Yodeling Slim Clark (1)
米国盤 Palomino Records PAL-300 Yodeling Slim Clark Sings The Legendary Jimmie Rodgers Songs
(1)Moonlight & Skies (2)Mother, Queen Of My Heart (3)In The Jailhouse Now #2 (4)Away Out On The Mountain (5)Never No Mo' Blues (6)Yodeling Cowboy (7)Daddy & Home (8)Waiting For A Train (9)Desert Blues (10)T For Texas (11)My Little Lady (12)Peach Pickin' Time In GA.
今も昔も流行だけを追っかけていては決して出逢えないカントリー歌手がいます。私にとっては Yodeling Slim Clark (1917~2000年 マサチューセッツ州出身 )もそうした一人でした。カントリーヨーデルやカウボーイ・ソングの好きなファンの間で名前は知られていても、彼のレコードが全て弱小のマイナーレコードであったため日本では全く発売されたことはなかったようです。
僕自身初めてスリム・クラークの写真とレコードにめぐり合ったのは1975(昭和50)年頃でした。何かの機会にスリムがジミー・ロジャースを歌うLPレコードを出している・・・・と知って矢も立てもいられず 苦心惨憺してアメリカのカントリー通販カタログを取り寄せて彼の中古LPレコードを数枚注文したのでした・・・・その中の1枚が Palomino Records ( フロリダにあった )が1966( 昭和41)年に出したというこの 「 Yodeling Slim Clark Sings Jimmie Rodgers 」 です・・・・だからとても思い出深いレコードです。
スリムはカントリー歌手というよりはほとんど Cowboy Singer といってもよいくらい歌う唄の内容は Traditional Cowboy Song やアメリカ西部に関するものばかりです。ヨーデル入りの生ギターの弾き語りで、昔からのスタイルを堅持しているという姿勢がジャケット写真にも現れているように思います。アメリカのカントリー、カウボーイ・ソングの奥の深さを知ったのもスリム・クラークを知ってからでした。
ところでこのレコード、音的には全曲生ギターの弾き語りとヨーデルで ジミーの曲に忠実に歌っています。本来が Cowboy Song を主体に歌う地味なスタイルの人なので劇的な音作りを期待すると失望・・・・ということになるので誰れにでも奨めるというわけにはいかないのですが、僕はスリム・クラークのかたくななまでのこうしたスタイルを好ましく思っています。 どこかのレコード会社が CD 化してくれてより多くの人に聴けるようになるといいなぁ・・・・と思っています。 Yodeling Slim Clark については後日詳しく述べてみる予定です・・・・とりあえずジャケットの解説訳を載せておきます。
・・・・・・・・・「 スリム・クラークは現在でも活躍している数少ないアメリカの正統派 Cowboy Singer のひとりです。彼の歌う American Cowboy Song の数々は世界中の人々の心の中に生き続けているものです。 このアルバムではスリムは伝説のジミー・ロジャースの歌12曲を披露してくれていますが、12曲全てを彼自身のギター弾き語り-Slim Clark Style -で演ってくれます。 これはファンの人達が彼のそうしたスタイルを望んだので モダンなサウンド作りを避けて要望に答える形にしたんだそうです。
ジミー・ロジャースの歌はこれまでも多くのカントリー歌手にレコーディングされてきましたが、ジミーのオリジナルに忠実な形での録音は見受けられませんでした。ジミーの死から30年たってもジミーが残した数々の歌そのものへの関心は続いていました。
” Waiting For A Train ( 汽車を待って )” という曲はこのアルバムの白眉ですが、あたかも故郷を遠く離れた孤独なカウボーイが家に帰ろうとする様を put off a train in Texas として言い表わしているようにも感じられます。
” Yodeling Cowboy ” ( スリムのテーマソングでもあるそうです ) はギターを持った気ままなカウボーイの道中のことを歌った唄です。
” Daddy & Home ” は今まで書かれた中で最も悲しいカウボーイ・ソングのひとつでしょう・・・・スリルを求めて家を出て放浪の生活を送ったものの、時が経ってそんな生活に疲れ、今は亡き父親と過ごした子供時代に思いを馳せる・・・・という内容です。
” My Little Lady ” と、 トランプギャンブルはしないという母親との約束を破った男の後悔の念を歌った ” Mother, Queen Of My Heart ” という曲ではスリムの素晴らしいヨーデルが映えるものになっていて これまでも多くのカントリー歌手が採り上げていましたが スリム・クラークのような true style のものは有りませんでした。
その他の曲も聴いていただければ素晴らしいものと確信できると思います 」・・・・といった内容が書いてあります。
古いスタイルのカントリーを思わせるこのようなジャケットが僕は大好きです。
今回新たにジャケットの裏表紙も載せました
*2007(平成19)年10/7の古い記事です、しばらくしたらまた元に戻す予定です