マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

大いなる陰謀

2008-04-24 10:40:29 | 映画ー劇場鑑賞
ー大いなる陰謀ーLIONS FOR LAMBS
アメリカ
ロバート・レッドフォード監督 ロバート・レッドフォード(マレー教授)メリル・ストリープ(ジャニーン・ロス記者)トム・クルーズ(アーヴィング上院議員)マイケル・ペーニャ(アーネスト)デレク・ルーク(アリアン・フィンチ)アンドリュー・ガーフィールド(トッド・ヘイズ)ピーター・バーグ(ファルコ中佐)

【解説】
ロバート・レッドフォードが7年振りにメガホンをとり、レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズとオールスターキャストが勢ぞろいし、アメリカの対テロ政策の裏を描く感動的な群像ドラマ。政治家とジャーナリストの間で繰り広げられるサスペンスフルな展開に、戦場でのドラマ、大学教授と無気力な生徒のやりとりが複雑に絡み合う。戦争や生死の意味という根源的な問題への、レッドフォードのアプローチに注目したい。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
未来の大統領とも目される上院議員のアーヴィング(トム・クルーズ)は、テレビジャーナリストのロス(メリル・ストリープ)に最新の戦略についての情報をリークする。そのころ、大学教授マレー(ロバート・レッドフォード)の教え子(デレク・ルーク、マイケル・ペーニャ)は、兵士としてアフガニスタンの雪山でその戦略のひとつに携わっていた。(シネマトゥデイ)

【感想】
陰謀と言うから、もっと裏で行われる権力闘争のことかと思いました。
全然違っていました。
だから、原題の「LIONS FOR LAMBS」の方がいいと思うけど、この言葉の言わんとするところがわかりません。

未来の大統領をめざす野心家の上院議員のアーヴィング(トム・クルーズ)がテレビジャーナリストのロス(メリル・ストリープ)に持ちかけた大スクープ。
それは、かつて、アーヴィングを若手の政治家として誉めた、ロスの記事の苦い思い出にもつながっている。
今回のこの大スクープ、言いなりに書くべきなのか、自分の考えを加えて批判すべきなのか。

大学教授マレー(ロバート・レッドフォード)は、優秀だが最近はとみにやる気が失せてしまった無気力な学生トッド(アンドリュー・ガーフィールド)と面談をしていた。
彼に、ある学生がやり残したプランを継続してみないかと持ちかける。
志願兵としてアフガニスタンの作戦に加わったアーニーとアーリアン(デレク・ルーク、マイケル・ペーニャ)の話をするために。

記者のロスといい、マレーといい、かつてはベトナム戦争反対と、若い時には威勢良く体制批判をした世代です。
それが、とくに9.11以来、アフガニスタン侵攻、イラク戦争という流れを止められずにいる。
そして、自分たちの無力感を、もういい加減にどこかで何かをしないいけない、という危機感を感じている人たちの代表ではないでしょうか。

報道と教育、たぶん、この作品をつくった人たちはそれがキーポイントだと考えているのでしょう。
まさに、レッドフォードその人。



志願兵してい戦地に赴いた青年は、アフリカ系とメキシコ系。
とても優秀で、自力で大学や大学院へ進む力があっても、経済的な心配はつきまとうし、さらに上を目指すには英雄的な行いも必要になってくる。
マイケル・ムーアの「華氏911」を思い出しました。
貧しい街の青年が志願兵としてイラクへおくられていました。
そして、上院議員の息子はもちろん戦場へは行かないのです。

上院議員のアーヴィングはいみじくも、「僕は歩兵経験はない、幹部候補生だったからね、僕の優秀さを恥じろというの?」という。
そして、机の上で作戦を立て、実行するのは志願兵という構図。

教授とアーニーたちが会話しているのを聞いていて、涙が出ました。
青年らしい、まっすぐな主張を貫く青年たち。
困惑し、引き止める教授。

そして、この悲しすぎる結末ー

さて、この映画をどう見るか?

いっこうに出口の見えないイラク情勢。
折しも、大統領選挙が近づいて、日本にもそのニュースがたくさん入ってきます。
ヒラリーさん、ペンシルベニアでは大勝利。
でも、民主党が激しく争って、内部に亀裂を残したら、案外共和党の勝利ということになるかもしれないしね。

多くの人は教授の面談を受けているトッドの立場でしょう。

問題があることはわかっているけど、自分たちの手は汚したくない。

トッドは変われるのかー。
国民は変われるのかー。

そして、世界のことはなにもかもアメリカに丸投げの日本は、傍観者の顔で、まだまだどこまでもついて行くのでしょうかね?


