「女の一代記 瀬戸内寂聴」 注目！阿部寛なかなかやるな☆

瀬戸内さんの著書は一度も読んだことがないのに女性週刊誌に見る法話には

大変興味があり身近に感じていました。あの穏やかで無心な笑顔の内側には

これほどの情熱が隠されていたのかとただ驚き、惹きこまれていきました。

ドラマは終戦後から始まります。夫と子供のあるごく普通の家庭の主婦、晴美は

夫の教え子、涼太と恋に落ちていきます。

ただ会うだけの純愛ですが心の結びつきが深く激しい恋を感じさせてくれます。

やがて家庭を捨て、涼太の元にいきますが破局。自立のために出版社で働き

そこで小杉と出会います。小杉と生活していると、そこにまた涼太がやってきて

大変奇妙な三角関係が続きます。おそらく二人を愛しすぎ身動きができなくなった

ためでしょう。別れを告げ、そしてついに出家を決断するようになるのです・・・



晴美を演じた宮沢りえちゃん。傷ついた時期を乗り越えて見事に女優として

成長しました。愛する表情、恋のせつなさ、女心の表現の巧みさに驚かされます。

陰りの目の色にも、飄々とした動きにもにじむような色気があり彼女を起用した

のは大成功だと言ってよいでしょう。すばらしかった。

涼太の中村勘太郎さん・・初めて演技を見たかもしれません。（わかりませんが・・）

育ちの良さなのでしょうか。地味な役ですが苦しい表情が良く似合っていました。

しかし、このドラマの何と言っても注目は阿部寛であります。

今まで、もっさりと立ってるだけで、むさ苦しいイメージしかありませんでした。

篠原涼子と共演した専業主夫の役や、ドラゴン桜、トリック。。ただ大きくて

演技も棒立ちという感じでいまいち乗れてない俳優さんと思っていたのです。

それなのになんとなんとこの人、こんなに色気があったのと思うほどすてきでした。

りえちゃんが相手というのもあるでしょうが、二人で見詰め合うだけで、

ただ黙っているだけで愛があふれ漂うものがありました。

こんな阿部寛を発見できたのは本当に収穫。見て良かったと思います。

 

瀬戸内寂聴さんは、奔放な愛を貫いたということでしょうか。

しかし愛が深すぎて自分を苦しめてしまったのですね。

「出家」することは生きながら死ぬことだそうです。

すべてを昇華させて奥深くにしまいこみ、仏様に仕る生活を決心するには

二度と戻らない強い意志が必要です。

それほど愛された二人はもうこの世にいないとのこと。

幼女のような笑顔のかげに、祈るばかりの毎日でしょう。

　　　　　　　　・・・・・頭を剃るシーンには思わず涙が出ました。