アモーレ・カンターレ・マンジャーレ

自称イタリア人のオヤジが、好きなサッカーやらグルメやら、何でも不定期に気まぐれに書き綴るサイトです。

歴史人口学で読む江戸日本

2011-06-25 06:27:09 | つれづれ
速水融という歴史学者をご存知だろうか。今、マスコミで歴史学者とかいうとエジプト研究の吉村某あたりが頭に浮かぶ方が多いと思うが、実はおそらく欧米でもっとも著名な歴史学者にして、文化勲章受章者の偉大な先生である。

 その先生の下、いくたの門下生が日本の各地で活躍しているが、そのうちの一人関西大学の浜野潔教授の新作の著書を手にする機会に恵まれた。
 実は、浜野教授とは、小生旧友の間柄であるが、今日はこの本のご紹介をさせていただきたい。もちろん、書店の回し者ではない(笑)

 教授の専攻は、いわゆる歴史人口学というジャンルであり、水戸黄門も暴れん坊将軍も出てこないが、数量的な裏づけから庶民の生活を明らかにしていくというもの。
 そこで取り上げるのは、「ふつうの日本人」であり、その集合体である村や藩レベルが、実は興味深い社会を形成する・・・

 歴史に興味のない向きには・・・と思われるかも知れないが、実は近世から現代に至るまでの人口学ということでは、スペイン風邪の流行など、現代のヒントになることも多い。
 今回、この著書にて浜野教授は、岐阜県のとある農村の江戸時代の宗門改帳という史料をベースとし、そこから全国的な展開をはかっている。

 詳しい内容については、ネタバレになるのでここでは省くが、少なくとも我々が時代劇等で見ている農民とは程遠い現実が浮かび上がってくる。

 そう我々が学校の授業で習った、重税にあえぎ、土地に縛り付けられた農民といったイメージが払拭されることは間違いない。
 そんなこともさりながら、過去に学ぶことで、現代の問題解決のヒントになる話なども展開されている。逆に言うと、人間って、つくづく同じパターンで生きているんだなあと・・・

 ともあれ、この本普通に書店で平積みにされるような本ではないと思うが、歴史に興味のある方には一度お読みになることをお勧めしたいなと。
 大学の授業で使うほど固いわけでなく、読みやすいので、歴史人口学っていったい・・・という向きにもお勧めできるかも。

 「歴史人口学で読む江戸日本」浜野潔 吉川弘文館
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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お礼 (renqing)
2011-06-26 22:20:28
リンクありがとうございました。思わずTBしましたが、屋上屋を重ねてしまったようです。失礼しました。
ありがとうございます (桂)
2011-06-27 11:41:02
いいえ、ご丁寧にありがとうございます。
TBも嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。

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