Part I Part II Part III Part IV
n 次正方行列からなる集合は,加法,スカラー倍,積について閉じている。
二つの n 次正方行列 A,B について,積 AB と BA が一般には等しくないということは,行列の積のイロハのロくらい,基本的な知識であろう。(ちなみに,イはもちろん積が定義されるための型の条件や,積の計算の仕方(要するに定義)という基本中の基本である。)
余興としての問題を一つ出しておこう。
【余興問題】
X,Y を n 次正方行列とする。
O で n 次の零行列を表すことにする。
X≠O かつ Y≠O であって,しかも XY=O のとき,(X,Y) は『この順に』零因子であるという。
※『この順に』という語句を追加したのは僕の創作であって,全く一般的ではない(はず)ので,このブログ限りのことと心得ていただきたい。
さて,ここでちょっと疑問が湧いてこないだろうか。
この問題の答えは最後に載せる。
【答えを知らない問題 (1)】
零因子は非常に面白い。いろいろ思いついた。
(1a) X, Y はこの順に零因子であり,X,Z もこの順に零因子であるとする。このとき,Y と Z が一次独立であるような例があるならそれを挙げよ。ないならないことを証明せよ。
(1b) X が正則であるとき,X は零因子とはなりえないことを示せ(これは簡単)。
では,X が正則でなければ,X は必ず零因子であるといえるのだろうか?
つまり,零でない行列 Y で,XY=O か,YX=O のどちらかをみたすものが必ず存在するのだろうか?
ただしもちろん X≠O であるとする。
(1c) X, Y がこの順に零因子であるとする。このとき,Z, X の順に零因子となるような行列 Z は必ず存在するだろうか?
つい零因子に夢中になってしまったが,本題は以下の2題である。
有名な問題なのかもしれないが。
以下,スカラー行列とは,単位行列の定数倍であるような行列一般を指す。
【答えを知らない問題 (2)】
n 次行列 A は,任意の n 次行列 X と可換であるとする。
このとき,A はスカラー行列であるといえるだろうか?
【答えを知らない問題 (3)】
本問題は,あるネット掲示板で見かけた予想である。
2次正方行列 A がスカラー行列でないとき,A と可換な行列は A と E の一次結合で表される行列に限る,というのは高校の問題集にも載っている。
では,n 次正方行列 A がスカラー行列でないとき,A と可換な行列は,A の n-1 次式(An-1,An-2,・・・,A,E の一次結合)に限るだろうか?
この事実が正しいかどうかを判定するためのひとつの材料として,A が正則だったら,逆行列 A-1 は A と可換なので,A-1 は A の n-1 次式で表されるはずである。これはもっともらしいことであろうか?
僕は線形代数について詳しくないので,どうにもとっかかりすらつかめないでいる。
2次の場合は成分に関する連立方程式を導いて議論するという地道な方法で証明できる。
問題は,n 次の場合にもそれしか方法がないのかどうか,ということである。
『積が可換である』という事柄と,『A のべきの一次結合で表せる』という事柄をどう結びつけたらよいのだろうか・・・?
もちろんこの予想が間違っている可能性もある。
もしそうだとすると,そのことを明らかにする反例はいかにして構成しうるのだろうか・・・?
《余興問題の解答》
2 次行列で簡単に例が作れる。
行列 X の (i,j) 成分を x[i,j] と書く事にすると,例えば
x[1,1]=1,x[1,2]=x[2,2]=0,x[2,1]=1,
y[1,1]=y[1,2]=0,y[2,1]=1,y[2,2]=-1
というのが最も簡単な例であろう。
n 次行列でも例を作れないか考えてみるもの面白いだろう。
n 次正方行列からなる集合は,加法,スカラー倍,積について閉じている。
二つの n 次正方行列 A,B について,積 AB と BA が一般には等しくないということは,行列の積のイロハのロくらい,基本的な知識であろう。(ちなみに,イはもちろん積が定義されるための型の条件や,積の計算の仕方(要するに定義)という基本中の基本である。)
余興としての問題を一つ出しておこう。
【余興問題】
X,Y を n 次正方行列とする。
O で n 次の零行列を表すことにする。
X≠O かつ Y≠O であって,しかも XY=O のとき,(X,Y) は『この順に』零因子であるという。
※『この順に』という語句を追加したのは僕の創作であって,全く一般的ではない(はず)ので,このブログ限りのことと心得ていただきたい。
さて,ここでちょっと疑問が湧いてこないだろうか。
可換な零因子(のペア)はあるだろうか?
この問題の答えは最後に載せる。
【答えを知らない問題 (1)】
零因子は非常に面白い。いろいろ思いついた。
(1a) X, Y はこの順に零因子であり,X,Z もこの順に零因子であるとする。このとき,Y と Z が一次独立であるような例があるならそれを挙げよ。ないならないことを証明せよ。
(1b) X が正則であるとき,X は零因子とはなりえないことを示せ(これは簡単)。
では,X が正則でなければ,X は必ず零因子であるといえるのだろうか?
つまり,零でない行列 Y で,XY=O か,YX=O のどちらかをみたすものが必ず存在するのだろうか?
ただしもちろん X≠O であるとする。
(1c) X, Y がこの順に零因子であるとする。このとき,Z, X の順に零因子となるような行列 Z は必ず存在するだろうか?
つい零因子に夢中になってしまったが,本題は以下の2題である。
有名な問題なのかもしれないが。
以下,スカラー行列とは,単位行列の定数倍であるような行列一般を指す。
【答えを知らない問題 (2)】
n 次行列 A は,任意の n 次行列 X と可換であるとする。
このとき,A はスカラー行列であるといえるだろうか?
【答えを知らない問題 (3)】
本問題は,あるネット掲示板で見かけた予想である。
2次正方行列 A がスカラー行列でないとき,A と可換な行列は A と E の一次結合で表される行列に限る,というのは高校の問題集にも載っている。
では,n 次正方行列 A がスカラー行列でないとき,A と可換な行列は,A の n-1 次式(An-1,An-2,・・・,A,E の一次結合)に限るだろうか?
この事実が正しいかどうかを判定するためのひとつの材料として,A が正則だったら,逆行列 A-1 は A と可換なので,A-1 は A の n-1 次式で表されるはずである。これはもっともらしいことであろうか?
僕は線形代数について詳しくないので,どうにもとっかかりすらつかめないでいる。
2次の場合は成分に関する連立方程式を導いて議論するという地道な方法で証明できる。
問題は,n 次の場合にもそれしか方法がないのかどうか,ということである。
『積が可換である』という事柄と,『A のべきの一次結合で表せる』という事柄をどう結びつけたらよいのだろうか・・・?
もちろんこの予想が間違っている可能性もある。
もしそうだとすると,そのことを明らかにする反例はいかにして構成しうるのだろうか・・・?
《余興問題の解答》
2 次行列で簡単に例が作れる。
行列 X の (i,j) 成分を x[i,j] と書く事にすると,例えば
x[1,1]=1,x[1,2]=x[2,2]=0,x[2,1]=1,
y[1,1]=y[1,2]=0,y[2,1]=1,y[2,2]=-1
というのが最も簡単な例であろう。
n 次行列でも例を作れないか考えてみるもの面白いだろう。
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