よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

交歓する人と華

2010-04-05 17:28:51 | Weblog
会期中には本当にたくさんの方が来て下さり楽しんでいただいている様子を間のあたりにしました。
久々にお会い出来た皆様、本当に遠方より車で来て下さった皆様、あたたかく陰で支えて下さった皆様、嵯峨御流いけばなの皆様、榎社中および榎家の皆様、本当にありがとうございました。楽しい春のひとときを皆様と花とともにわかち合い、愛でる機会を得たことに大変感謝しております。

いけばなの花との向き合い方は、絵を描くうえでも大変勉強になります。今回はいろいろな方とお話出来て更なる勉強をさせていただきました。いけばなに対する真摯なお姿が、お話を聞いているだけでも感じられ、そういう方々との出会いは本当に貴重なものだとありがたく思いました。
出会いの場、交歓の場そのものが、いつも師となります。今回も更なる高みへと繋がるよう、いろいろな教えをいただいたように思います。
皆様、本当にありがとうございました。



茶席の暖簾

2010-04-05 17:27:55 | Weblog
茶席に使用した部屋はガラス戸でしたので、麻地に水墨で山桜を描き、暖簾にしました。
部屋からは廊下をはさんで桜の襖絵が少し覗いて見えます。そこから舞う桜の花びらを受けて、水墨で描いた桜花流水の幕が見えます。廊下を挟んだ茶席の方には山桜の暖簾が二方にあり、正面の仏画を囲むように桜の景色の中でお茶をいただく趣向になっていました。
襖絵は醍醐の桜を見に行った時の印象を受けて描いたものですが、こちらの暖簾は嵯峨嵐山の大覚寺が所有する、江戸時代の画家、渡辺始興が描いた吉野山桜図屏風からインスピレーションを得ました。迎え花の部屋よろしく、京都と奈良の桜がここにもひそかに咲いているのでした。

茶席の仏画と華

2010-04-05 17:27:43 | Weblog
今回はお抹茶席も用意されていました。
ここには普賢新生菩薩と生花主位、生花客位の若松がいけあげられました。
若松という花材と新生菩薩という組み合わせは、阿弥陀が出現するお姿にも呼応し、よく合っているように思います。
仏画を中央に左右に花を配するのは、以前、日本画ジャックの展示で四季の花の屏風で仏画に献花したことをふと思い起こさせました。
「ほとけさまを前にお茶をいただくということは贅沢なように思う。」と言われたように、確かに皆様仏画の方には自然にお体が一歩引いて近づかれないようにされていました。
ゆっくりとされていた方が多く、私もとても嬉しく思いました。

床の間の仏画と華

2010-04-05 17:27:28 | Weblog
床の間には平安後期の仏画の復元模写、普賢延命菩薩と松、牡丹の荘厳華をいけあげました。前回は松、蘭でしたが、また違った趣きです。普賢延命菩薩の淡い緑とピンクの色彩が春めいて見えました。格の高い華をいけて下さりありがとうございました。

君子気分?で、ちょっと風雅を楽しむ

2010-04-05 17:26:59 | Weblog
仏壇のあるところには蓮の襖絵が描いてあります。
花だけで構成し、刷毛で薄く淡墨を刷いて、朝霧に浮かぶ蓮を表現しています。
ここにはおもとを使って水辺の景が浮かび上がります。
蓮は泥中より出でて清浄な花を開くことから仏教では解脱を象徴しましたが、中国ではその清逸さを讃えて君子を象徴するものとしました。
狩野正信が描いた国宝「周茂叔愛蓮図」が東京国立博物館がありますが、そこには池に舟を浮かべて蓮を眺め愛でる文人の姿が描かれています。周茂叔のような君子ではありませんが、私も蓮が好きでスケッチにはよく行きます。
会場を訪れた私の母は、このおもとのいけばながとてもお気に入りでした。

