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●漫画・・ 「ワイルド7-seven-」 ..(2)

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 言わずと知れた望月三起也氏の代表作。望月三起也さんは、60年代漫画雑誌のアクション劇画の代表的漫画作家ですね。勿論、70年代以降も大活躍されてるんですが、60年代雑誌漫画シーンでひときわ目立つ、他に類を見ない、アクション漫画専門のような漫画作家さんです。60年代の望月三起也氏は超売れっ子ですから、バラエティー豊かに、ギャグ以外はいろんなジャンルの漫画を描いていますけど(青年漫画にはお色気コメディーものもある)。アクション劇画というと、誕生も盛り上がりも、さいとうたかを氏等を代表とする、貸本の世界からですが、望月三起也氏は、初めから雑誌で登場したアクション漫画家ですね。さいとうたかを氏ら後の、雑誌でアクション劇画を隆盛させた漫画家さんは貸本出身者が多いのですが、望月三起也氏は最初から雑誌で登場した漫画家さんです。師事した先生も堀江卓吉田竜夫など雑誌で活躍された、当時の大人気漫画家先生たちです。60年代の漫画シーンは児童漫画誌大メジャー時代です(貸本は当時の漫画メディアの裏街道です)。望月三起也氏は、児童漫画誌の中で主にアクション漫画専門のように、拳銃バンバン撃ち合ったり、激しい格闘シーンや、カーチェイスやバイクや戦車の破壊や爆破など派手なカーアクション、を圧倒的画力で当時の漫画としてはリアルに過激に描写してのけて、当時の少年や子供たちに、ハードボイルドテイストなアクション劇画で胸踊らせ、人気を得た漫画家さんですね。師匠筋の一人となる堀江卓さんも作風ではアクションものが多く、それは日本ストーリー漫画黎明期から初期のメイン漫画、勧善懲悪ヒーローものアクション漫画な訳ですが、あの時代の堀江卓先生の表現力は、例えば現代劇の「ハンマーキット」や時代劇の「矢車剣之助」等で、当時としては最高レベルの迫力とリアルさを満面に表現された、画面を作る描写力だった訳ですが、弟子筋となる望月三起也氏は、それをもっともっとリアルに、迫力も倍増させて見せる画面を作り上げ構成し、もっとずっと洗練された描写力で、雑誌漫画の世界の新しいアクション劇画を紡ぎ出して見せた。60年代も後半になると本作「ワイルド7」もそうであるように“血と暴力”といった残酷シーン描写も漫画としてはリアルに描き出している。望月三起也劇画の真骨頂は、破壊と暴力のハードボイルド、時に残酷、ですね。お色気もありますが。望月氏の描くヒロインがまたメチャメチャ、セクシーなんですよね。だから60年代末から隆盛して行った青年誌でも引っ張りだこで活躍されてましたね。ペンネームもマイク・ハスラーとか名前を変えたりもして。

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 望月三起也先生の代表作と呼ばれる「ワイルド7」は、少年画報社の週刊少年キングに1969年から79年まで同誌の看板漫画の一つとして長期連載が続きましたが、同少年キング誌では、その前にスパイアクション漫画として、「秘密探偵JA」を連載しており、これも当時の少年や子供たちに人気を博していました。“JA” といっても勿論、農協専属の探偵のことではありません。「秘密探偵JA」は週刊少年キング誌に1965年から69年まで約5年間連載された大長編スパイ・ガンアクション漫画です。ですから、「秘密探偵JA」終了後、引き続いて望月三起也氏の同型ジャンルに入る、警察バイクアクション巨編「ワイルド7」が開始した形ですね。僕は小中学校時代、週刊少年マガジンは毎週購読してまして、週刊少年サンデーもまあま、だいたい毎週くらいの感じで読んでた。でも、週刊少年キングは時々の間隔だったかなあ。読んでた時は続けて読んでたけど読まないと間開けて読まなかったり、ね。だから「秘密探偵JA」や「ワイルド7」初期は連載では読んだり読まなかったり、ですね。後々、コミックスでは「秘密探偵JA」は全編全巻、「ワイルド7」もオリジナル編は大半、コミックスで読んでますね。ちなみに「秘密探偵JA」は、最初の少年画報社キングコミックスかヒットコミックスで全15巻でしたね。 実は僕が、大長編警察ハードボイルド・バイク・ガンアクション劇画「ワイルド7」オリジナル編全21話中、読んでいるのは最初の第1話「野生の七人」から第13話「地獄の神話」までと第20話「ガラスの城」の14編です。それでも分量としたらものすごい紙数というかページ数、量になりますが。どれも最高に面白いんですが、僕が、一番面白かったお話は「地獄の神話」編かなあ。「緑の墓」も「黄金の新幹線」も面白かった。1970年に実際に起こった有名な歴史的政治的テロ事件「よど号ハイジャック事件」に題材を取っている、第3話「誘拐の掟」編も印象に残るストーリーですね。2011年12月21日全国ロードショー公開の実写版映画「ワイルド7」の、ベースストーリーと思われる「コンクリートゲリラ」編も、“ゲリラハンターのユキ”初登場編で、なかなか面白く印象に残る作品でした。

