よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

ギャラリートーク残響

2008-08-27 21:46:37 | Weblog
数寄和 大津でのギャラリートークに関するコメントが若山さん、数寄和 大津さんのブログに載せていただいている。

若山卓さんのブログ
http://wakayamataku.gunmablog.net/

数寄和大津のブログ
http://www.sukiwa.net/otsu/index.html

また、その時に知り合えた音楽家のマツタケさんもブログにとりあげていただいていました。

マツタケダイスケさんのブログ
http://jiri2.jugem.jp/

若山さんは話ベタだと言っておられるが、「よい絵とは」という問いについてわからないと言い切りながらその理由を話すというのは、聞き手に考えさせるという話し方で実にうまい話方だと僕は思う。なにかしらの答えを期待してきた人達に「わかりません」とはじめに言って答えを放り投げちゃうのだから、ちゃぶ台返しですよ。でも、ちゃんと話を咀嚼しているし、コメントは率直でわかりやすく嘘がない。

数寄和 大津さんはよくも二人を引き合わせたものだと本当に思う。
互いに共感できる意識を持っていても、言葉の尽くし方が対象的なのだ。
対象的なのは若山さんが自分の描いたものに対して目を向けて発見や経験した事を話しているのに対して、僕は自分の作品制作や価値観に影響を与えている作品との出会いや発見について話していた。対象が何であろうが、ものをみる目と感じる心の深度や幅がトークの中に紡ぎだされていた。

若山さんの話し方から僕は学ぶところがあった。

最終日は僕も会場に足を運べそうだ。
静けさの中、今一度じっくり会場で絵を観てみよう。

二条城から大津え

2008-08-25 22:45:03 | Weblog
ギャラリートークで紹介した模写関連の本について問い合わせをいただきました。
源氏物語の復元模写の本についてでしたが、身近に見られるものとして、追加で二条城と大学の卒展を紹介しました。ちょうど黒書院の桜の間の展示もあったので久々に二条城へ足を運びました。
二条城は復元古色模写という方法で京都市が行っている事業です。修理と模写が平行して行われています。名古屋城も同様に行われていますが、こちらはまた方法が少し違ったように思います。

久々の二条城もそこそこに大津歴史博物館へ行きました。石山寺と湖南の仏像展です。滋賀は奈良、京都にならぶ仏像の宝庫ですが、意外と見馴れないものがあって面白い。
で、今回もいました。仏像みて「癒されるわ~」というギャルの女子大生が3人。ほとけさんはあまねく皆さん癒してるんやね。京博の仏画の常設展のデジャヴだな、これは。

三井寺に来ていた両親から電話があって、大津絵を一枚買っていくから何がよいかと聞かれました。陶器の絵付や李朝民画の話と一緒に大津絵の話を家でもそういえばしていた。大津絵は日本の代表的な民画だが、家にも両親が三井寺に来るおりに買ったものが何点かある。小学生の時、両親に連れられて寺巡りをしていたが、三井寺には何回か来ていて、時間潰しに大津絵をノートに模写していた。
家にはいわゆる作家の絵はなかったが、両親は大津絵が割りに好きで、昔の人よろしく旅の土産に買っていたのだ。
今回買って来たのは若衆旅姿の絵で、泥入り紙にいかにも大津絵らしい色彩で描かれている。若衆歌舞伎の旅姿の役者を描いたもので初期の大津絵版肉筆風俗画の作品をそのまま継承している。今物とはいえ実物なので紙や彩色もなかなか興味深い。芭蕉の句に「大津絵の 筆のはじめは 何仏」とあるが、大津絵は仏画にはじまったとある。

これまたご縁な話です。

三ノ宮ミャーいり

2008-08-25 20:41:17 | Weblog
大学の同級生からのDMで、三ノ宮に行く。ちょうど横尾忠則さんの展覧会が県美であるのではしごする。旦那と新婚旅行でイギリスとフランスを廻ってきたらしく、写真と雑貨と二人の絵が並んでいる。
当たり前だけど、しあわせそうでおめでとさんです。
式の写真には勿論、同級生が写っているのだが、その中に詩人の亜子米さんがギタレレしている写真があった。亜子米さんとは面識はないが、私はなぜか自家版の詩の朗読CD「空ぽっぽ」を持っている。奈良の友人からいただいたのだが、実は全く聞いてなかった。鼠先輩がぽっぽとヒットするなか、亜子米さんのぽっぽもぽっぽつながりという単純な縁で試聴してみた。
聞いてみると声がとてもいい。歌もスローな感じがまたいい。聞き覚えのあるフレーズを耳にしたと思えば、それは詩のボクシングで聞いたあの詩だった。縁とは不思議です。
今、家では亜子米さんと松竹大介さんのCDが交互にかかっている。作業をしながら聞いているので集中すると耳に入らない。そうするとはじめの方は何度も聞けているのだが、最後の方がわからなくなっていて何度もかけてしまう。しかしまた同じ事で何度か繰り返す。そうして長い事同じCDをかけている。

