事不介入』で、些細な生活上のトラブルは極力、当事者が話し合って解決すべきこと。いったい全体、このビラ配りの結果、住民にいかなる『被害』が発生したのか? 
 仮に『被害』があったとしてもそれは民事上の損害賠償請求が認められるようなものではない。民事事件にすらならないようなことになぜ『民事不介入』を掲げる警察が介入して来たのか? 
 それはこの警察が刑事警察ではなく『公安警察』だからである」(岩波BL№655より)

 そう、これは住居侵入罪なんかの事件ではない、あきらかな政治弾圧、言論弾圧事件なのです。でないと、自宅が強制捜査され、逮捕から起訴まで23日間も拘留されるなんてことには普通はならないでしょう!

 また、『朝日』の中井記者が書いています。

「今回の判決に従えば、ビラを配るために集合住宅に入ることは多くの場合、犯罪と認定されるだろう。そのことで得られる『平穏』と、表現の自由という、市民の大切な権利の行使を萎縮させる影響とを比較すると、判決はあまりにも形式的だ」

 いったい最高裁って何なのかとこういう判決が出るたびに思います。あの判事たちは何を恐れているのでしょうか? なぜ大事な憲法判断を避けるのだろうか。

 先頃、NNNドキュメントで裁判官をテーマにした番組がありました。そこで描かれていたのは長沼ナイキ訴訟での自衛隊違憲判決など真正面から憲法判断を下した裁判官に対する司法中枢部からの凄まじいいじめ、圧力の様子でした。

 今、日本の政治が変わり、また世界の流れも大きく変わっている時、どうも日本の司法の世界は市民感覚、あるいは国際感覚から大きくずれているような気がしてなりません。まさに司法の危機です。でもそれは勝手に裁判所自身が招いている危機のように思えます。

 国際機関から「日本は表現の自由への不合理な制限をやめるべし」という勧告が出せれているそうですが、いったい最高裁はこの勧告にどう応えるのでしょうか。

 


 

 

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