[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 「済」という漢字の由来 投稿者: 事務員 投稿日:2007-05-03 19:09:28 先日職場で書類に済印を押していた同僚が、『済』という漢字を見ながら、水に関係しないことに使われてるのになぜ「さんずい」? とつぶやいてるのを聞いて、『済』の漢字の形はどういうことから形作られたのか知りたくなりました。教えてください。 |
【済】 【呉音】サイ 【漢音】セイ 【慣用音】ザイ
確かに「物事がすんでいること」を「済み」と表記しますね。また事務的には丸印で「済」のハンコを押したりします。
国語辞典には「済む=物事が終わる。完了する」、「済み=物事がすんでいること」という説明がありますが、なぜこの「済」という漢字を当てたのかという説明はありません。
また、漢和字典には、
「日本語での特別な意味 ・・・・ すむ。終わる。また、うまくやりすごす。」
とあります。
「済」は、
斉・儕・劑・妻・自・此・姉 ・・・ そろって並ぶ
の家族で、その親字の「斉」は図解のとおり、ヒシ形のものが三つ並んださまを表しています。「三」は「たくさん」の意味ですから、「多くの物が頭をそろえた」状態をあらわします。そこで、きちんと並びそろうことを「斉然」「斉如」と形容するそうです。
したがって、親字の「斉」は「物がでこぼこなくそろったさまをあらわす象形文字」であると定義されています。
さて、ご質問の「済」の字ですが、これは川の水量を調整して水流の強弱をそろえること。
不順な状態をほどよく調節してそろえる意味から「済度(たすける)」の意味をもつようになりました。
中国の山東省に「済水」という川がありますが、この川の名前は、黄河下流の水流を調整するはたらきに着目して名付けられたものだとされています。
■意味
(1)すくう(すくふ)。
不足を補って、平等にならす。
困っている者に当てがって、水準の線までそろえてやる。
「救済」「経世済民(ケイセイサイミン)(世の中を調整して人民の生活のでこぼこをなくする)」
(2)なす。
でこぼこや過不足を調整する。ととのえてまとめあげる。
「済美=美を済す」
(3)わたる。わたす。
川や難路を無事に通り切る。また、通す。
(4)セイす。
障害を除いてうまく調整する。
「鑿河八十里以済不通=河を鑿つこと八十里以て不通を済す」
(5)やりくり。
してみると、仕事を「済ませた」ということは、「でこぼこや過不足を調整して、ものごとを処理し、ととのえてまとめあげた」ということですから、そこで処理済みを意味する「済」の字の太鼓判を押すことにしたのでしょう。
事務関係では、実務の他にも、報告書の字句を整えたり、いくつもの文書のつじつまをあわせたり、必要なものをきちんとそろえて書類をきちんとととのえなければ「済」の決済はもらえませんよね。
そういうことで、「すみ」の意に「済」の漢字を当てたのではないでしょうか。
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(奈央)と言うのです。できましたら(央)もお願いします。 ちなみに後輩の名前は(奈緒)です。(緒)もできましたらおねがいします。