”捜索者” The Searchers / The Making of an American Legend 著者グレン・フランクル/ 高見 浩 訳 2015(平成27)年8月30日発行 新潮社 3400円
今日( 27.10/5 )天神近くの職場から仕事帰りに ”西部劇パーフェクトコレクション ”という10枚組の廉価DVDの新しいのが出ている(12巻目)とのことで天神ジュンク堂書店に寄ってみた。映画本のコーナーにあるので行ってみるとDVDよりも先にこの新刊書が目に入って思わず目が点になってしまいました・・・・・衝動買いもいいところで、表紙を見ただけで買ったのでした。
公開当時(1956=昭和31年 )はあまり注目されなかったというジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の西部劇「 捜索者( The Searchers 」 が近年アメリカで再評価されて2008(平成20)年アメリカ映画協会(American Film Institute)の西部劇部門で第1位になったというんですね、しかもそれが一時的なものではなくて続いていると。
「捜索者」はインディアン(コマンチ族)にさらわれた兄の幼い娘2人を探して7年の捜索に出る弟イーサン・エドワーズ(ジョン・フォード)の物語でしたが、この本をちょこっと初めのほうを読んでみたところ、この物語には1836年東部テキサスで9歳の少女シンシア・アン・パーカー等5人がコマンチ族のインディアンにさらわれた事実があって シンシアの伯父ジェイムズ・パーカーが8年にわたってシンシアを含む子供達を捜し続けた・・・・・というちゃんとした史実に基づく事実があったということなんだそうです。
帯裏には ”19世紀に実際に起きた少女シンシア・アン・パーカーの拉致事件。その凄惨な闘争劇を調べ上げ、奪還された女性が産んだ息子クオナの数奇な運命をたどり、西部開拓史における「神話的悲劇」として語り継がれる事件の真相を追う。さらには名匠ジョン・フォード監督が、この物語を西部劇屈指の作品へと昇華するまでを克明に描く。名画でアメリカ近代史を知る、全米話題のノンフィクション大作 ”・・・・・と書いてあります。読んでいくと本の前半がシンシア・アン・パーカーの拉致事件~彼女が生んだインディアン混血のコマンチ族酋長クアナ・パーカーの生涯に関する内容。後半は「捜索者」の原作者である西部小説家アラン・ルメイについて-から始まってジョン・フォード監督とジョン・ウェイン周辺のことについて一通りの紹介、そして映画「捜索者」の制作にまつわる話へ~と移っていきます。
貴重なのは原作者アラン・ルメイ(Alan Le May)についてページを設けていることです。ジョン・フォードやジョン・ウェインについてはこれまでもたくさんの本など情報があっているので無くてもよかったかなと思うのですが、今や現代の人達にはジョン・フォードやジョン・ウェインを知らないという人達が多くなっていることを思うとやはり必要なページなんだと思います。まだ最後まで読みきってはいないので追々感想など載せようと思っています・・・でもこの本、西部劇好きの人やアメリカ西部に興味を持っている人達にはどうしても奨めたくなる作品で やはり肩入れしたくなります。
ついでですが、ジョン・フォード一家の俳優だったハリー・ケリーJr. が書いた本 「 ジョン・フォードの旗の下に 」( 高橋千尋 訳 1997年発刊 筑摩書房 ) も併せて読まれたらいいと思います・・・・・西部劇「 捜索者 」 について1項目あててあって 撮影の時の状況やハリー・ケリーJr. なりの感想が載っていたりします(写真2、ジョン・フォード御大を中心に右上から時計回りにハリー・ケリーJr.~ワード・ボンド~ベン・ジョンソン~ジョン・ウェインです)。
さて、今回紹介しました「捜索者」の本はハードカバー524ページの本なので1ヶ月は楽しめそうで、DVDもまた観直してみたくなりそうな感じ
幼い頃、亡父に連れられて駅裏映画館の2~3本立で観たましたが、その頃はもっぱら親父側の趣好で入ったので、ストーリーは詳しく覚えておらず、ただ広大なモニュメント・バレー(この地名も後から知りましたが…)の光景の美しさと、インディアンとの銃撃戦くらいしか記憶にありませんでした。
数年後に西部劇から連鎖的に(?)C&W音楽にも興味を持つようになって観(視)返すと、バックの音楽もスタン・ジョーンズ作で Sons of The Pioneers によるテーマ曲。特に最後にこの曲をバックに、J・ウェインが流浪の旅へと去って行く場面にENDマークが重なるシーンは、何度視ても胸が熱くなります。(よそ様の評価とは無関係に)「これぞ西部劇」と言うべき普及の名作だと自認しております。この著作も早速、探して読むつもりです。ありがとうございました。
後半の原作者の話しから、製作の話しは興味しんしんです。回りの西部劇狂達も、後半を褒めています。期待して読んで下さい。