Jacobiの恒等式と反対称性の問題は,ちょっと勘違いしていた。
次のような設定に変更する。
x や y はベクトルだと思ってもらいたい。
ベクトル x と y に対して定まる第3のベクトルを [x,y] という記号で表すことにする。
そして,
[x+y,z]=[x,z]+[y,z]
と
[x,y+z]=[x,y]+[x,z]
が任意の x, y, z に対して成り立つとする。
さらに,次の2つの性質を考える。
(性質P)すべての x に対して [x,x]=0.
(性質Q)すべての x,y に対して [y,x]=-[x,y].
【解ける問題1.】性質 P が成り立つことと,性質 Q が成り立つこととは同値であることを示せ。
この問題により,性質 P と性質 Q のいずれを仮定しても同じことになる。
以下ではこれらの性質が成り立つという設定を追加しておく。
【解ける問題2.】任意の x に対して [x,0]=0 であることを示せ。
【解ける問題3.】任意の x と y に対して [-x,y]=-[x,y] であることを示せ。
(解ける問題の解答は本記事の末尾につけてある。)
さて,目指すはこれらの性質だけから次の Jacobi の恒等式が導けるか,ということである。
【解けるかどうかわからない問題】任意の x,y,z に対して
[x,[y,z]]+[y,[z,x]]+[z,[x,y]]=0
が成り立つか。
これに関して,次のような部分的な結果を得た。
【解ける問題4.】任意の x, y に対して次が成り立つ。
[x,[y,y]]+[y,[y,x]]+[y,[x,y]]=0.
これ以上のことは今のところ僕にはわからない。
------------------------------------
【解ける問題1の解答】
性質 P が成り立つならば,
0=[x+y,x+y]=[x,x+y]+[y,x+y]=[x,x]+[x,y]+[y,x]+[y,y]=[x,y]+[y,x].
逆に性質 Q が成り立つならば,[y,x]=-[x,y] において,y に x を代入すれば [x,x]=-[x,x] となるから,2[x,x]=0,すなわち [x,x]=0 がわかる。
【解ける問題2の解答】
0+0=0 であることに着目すればよい。
[x,0]=[x,0+0]=[x,0]+[x,0]=2[x,0] だから,[x,0]=0.
【解ける問題3の解答】
さきほどの結果を使えば [0,x]=-[x,0]=0 である。
0+0=0 なので,0=[0,y]=[x+(-x),y]=[x,y]+[-x,y].
なお,[y,-x]=-[-x,y]=-(-[x,y])=[x,y]=-[y,x] であるから,[y,-x]=-[y,x] も成り立つ。
【解ける問題4の解答】
[y,y]=0 なので [x,[y,y]]=0 である。
また,さきほどの解答で述べたことにより,
[y,[y,x]]=[y,-[x,y]]=-[y,[x,y]]
であるから,[y,[y,x]]+[y,[x,y]]=0 である。
次のような設定に変更する。
x や y はベクトルだと思ってもらいたい。
ベクトル x と y に対して定まる第3のベクトルを [x,y] という記号で表すことにする。
そして,
[x+y,z]=[x,z]+[y,z]
と
[x,y+z]=[x,y]+[x,z]
が任意の x, y, z に対して成り立つとする。
さらに,次の2つの性質を考える。
(性質P)すべての x に対して [x,x]=0.
(性質Q)すべての x,y に対して [y,x]=-[x,y].
【解ける問題1.】性質 P が成り立つことと,性質 Q が成り立つこととは同値であることを示せ。
この問題により,性質 P と性質 Q のいずれを仮定しても同じことになる。
以下ではこれらの性質が成り立つという設定を追加しておく。
【解ける問題2.】任意の x に対して [x,0]=0 であることを示せ。
【解ける問題3.】任意の x と y に対して [-x,y]=-[x,y] であることを示せ。
(解ける問題の解答は本記事の末尾につけてある。)
さて,目指すはこれらの性質だけから次の Jacobi の恒等式が導けるか,ということである。
【解けるかどうかわからない問題】任意の x,y,z に対して
[x,[y,z]]+[y,[z,x]]+[z,[x,y]]=0
が成り立つか。
これに関して,次のような部分的な結果を得た。
【解ける問題4.】任意の x, y に対して次が成り立つ。
[x,[y,y]]+[y,[y,x]]+[y,[x,y]]=0.
これ以上のことは今のところ僕にはわからない。
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【解ける問題1の解答】
性質 P が成り立つならば,
0=[x+y,x+y]=[x,x+y]+[y,x+y]=[x,x]+[x,y]+[y,x]+[y,y]=[x,y]+[y,x].
逆に性質 Q が成り立つならば,[y,x]=-[x,y] において,y に x を代入すれば [x,x]=-[x,x] となるから,2[x,x]=0,すなわち [x,x]=0 がわかる。
【解ける問題2の解答】
0+0=0 であることに着目すればよい。
[x,0]=[x,0+0]=[x,0]+[x,0]=2[x,0] だから,[x,0]=0.
【解ける問題3の解答】
さきほどの結果を使えば [0,x]=-[x,0]=0 である。
0+0=0 なので,0=[0,y]=[x+(-x),y]=[x,y]+[-x,y].
なお,[y,-x]=-[-x,y]=-(-[x,y])=[x,y]=-[y,x] であるから,[y,-x]=-[y,x] も成り立つ。
【解ける問題4の解答】
[y,y]=0 なので [x,[y,y]]=0 である。
また,さきほどの解答で述べたことにより,
[y,[y,x]]=[y,-[x,y]]=-[y,[x,y]]
であるから,[y,[y,x]]+[y,[x,y]]=0 である。
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