松竹さんは大津在住の音楽家で作曲やピアノでインプロビレーションの演奏をされたりして、今秋にはソロコンサートが控えている。数寄和さんの顔なじみらしく、トークに夫婦で来ておられてその際に知り合えた。松竹さんの音楽で僕が今聞いているCDはJAZZの響きがする。音に親しみやすさと静かな余白というか優しさがある。エッジの利いた独走ではなく、なにか聞く側の心にいつの間にか並走しているような音楽。きっとLiveで聞くと音の質感がもっと感じられるのだろう。もちろん、いろんな条件で違ってくるだろうけど、今度聞けるのは楽しみです。

さて、横尾さんですが、僕がはじめて知ったのは高校時代。アングラへの興味から寺山修二や土方巽と大野一雄から入って、やはり最初はポスターですね。その後、CGと滝シリーズ、赤い絵なんかで興味が強くなりました。今回はY路地と銭湯シリーズに期待して見に行きました。横尾ワールドを堪能して会場外には横尾グッズがテンコ盛り。
いろいろ見たが図録もハガキも買わず「隠遁宣言」という文庫とガチャガチャをする。隠遁は貝原益軒の養生訓の話とか、猫は生来隠遁だとか書いてあって、久々に横尾さんの本を手にした私はつい数日前になんとなしに寒山拾得とか隠者ばっかり水墨で何点も描いていた事に気がついた。そしてガチャガチャは弥勒猫と仏陀猫である。色のバリエーションがある中、白の弥勒と黒の仏陀がお出まし。なんとも素敵な偶然。いろんな組み合わせが出てしかりなんだけど、なんか納得。このシロとクロ、なかなかいいコンビです。

ギャラリートーク

2008-08-21 19:29:55 | Weblog
数寄和での若山卓さんの展覧会がはじまり、初日のギャラリートークに出る。
展示の確認も兼ねてトーク1.5時間前に来場。ライティングの確認をする。私の思うこの作品のベストライティングは下からの光で無数の切箔が輝き、尊像が高揚感を持ってくるところと少し赤身勝ちな本体が光によって柔らかな発色を伴い静かに浮かびあがるところです。光が強すぎるとその微妙なニュアンスが飛んでしまい、周囲の白い腕と同化するし、暗過ぎても少し赤身の肌にしている効果がうまく出ない。静かに佇んで観られる環境が当然良い。
やはりどのような空間に飾られ、どのように出会えるかというのはとても大切な事です。作品自体が自立した世界を持っているとしても、どこでどのように出会えるかは作品とコミュニケーションするうえで、とても大切な事だと思います。それは自分の作品に限らず、あの時、あの場所で、あの作品に私は出会ったという事。その一期一会が新たな何かに出会いなおすという事だから。
望む展示が叶えられるかは状況によるが、今回あらためて再確認出来た事のひとつです。


ギャラリートークは思ったより来ていただいて、立ち見の方もちらほら出ました。

若山さんのプロフィールや代表作の話にはじまり、本題の「よい絵について」に入りました。
若山さんは自分にとってよい絵という事で、自身の代表作の木に人体美およびトルソとして描いた破損仏の話や大学時代に描いた駿牛図の摸写を持参して話をされました。それらは作家としての若山さんにとって常になにかを考えさせられる存在(絵)のようです。
あくまで作家としての視点から、よい絵についての実体験を持って話されていました。


私は若山さんとは別の視点で実見による「よい絵セレクション」を紹介しました。
数限りなくあるなかでタイプの違うものを7つ選びましたが、選ぶ視点の中に私の作家性も含めたものが出ています。

因みに7つとは

・エミリー・ウングワレーの絵
・李朝民画
・平安仏画
・井上有一の書
・甲斐庄楠音「横櫛」
・加藤純子 源氏物語絵巻「鈴虫1」平成版復原摸写
・三瀬夏之介の絵


これらを私の視点でそれぞれに話すというものです。

若山さんがシンプルに一途な答えを出したのと対象的に、私はさまざまな良いと感じた価値感覚を提出したのだといえます。
互いに作家として作品を作るうえで直接的あるいは間接的になにか考えさせられたり学ぶところがあるものを提示した点で共通しているでしょう。また、よい絵というテーマに違うアプローチで話をしながらも、内容的に共有するものがあったとも思っています。

「よい」という価値観は様々に変化するものだと私は思っているのですが、本質的に突き詰めると哲学の議論になる。今回のテーマの中で、私は「よい」を「善い」と変換して考えたのは幾分そうしたきらいがありました。