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  「ワイルド7」レギュラー登場人物のカワイコちゃん、主人公・飛葉の行き付けの軽食喫茶ボンの女性マスター、イコちゃんは、第4話「コンクリートゲリラ」編でゲリラハンターのユキ(みそっかすのユキ)が登場するまでは物語紅一点のヒロインでしたが、セクシーアクション全開のユキにヒロインの座は奪われた感ですね。イコちゃんで、今でも印象深く憶えているのは、そうですね、僕が中学生になったばかりの頃か、少なくとも中一か中二頃の時代、その当時の週刊少年キングで「ワイルド7」の連載は調度第二話「バイクナイト」編でした。確か、敵の犯罪組織にイコちゃんと飛葉が拉致監禁されたんですね。飛葉のガールフレンド、イコちゃんはコンクリート密室に監禁されて豹の毛皮をすっぽり被せられ、豹の毛皮といっても標本みたいな、頭部もきちんとある全身毛皮です。後に、飛葉がその密室に放り込まれる。中にイコの入った着ぐるみ仕様豹毛皮を、本物と思い込んだ飛葉には、武器として本革のムチが手渡される。助けて欲しいばかりの傷付いたイコちゃんは、叫びを上げながら飛葉に近づくのですが、その叫び声が着ぐるみ毛皮頭部のせいで、猛獣のうなり声に聞こえてしまう。ますます本物の生きた豹と思い込んだ飛葉は戦慄し、手にしたムチでイコちゃんの入った豹をバシバシ叩くんですね。当時の中学生の僕は調度、性に目覚め始めた頃というか、色気づいて来た頃で、このシーンにメチャ興奮してしまいました。また、望月先生の絵柄が、豹の中で苦しみ悶える美少女イコを、着ぐるみを透かして描き、リアルにセクシー満開に描き込んでいるんですね。僕はもう、メチャメチャ興奮しきりでしたね。元々、ヒトミシリが強く恥ずかしがりでオクテの僕でしたが、無駄に大きくなった身体の中身は、年相応にちゃんと成長していました。多少、変態気も混えてなんですけども。今の時代だったら、色気づいたのは遅い方だったのかも知れません。僕が、好きな女の子が出来たのは小学校一年生で、もうその時分に小1クラスメートのスミコちゃんとトモコちゃんに「好きだ」と告白したりしてましたが、その後は性的にはウブな男の子でしたね。漫画絵には中一くらいには性的に感じたりしてましたけど、実際のモノホンの女性に性的に感じたのは、中二の頃の保健体育の女教師の既婚先生だったと思います。あー恥ずかしい。その後も僕はヒトミシリが強くて、内気でウブでオクテな少年~青年でしたね。まあ、そんなことは別にドーデモイイんですけど。

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 「ワイルド7」の第二話「バイクナイト」編は、雑誌連載ではそこの部分だけは克明に憶えていますが、後のストーリーなどは忘れてしまっています。後にコミックスで「バイクナイト」編は通して全部読んでるんですけどね。中学生時代も週刊少年キングは読んだり読まなかったりで、豹の着ぐるみの中で苦しむイコちゃんを主人公・飛葉がどう助けたのか、その後の展開などはすっかり忘れています。ただエロっぽいシーンのみ克明に覚えてるんですねえ。困ったもんだ。ただ、考えてみると、僕は自身を“M”だと思ってますけど、この性の目覚めあたりでは“S”症状が現れてますね。だって、頼みの綱で助けて欲しいばかりの飛葉に、バシバシ鞭打ちされて苦しむ美少女イコの描写シーンを見て、興奮この上ない状態なんですから。いやはや‥。でも、望月三起也先生の絵柄の画力で、描ききる女性ヒロインたちはみんな、すごくセクシー感がありましたね。実にセクシーさを感じさせる、女性登場人物の絵柄でした。望月氏の絵柄は、師事した堀江卓吉田竜夫を出発点としながらも、もっとずっと洗練された、非常に個性的な望月氏独自のタッチや絵柄を持っていて、それはよく、当時のアメリカンコミックの、軽妙で洗練されたタッチを取り入れた独自の漫画・劇画絵柄と、絵の精巧さを高く評価されますけど、あの60年代の現代漫画勃興時の、百花繚乱の黄金時代に非常に個性的な独自の絵柄を完成させて、アクションシーン、破壊シーン、セクシーな絵柄を見事に表現してのけたのは、本当にすごいものだと思っています。大長編本格警察バイク・ガンアクション巨編コミック「ワイルド7」は、重厚で読み応えたっぷりのハードボイルド劇画です。ハードボイルドアクションファンの方は、量はありますが、是非一読してご堪能ください。

◆漫画・・ 「ワイルド7-seven-」 ..(1)(2011-11/23)
◆漫画・・ 「ワイルド7-seven-」 ..(2)(2011-11/30)

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