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レッドフォードから・・・ (NAKAちゃん)
2008-04-24 22:01:08
ホント 考えさせられる映画でした。
レッドフォードから宿題もらった気分。
といっても 私は日本人だし アメリカの対テロ戦争や人種差別はやはり遠い話で・・・
Lions for Lambs~って「弱い羊に率いられた勇敢なライオン」で机上論の政治家と現場の勇敢な兵士たちのことを表しているのでは?
この「大いなる陰謀」は作品と合わないと思います。

そうそう あの衛星画面で現地の人間の様子が分かるの怖いですねぇ・・・どこから見られているか分からないですね!
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Unknown (杏子)
2008-04-24 22:22:39
まさしく自分の気持ちに一番近かったのはトッドだわ(^^;彼は最後に教授に投げかけられた言葉で変わるのでしょうか。とっても気になりました。

そのトッドが見ていたTVニュースにジャニーンの「結果」も流れているという・・良く練られた脚本ですよね。
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この映画 (ミーママ)
2008-04-25 18:49:23
去年だかのオスカーに何部門かノミネートされてたよね?
Lions for Lambsって何度か聞いた覚えがあります。
ライオンと羊、どういう関係なんだろうって頭捻ったの。羊の皮を着た・・のは狼だし・・・ねえ~

レッドフォードが熱弁ふるっていたけど、やっぱなかなか自分が何かしようと立ち上がるのは難しいよね。
みんなよそのこと、自分が動いても変わらない、と傍観を決め込んで終わりですもんね。

衛星映像、あんなところまで見えてるなんてすごいですよね。
ニュースから見て、あのあとちゃんと作戦は実行されたんですかね~
2人の犠牲はなんだったんでしょ。
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なかちゃんへ (マダムよう)
2008-04-26 09:35:28
「弱い羊に率いられた勇敢なライオン」
ありがとう。
なるほどね。
でも、いまいち、意味が分からないねー。

衛生画面、すごかったね。
でも、助けられないのは情けないね。
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杏子さんへ (マダムよう)
2008-04-26 09:47:48
いい脚本だと思いました。
絡まないのに、ひとつのテーマを多面的にあらわしていて、混乱しないし退屈もしない。
うまいね。
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ミーママへ (マダムよう)
2008-04-26 09:49:41
そのうち傍観者じゃなくなるときも来るかもしれないのにね。
なんでも、先送り、人任せ、ああ、耳が痛いね。

あの二人の犠牲はどう評価されて、アーヴィングの責任はどうなるのか、知りたかったわ。
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アメリカでは (miyu)
2008-04-26 10:15:13
評価されなくても、日本の方には割りと
評価されてるかしら?
全く知らなかったってワケではないけど、
それでも改めて見るとプチ衝撃を受けるものですよね。
とても興味深く見れました。
おっしゃるように脚本も良かったですね。
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題名がイマイチ・・・ (cocco)
2008-04-26 11:54:14
こんにちは♪

今週 主人と観てきました。

物語はまだまだ序盤・・・これから もうひと作品できあがりそうです。
そこが 観ているひとへの問いかけにしたかったのでしょうか。

主人は 「戦場でふたりが立ち上がったところは『明日に向かって~』のラストを彷彿とさせたなぁ」と 言ってましたが・・・ 
ただただ わたしは レッド・フォードの目が気になる~(^^;)


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miyuさんへ (マダムよう)
2008-04-28 09:25:05
そう、アメリカでは評価されていないのですか?
内容はレッドフォードの主張そのものでしょうが、見せるように作ってあったけどね。
アメリカ人も日本人も、政治に感心が薄いね。
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coccoさんへ (マダムよう)
2008-04-28 09:27:43
>「戦場でふたりが立ち上がったところは『明日に向かって~』のラストを彷彿とさせたなぁ」
そう言われれば、そうでした。
悲惨でしたね。

この映画は、問題提起だけでしたね。
私も、どう展開して行くかの方が、興味があります。

レッドフォードは遠目は、変わりなく素敵ですね。
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