違い棚の前には文人華といういけばなで、松と薔薇の組み合わせによる「平安長春」がいけられました。その棚には文人華扇と題した作品のうち、2点が飾られています。これは以前、茶扇子にいけばなの雅題である文人華の花の取り合わせを扇絵に描いたもので、十二ヶ月そろえて描き上げた作品です。飾られたのは「華開萬国春」「風月三友」です。特に「華開萬国春」は桜、桃、梅が同時に咲くというなんとも素敵な雅題の組み合わせで、茶扇子という小振りなかたちにとても愛らしく、私もお気に入りでした。(今は榎孝甫氏の所有です。)
他に桐箱には墨画に金泥を少し取り入れた作品で、榎社中二十周年の際のいけばなを四方に描いたメモリアルな作品です。また、「水池蓮禽」という紙に天然岩絵具、金銀の切箔を散らした作品もか飾りました。このお題も、文人華と同様に豊饒や繁栄を願う中国に古くから親しまれた取り合わせです。いけばなも作品も風雅を楽しむ雰囲気が感じられるようにイメージしています。








春の宴気分に遊ぶ

2010-04-05 17:09:13 | Weblog
明るい光の入る窓側に、想い花がならぶ。朱塗りの膳に酒器やお重、花札などが並び、小さな花と取り合わせる。行楽気分を感じさせ、親しみやすくちょっと楽しい。
桜と徳利や画像のサイコロ升の膳は個人的には好きな気分である。
たいしてお酒が強いわけでもないのに、気分は好きというもので(苦笑)

線と線

2010-04-05 14:33:15 | Weblog
桜の襖絵の裏側には白梅の襖絵があります。そこには緋毛氈が敷かれ、生花、盛花、花留がいけあげられていました。
個人的に面白かったのは襖絵の線といけばなの生み出す線の響き合いです。
襖絵の筆触やかたちに、いけばなが呼応する動きをしていたり、墨線の筆触の抑揚や緩急がいけばなの線とかけあいをしていたり、不思議な妙味がありました。

たのしい虚実の花景色

2010-04-05 13:08:56 | Weblog
迎え花には代表の榎孝甫氏による大作がいけあげられました。
京都の一燈園にある八重のピンクの見事な枝垂れ桜、カラー、クロコダイルを花材に、しなやかな曲線の舞う榎氏渾身のいけばなです。その桜のうしろには水墨の枝垂れ桜が風に舞っています。桜越しにみる水墨の花、その重りがなかなか不思議な空間をつくりだしていたように思います。
その右手には杉を富士山と霞に形作った五管富士、その右手入口側には吉野の桜が台の上の水盤にいけられ、その台の上を唐津焼のムツゴロウが泳いで和ませてくれる。
それらすべてがつながりながらひとつの風景をつくりあげている。
左側のピアノの上には洋花のアレンジがあり、また違う春の趣きである。その部屋の楽しい雰囲気がそうさせたのか、ピアノを弾き始めた方がおられたのには少し驚いた(笑)

いけばなと絵でお花見

2010-04-05 10:20:08 | Weblog
今年の桜は霧島で見た凍れるピンクの桜が所見でした。
気が付けば、入院している間に今日の桜は満開になり、滋賀の桜もここ数日で開花を始めるようになりました。
桜を見れば春を思うくらい、日本人にとって桜は特別に愛でたきものでしょう。
桜を眺めて、春の余韻を肴に宴を楽しむのは、千年も前から変わらぬものであると、絵巻や屏風をはじめ、様々な美の遺産が今に伝えてくれています。時代を見渡す中で、公家、武家、町人、数寄者から市井の人まで、様々な愛で方があり、遊び方があると感じ、ついつい頬をゆるめてしまいます。四季折々の美が様々な姿で伝承されているこの国の、心の遊びを、美しいと思うのです。
そうした春の遊びを今に生きる私も楽しもうと、嵯峨御流いけばな 榎社中の華展に絵で参加させていただきました。

今回は榎社中二十五周年記念華展であり、五年前の二十周年記念華展と同じく自宅で開かれました。水墨による花の襖絵といけばなのコラボレーションによる今回の華展は、季節を春
とし、屋内でのお花見を楽しむもの。市中から少し離れた湖西線の和邇という交通の便が良いとは言えない中、2日間で約200人の方々が訪れてくれました。