でも、絵かきにとってのよい絵というならば、一言でいえば作品をつくる原動力を与えてくれるものかな。それはあくまで絵かきにとっての話だけど。


その日は大津三大祭の船幸祭があって、船に乗る神輿をはじめて観ました。
花火も上がってギャラリーの2階から浴衣で眺めて、夏気分を堪能させていただきました。

タキにキター〓

2008-08-16 08:21:45 | Weblog
昨日はアウトドア。朝から電車で奈良と三重の県境にある赤目48滝に向かってGO!
渓流が流れているから気持ち良くて涼しい。山水画に出て来るような岩や滝を見ながら、山水長巻に思いを馳せる。違っているのは犬連れで険しい道を行く人やヒールやミュールで片道4kmもの道をゆく人。高士や仙人ではなく、老若男女の観光客。そうした光景に旅する池大雅や蕪村の視点をふとまた思う。
落石のため、名張越えは出来なかったが、48は制覇!いや~、いい汗かきました。
奈良ついでに春日大社の万燈籠と大文字をみてきました。大文字に向かってしばし黙祷-。
やたがらすと花札梅酒を手土産に、今日の日はさようなら〓。

オリンピック インドア

2008-08-14 20:06:52 | Weblog
オリンピックはやはり観てしまう。連日やっぱり気になる。奈良の燈花会が最終日らしいが、今年は行かない事にしました。

昨日、数寄和さんが搬入に来て下さいました。紙の話をしていたせいで今日は紙を使いたくなった。以前、数寄和さんでまとめ買いした竹紙を使って一人水墨オリンピックしていました。寒山拾得、羅漢、龍、布袋などなど何点かずつ描き並べる。こういう決まった画題は過去の例がたくさんあるが、それだけに目的や要素がはっきりしていて、自分ならどう描くかというのは発見もあって案外楽しい。
最近ずっと生紙で描いていたから、ふとドーサ引きの美濃紙に余力で描いてみると、案外気持ちいい。久々にドーサ引きに水墨すると、コントロールがしやすいしやすい。よくよく思い返せば当たり前なんだが、うっかり思い込みにハマッテいたんだなと気付く。
普段使って気にしているのに、意外とポッカリ穴開いちゃうんだね。
今日はインドアだったけど充実感あったな。

明日はおもいっきりハイキングしてやる。

あと、数寄和 大津の若山卓さんの個展、見に来て下さいね。

若山卓 「像(かたち)」
会期:8/17~8/31 
11:00~18:00 火曜休み

詳細はWebで↓
www.sukiwa.net/otsu

今、夏っぽい

2008-08-06 20:05:50 | Weblog
京博の常設展に立ち寄る。夏の季節感を微妙に意識した展示が面白い。仏画は閻魔天に地獄絵図に地蔵菩薩、こりゃまさにお盆ですな。で、隣の部屋では頂相だらけの坊主パレード。絵巻は病草紙に矢田地蔵縁起ってやっぱりホラーですかね。応挙の鯉は三幅対で涼し気。奥では海北友松の龍と金屏風の牡丹と梅に伊年印の変わり屏風の盛り上げ菊。なかなか豪華な取り合わせです。

嵯峨芸の林司馬展も箱崎先生のギャラリートークがあり、作品解説と司馬先生の貴重なエピソードが聞けました。
あらためて一人の作家の仕事を振り返り、司馬先生の稀有な絵かき人生を思いました。オープンキャンパスに混じって久々に食堂でゴハンを食べ、ついでに陶芸科で飯椀に絵付けしてきました。9月末に届くようです。

寺町で藤井蓮さんの貼絵の個展も見に行きました。画用紙をパネル張りにしてガッシュで着色した洋紙を貼っているのですが、とてもステキな作品。対象の捕え方が素直で適確。小さなサイズがまた購買意欲をそそりますね。

夏なのでカレーが食べたいと友人とアジャンタというカレー屋に向かっていると、道具屋にふらり立ち寄る。脇息やあぶな絵のおちょこ等あるなか、二段で少し大きめの弁当箱が目にはいる。あけぼの塗りで仕切りも塗りでなかなか買いの値だったし、ちょうど弁当箱が欲しかったので即買う。数個あったが、すべて忠幸と銘があったので、もとはどこぞの料理屋の弁当箱かなと思う。二段だとおかず量が大変なので一段で使っていますが、お気にです。

お気にといえば、デジカメが突然動かなくなってしまってはや数週間。買わねばならぬかと思いつつ、ペンタブレット付きサイバーショットを地元の某電気屋で視察。

店を出るとドーンと音がしたので、何事ぞと振り返ると、夜空にアサガオ?いや、花火があがってるじゃないか!
幸いにも自転車にride onしてた僕はそのまま花火の見える橋まで駆け上がる。変わり花火が多くて見るに楽しい。花火はムービーでとるべしと早速撮影。あぁ、夏っぽい!夏に夏っぽいてステキな事でありんすね。
こないだ見た白木綿に藍の朝顔の夏暖簾も夏してました。
暑さに負けず、季節を楽しんで涼をとる。
今年はなんだかいつも以上に夏っぽいゾ!