ふいご屋の日常

ポジティフ・オルガン&チェンバロ貸出屋の傍ら歌手、の日記

【4月29日】今日の仕事は本当にふいご屋(笑)

2008-04-30 23:25:42 | オルガン
今日は先日オープンしたばかりの四谷三丁目の東京おもちゃ美術館へ。

開館してすぐの平日こそ来館者は少なめだった模様だが、新聞・テレビなどのマスメディアに取り上げられた効果か、じわりじわりと数が増え、この日は好天に恵まれた休日ということもあって来館者数の記録更新。



お手伝いの私は入り口前に置かれた「からくり人形」付きの大掛かりな手回しオルガン(ストリートオルガン、Drehorgel)のふいごを回すお役目をいただきました。ハンドルネーム通り、といったところ?(笑) それにしてもこの楽器、「おもちゃ美術館」のシンボルとしてはぴったりかも。
来館の子供はもちろん、大人もどういう仕組みで音が出るのか、どのようにからくり人形が動くのか不思議そう。そこで演奏の合間にそのあたりをワンポイント解説。ますますふいご屋の面目躍如か(笑)。
ええっと、ご参考までに書きますとこのような楽器の笛はゲダクト管です。

この美術館にはもう少し小振りの楽器も何台かあり。



さて、そのうち不具合のあるものがあるので閉館後に手を入れてみるが、その作業がなかなか難しい。自分がこのような物に不慣れなこともあるが、だいぶ作り込んであるために細かい箇所にアクセスしにくく必ずしもメンテがしやすいとは言えない、という事情もある。普段自分が手にしているオルガンとは思想が違うのでしょうね(もちろん、後でアクセスすることを製作者が十分に考えていない、困ったポジティフもたくさんありますが 怒)。うんうんうなってだいぶ頑張ってみてもあまり成果があがらず、この日はひとまず作業を断念。遅くに退館することとあいなりました。

ふいごを回しただけで、まだ展示やワークショップなどのエリアに顔を出していない私。来館の皆様の満足度は非常に高いご様子ですので、今度はそちらも見なければ!

皆様のご来館も引き続きお待ちしております。
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【4月27日】保谷こもれびホール「第九演奏会」第2日

2008-04-28 11:14:23 | 
保谷こもれびホール開館10周年記念の「第九」演奏会2日目。

単に歌いたい合唱メンバーを公募し、一通りの練習をして本番へ、という第九演奏会はそこらへんには多かれど、この公演はいろいろな仕掛けとひねり(笑)を加えた、他ではそうそう実現させることができない大変ユニークな企画。合唱メンバーは皆「学校」に入学してもらい、半年間にわたって歌の練習だけでなく何度かの必修講座を受講し、ベートーヴェン自身やこの交響曲、それを取り巻く諸テーマについて理解を深めるというものであった。卒業公演がこの第九、1月のデビュー公演は「合唱幻想曲」(この曲、もっと演奏されていいですね)。
そして、オーケストラは諸岡範澄さん率いるオーケストラ・シンポシオン、独唱陣はBCJなどで大活躍の気鋭の4人。巷に一般的な団子のような響きのオケと重唱カルテットとは対極かつ無縁の音が用意されるのだった(なお、モダンピッチで演奏)。

このような企画に積極的に申し込まれた合唱メンバーは、やや人数が少なく(特に男声)、そのために途中で私に合唱指導の青木洋也氏からお声がかかってお手伝いさせていただくこととなった次第。入学式に出席していないからさしずめ私は「転校生」ですね(笑)。
さて、アマチュアの合唱団による演奏会で取り上げられる機会が最も多い大曲と言えばおそらくこの第九交響曲と想像しますが、ご存知のように合唱の音域は無茶なくらいに高くて、一生懸命頑張るものの正しいピッチをなかなか確保できない箇所が随所に発生。バスは調性上Dの他Aが支配的な部分が多いので、そこをロングトーンで確認する場面が多かったが、何だか自分が「人間チューナー」になった気分(パート全体が20~30セントくらい、幅を持って低い場面もあったりして、「チューナー」に合わなくて困ったぞ)。
で、どうしてもここはきちんとした和声を確保したい、という部分を仕上げるために、リハでは合唱の立ち位置までコンマスみやさまと指揮者ののりずみ氏がわざわざ出張サービスにお越しくださいました(笑)。

アルトに示しているのはe2の音。



のりずみ氏からはテノールにcis1の音を(指揮者の彼、どこからチェロを持ってきた?)。



(それにしても、練習中に写真を撮っている場合か、と怒られそう)

2日間に亘る第九公演。一日目は自分としてはほどよい緊張感を保ちつつ、沈着に歌ったというところ。二日目の昨日はリラックスし更に開放的に音楽を持っていけた感。但し、やはり第九を2日連続で歌うのは難しい。一日目に比べ自分の喉の疲労は拭いようもなく、痩せた響きになってしまったのでは、と反省しました。

「お手伝い」として参加しましたが、おそらく私の方が真摯なメンバーの皆さんからたくさんのものを学んだことでしょう。途中からの、わずか2ヶ月弱の学校生活でしたが、本当にお世話なり皆さんに感謝申し上げる次第です。また是非別の機会に皆さんとご一緒することができれば、と強く思いました。

