Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

PCが携帯電話のテリトリーを脅かす日

2008-04-02 23:59:28 | Thinkings

 今、携帯電話の高機能化が止まらない・・・とは一概に言えません。
 確かにインターネットに接続はできるし、ある程度リッチなアプリケーションも動くようになってきています。ワンセグが見られる機種も多くなっており、「携帯電話ならでは」のサービスも増えてきています。

 しかし、表示できる情報量を決定する画面解像度は相変わらずQVGAだし、インターネットに接続できるとはいえ、あくまで「携帯電話ならでは」のサービスの範疇にとどまっており、Flash対応のまずさなど、ネットをする上での制限の多さは解決に向かっているとは言い難い。そのおかげでモバゲーなどの閉鎖的なコンテンツが流行っているのだとは思いますけれど・・・。リッチなアプリケーションといえど、プロダクトが活発なゲームがメインであり実用アプリはディフォルトインストールのシンプルなものしか期待できず、肝心なゲームも、内容が進化しているとはいえ入力デバイスがテンキーのみでは・・・アレでリッジレーサーを完璧にこなせるヤツはニュータイプだと思います。

 つまり、「携帯電話」としてのプラットフォームは数年前から何も変わっていないと言っても過言ではありません。「モバゲー」以上のイノベーションが、ここ最近起きているようには見えないのが暗に閉塞感を表しています。

 対してPCは、と言いますと、数年前に比べて値段の幅が劇的に広がり、PCの処理速度や表現能力を生かしたWebアプリもGoogleのおかげで大量にリリースされています。
 そして、インテルがAtomを発表しました。超低消費電力のモバイル向けx86プロセッサーを手に入れ、PCはどこに向かうのでしょうか?

モバイルインターネット革命が始まる──Centrino Atom搭載MIDが展示 ITmedia

 ここで示されている「1w程度」の駆動電力と、最安でチップセット含め「4530円」という価格。そして、各PCベンダーがこぞってMIDと呼ばれる極小デバイスを開発しているという事実があります。

 MIDとは、Mobile Internet Device(モバイルインターネットデバイス)の略だそうで、インテルによると次の様なものらしいです。

 MIDの必須要件としては、「ポケットに入る程度のサイズであること、CPUがAtom、チップセットのシステム・コントローラー・ハブに加え、無線 LANはインテル製だけでなくサードパーティ製でもかまわないとした。また、CPUとチップセットあわせてアイドル時の消費電力は1ワット程度、12Wh のバッテリーで4時間以上の駆動をイメージしている」とのことだ。

 この用件から想像されるデバイスは、紛れもなくiPhoneなどのスマートフォンとかぶります。現在のスマートフォンと同程度の大きさと駆動時間を持つフルスペックPCが現れたとき、スマートフォンの未来は間違いなく書き換わることでしょう。そして、PCのアプリケーションの一つとして、通話アプリが実装されたなら?

 つまり、PCが携帯電話のテリトリーを脅かす日が来ると言うことです。

 もっとも、日本においてその未来像を描くには、一つ攻略しなければならない壁があります。現在の3Gネットワークでは、PC用のウェブブラウズのトラフィックを支えきれませんから、まともに普及させようと思った場合、WiFiとのハイブリッド端末などが理想となります。無線LANアクセスポイントが田舎では皆無という現状で、MIDの普及は難しいでしょう。つまり、WiFiネットワークの早期普及がネックとなるのです。

 3Gの限定的なネット環境(一例として、DOCOMOの提供しているPCつなぎ放題サービスを検索してみるとおもしろい2008/04/02現在)でも、フルスペックPCを携帯替わりに持ち運べるなら、多分面白いことが起こることでしょう。少なくとも、携帯向けのモバイルサービスを事業の柱としている会社は軒並み大打撃を受ける可能性はあるでしょう。PC向けのリッチなWebサービスが使い放題なのに、何で携帯のサービスに固執する必要があるんです?

 Atom、各方面へ向けての「黒船」となれるか。



最新の画像もっと見る