45リットル袋にヘリウム、校内でかぶった茨城の高3死亡(読売新聞) - goo ニュース
高校生が文化祭の準備をしていたときに、ヘリウムガスをつめた黒いポリ袋をかぶって、首の所で輪ゴムで結んでいて死亡したようです。
まずは謹んでご冥福をお祈りいたします。
この事件を聞いたとき、正直「えっ」と思いました。
ヘリウムガスって、吸い込むと声が面白く変わるということで、一昔前にすごいはやった記憶があります。
その頃私は、ヘリウムガスなんて吸って酸欠にならんのだろうか、と素朴に疑問を持っていたものです。
しかしどこかで変声用(っていうのかな?)のヘリウムガスには、安全のために酸素が混ぜてあると聞き、なるほど、よく考えてあるものだと思ったものです。
そのヘリウムガスをゴミ袋に入れてかぶったとして、酸欠になったとき気づかないものなのでしょうか。
だんだんと苦しくなっていくものではないのか?
そんなことを考えていてふと思い出したのが、声が変わること以外の二つの要素。
ヘリウムガスは非常に軽いということと、非常に安定だということです。
ヘリウムガスは非常に軽く、風船なんかにも使われています。
普通に呼気を吹き込むと、持ったときふんわりと浮かびませんからね。
9月に中国で風船が爆発したというニュースがあったようですが、なんと水素を使っていたそうです。
水素は酸素がある状況で点火すると容易に爆発します。
なので、普通は水素の次に軽く、安定したヘリウムガスを使うものです。
恐るべし中国。
また、ヘリウムは非常に安定したガスなので、アルゴンガスや窒素ガスのように科学の実験につかわれることもあるでしょう。
酸素と反応しやすい物質を扱うとき、普通の空気中で扱うと、空気中の酸素と反応してしまうことが多々あります。
なので、窒素ガスなどを満たした小さな密室状態を作り、酸素と反応するのを避けるのです。
ちなみに、実験中密室で液体窒素を使っていて、いつの間にか床に窒素がたまっていて、酸欠で倒れて亡くなる事故もあったと思います。
身近なところでは、お土産ものやピーナツなどの窒素ガス充填が同じ理由で使われているものですね。
食品が空気中の酸素と反応して変質しないよう、容器の中を窒素ガスでみたしているのです。
ネットでちょっと調べてみたところ、変声用(っていうのか?)のヘリウムガスは安全のために20%の酸素が入っていないと販売できないそうです。
しかし、実験用のヘリウムガスは、そもそも酸素などを排除するためのものなので、酸素の含有量は限りなくゼロに近いでしょう。
また、風船用のヘリウムガスも、純度99.5%以上とか、中には100%なんて書いてあるものもあります(科学的に100%ってどうよって話はおいといて)。
ヘリウムガスは文化祭のために準備されていたもののようですが、よくよくいろいろな記事を読んでみると、「(教師と生徒が)風船にガスをつめていた」という記載があるものがあり、純度が高いものだったのではと思います。
純度の高いヘリウムガスを満たした袋をかぶり、輪ゴムで止め、ガスを吸い込んだ瞬間に、酸欠を起こして倒れた、と想像すると…。
これまでに純度の高い風船用ヘリウムガスを吸い込んで酸欠を起こした事件などはなかったのでしょうか。
風船は容量が少ないため、今まで大きな事故はなかったのかもしれませんが。
子供の手にもわたるものですから、風船用のガスも規格を考えたほうがいいのではと思いました。
そして、ふと思ったこと。
子供の理科離れが進み、面白い実験で興味をひくのも大切なことです。
ですが、その原理など根本的なところをおろそかにして、現象だけを楽しみ、科学を振り回すことは危険なことではないのかなぁ、と。
科学ですべてを明らかにできるわけではありませんが、手が届くはずの命を、むざむざ取りこぼしてしまったとなれば、後悔しきれないのではと思います。