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傷寒論・金匱要略中の方剤(漢方薬)の主之(これをつかさどる)とは。 コロナウィルスでもサーズでも随証治療ということ。

2020-03-07 09:30:34 | 日記

傷寒論・金匱要略中の方剤(漢方薬)の主之(これをつかさどる)とは

傷寒論という書物の

辨太陽病脈證并治法上第五

第十三條 12 一二

太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者、熱自發。陰弱者、汗自出。嗇嗇惡寒、淅淅惡風、翕翕發熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。

 

太陽の中風は陽浮にして陰弱、陽浮なる者は熱自から發し陰弱なる者は汗自から出づ、嗇嗇として惡寒し淅淅と惡風し翕翕と發熱し鼻鳴り乾嘔する者は桂枝湯之を主どる。

桂枝湯主之、桂枝湯で之を統(す)べ治めてやれ、主の字に治めるの義ありとなす故に領(す)べ治めると解釋せり、之の字は太陽の中風が原因で上述の證候を現してゐる病を斥す。荒木性次著方術説話

統=

①すべる(すぶ)。(ア)一つに集めること。とりまとめる。「統一(トウイツ)」(イ)治める。支配する。「統治(トウチ)」

②すじ。(ア)血すじ。「血統(ケットウ)」(イ)おおすじ。「正統(セイトウ)」③いとぐち。(緒)。ばじめ。

領=

①うなじ。くび。くびすじ。

②えり。衣服のくびをかこむ部分。

③大事なところ。かなめ。「要領(ヨウリョウ)」

④衣類やよろいを数えることば。

⑤おさめる。(をさむ)(ア)すべる。しめくくる。「領地(リョウチ)」(イ)占有する。「占領(センリョウ)」

⑥うける。「受領(ジュリョウ)」

⑦さとる。「領解(リョウカイ)」

⑧得意とする才能・技術。「本領(ホンリョウ)」

⑨かしら。おさ。「首領(シュリョウ)」 Obunsya 標準漢和辞典

 

主之=これをつかさどる 

之を主(つかさど)るとは、與ふるに、二物無し、即ち之を主として、他に用ふ可き薬方無しとの謂いなり。奥田謙蔵著傷寒論講義

 

主治である。大塚敬節著傷寒論解説

 

主=しゅ

③主治、主治範囲。

<傷寒論太陽病>「桂枝湯、之を主る。」

<霊枢終始>「腰より以上の者は、手太陽、陽明皆之を主る。」漢方用語大辞典

 

之主・これをつかさどるとは、之で全てが完治するという意味では無い。

 

傷寒論

辨太陽病脈證并治中第六の

第二十七條 27 五七 に

傷寒、發汗解、半日許復煩、脈浮數者、可更發汗、桂枝湯主之。

傷寒(麻黄湯で)汗を發し解し、半日ばかりにして復た煩し、脈浮數なる者は、更に汗を發すべし、宜しく桂枝湯之をつかさどるべし。

一條の大意は傷寒の病人を適當の藥(麻黄湯)を用ゐて發汗してやったら汗が出て一旦熱が下がったのに六時間もたつとまた熱が出だして病人がくるしみ脈を看ると浮で數の者は今度は前とは異った藥を使って發汗してやるべきで其の場合には當然桂枝湯を使って之を主治してやれといふこと。荒木性次著方術説話

 

コロナウィルスでもサーズでも随証治療ということ。

随証治療=ずいしょうちりょう。

証に従って治療を行うということ。これは漢方治療の基礎理論である。

<傷寒論という書物の太陽病という篇の上に>「その脈証を観て何の逆を犯したかを知り、証に従いてこれを治す」漢方用語大辞典

 

荒木性次著方術説話 

第二巻 傷寒論 太陽病 上巻 の

第十七條に

太陽病三日、已發汗、若吐、若下、若温鍼、仍不解者、此爲壞病、桂枝不中與也。観其脈證、知犯何逆、隨證治之。

太陽病三日、すでに汗を發し若くは吐し若くは下し若くは温鍼し仍ほ解せざる者は此を壊病となす桂枝を與ふるは中らざるなり、其脈證を観て何の逆を犯したるかを知り證に隨ひて之を治せ。

太陽病三日、已發汗、若吐、若下、若温鍼、仍不解者、此爲壞病、桂枝不中與也 太陽が病を發してから三日たち其の間に既に發汗させたり、さもなかったら吐かせたり、又は下しをかけたり、又は温鍼をしたりしたけれども仍ほ解せない者は此をくずれた病とする之に桂枝湯を與へるのは見當違ひとする。

観其脈證、知犯何逆、隨證治之 そこに現れてゐる脈と證とをよくみてどういう逆を犯してゐるかを知って出てゐる證候に合せて之を治してやれ、観はよく視ること、知犯何逆は何處に故障を起させてゐるかを知ると云こと、發汗その他の方法でどこに調子を狂はせてゐるのかを知ることを云、何逆は何處に障害をと云ふ意、犯は生じてゐるかの意、隨證治之 脈と證とに從って之を治してやれ、證は病より現れるあかしを云、病から發するいつはりの無い證據は脈と容態にあり故に之を證と謂ふ。 荒木性次著方術説話

 

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