よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

開眼法要

2009-05-11 21:40:19 | Weblog
湖東三山の金剛輪寺で八十一尊曼陀羅の開眼法要が行われた。原本は根津美術館所蔵の重文で、状態も良く、彩色や描写に少しエキゾチックな雰囲気がある。元は金剛輪寺に伝来したものであり、今回は様々な専門家の協力を得て、原寸大の高精彩画像、絹・顔料の復原、図像の見直しが行われ、あさば仏教美術工房が復原模写にあたった。復原された曼陀羅は模写である事に意義があるという。それは、制作意図や造像精神を追体験を経て伝承する(写しとる)事であり、金剛輪寺においてはただ新しい曼陀羅を造る事とは違い、時を経て新たな形の里帰りを果たしたと言えるのだろう。
思えば、仏教美術には写しが多い。ここにいう写しは単なる複製ではなく、功徳や精神を伝承する(うつす・拝領する)という行為である。

法要は11時より始まり1時間を超えるもので立ち見になる程の信徒が詰めかけた。法要は天台宗座主が執り行う大規模なものであった。幸いにも僕の立ち見の場所からは座主の印を結ぶ手の始終が全て見え、その空間はなんとも言えない様であった。その間、僕は自然と手が合掌し、その手が離れなかった。熱気の只中でありながらも、おだやかに、なにかそうしてしまう空間があった。
 

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