学校の生徒みんなに渡された、西原稔校長名の「修了書」。とても「全課程」をこなしたとは言えない単位不足の私もありがたく頂戴いたしました。




終演後はすぐに失礼してこもれびホールからすぐ近くの東久留米でのグレゴリオ聖歌の練習へ直行。先ほどの音の世界から600年遡り、今度は楽譜も古ネウマ併記の4線譜。ギャップが激しいどころでない、異次元空間に放り込まれたようなその後の2時間でした。
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保谷こもれびホール開館10周年記念「第九演奏会」(第一日)

2008-04-26 22:19:42 | 
初日、無事終了しました。リハ終了から開演まで実に3時間。開演から歌い出すまで約1時間半。このような時間軸の現場、最近やっていなかったので何だか調子がでない!
ヒマだあ、何か調律した~い、と騒いだのでオケメンバーの皆様に笑われました(笑)。

詳しくは、明日の記事でまとめて、という予定。
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「設備投資」顛末

2008-04-24 23:01:38 | その他
オルガンを運搬する為に数年前の時点で7年落ちで買ったカーゴスペースの広い現有車。日本では後継車すら売られずに消えていったこの車(本国ではマイナーチェンジを繰り返してそこそこ人気があるというのに)、今や走行距離は11万㌔を超え、細かい不具合は起こるものの、パワーユニットはまだまだ元気なのでもう少し乗り続ける気でいた。そうしたら最近足回りから時々異音発生。当初ディーラーさんの見立てはABSの不具合、ユニットをそっくり換えるとなるとン十万円かかるとのことで、これから漸増するであろう経年リスクをも恐れて買い替えを検討することにした。

運搬するものがポジティフオルガンだけ、またはチェンバロだけなら対応できるミニバンの選択肢はまずまず豊富。しかし、我が家で出動頻度がなぜかチェンバロに並んでしまう(笑)レガールも積める車となると途端に選びようが無くなり、斯業界御用達のT社Hエース(ミニバンとは呼ばないが)か、MB社のVクラス(!)くらいしか無いと判明。

あれこれ逡巡したあげく(=めんどくさくなって)当面の資金繰りという乗り越えるべき壁もあって、やっぱり愛しい(?)車を修繕することにしました。

で、ディーラーでもう一度入念にチェックしたら、故障しているのはABSのセンサーだけとのこと。「すみませ~ん。部品代は一万円くらいです」とご担当者さんからあらためて明るい御託宣あり(なあんだ)。

一度は新車代分の出費を覚悟したから、反動で気が大きくなり「それなら新しく楽器を注文しようか」と一瞬思いましたが、…今度は我が家の方に入れるスペースがありません。その対応のための設備投資額は半端でないですしねえ(笑)。
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【4月23日】第九練習(オケ付き二日目)

2008-04-23 22:56:41 | 
昨日から始まった保谷こもれびホール第九公演のオケ付き練習。昨日は2台ポジティフのリサイタルのため欠席したので、自分にとっては今日が初日。

いやはや、今日はたくさんの方にご挨拶しました。器楽はご存知オーケストラ・シンポシオンで、当然顔見知りの方々ばかり。
「えっ、歌うの?」と明らかにびっくりされた方、「チェンバロ、持ってきていないの?」「オルガン、第九で使ったっけ?」とニヤニヤしている方など、迎え方はさまざまでした(笑)。
大きな編成の器楽陣とともに歌でステージに乗り、でも自分の楽器出動無し、という現場は考えてみれば初めてかも。

今日行ってみたら、立ち位置は最前列ど真ん中の由。ソリストのすぐ後ろ、青木氏と鈴木氏の間。歌いやすいポジションをいただけて感謝~。

この公演、まだお席に余裕があるようです(特に今週土曜日、26日の公演)。諸岡氏の解釈は第九の演奏に耳慣れた方に対しても新鮮に響くこと間違いなく、是非ご来臨賜りたくよろしくお願いいたします。

★保谷こもれびホール開館10周年記念事業~歓喜に寄せて
2008年4月26日(土)18時開演/27日(日)15時開演
於 保谷こもれびホール・メインホール

ベートーヴェン:序曲「献堂式」Op124、交響曲第九番ニ短調「合唱付き」Op125

ソプラノ藤崎美苗・アルト青木洋也・テノール鈴木准・バス藤井大輔

諸岡範澄指揮オーケストラ・シンポシオン、ベートーヴェンの学校合唱団

全席指定 一般2500円・学生1300円

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【4月22日】2台ポジティフオルガンの饗宴(勝山雅世オルガンリサイタル)

2008-04-23 11:51:36 | オルガン
いろいろな現場に恵まれ皆様に感謝しつつ続けております私の楽器屋稼業ですが、今回は今までにない珍しくも楽しいコンサート。
だいたい、一つのコンサートで2台のポジティフが並ぶなんて光景はバッハのマタイ受難曲くらいだろうが(私的には、シュッツのダヴィデ詩篇曲集で複数ポジティフを配置してみたい)、今回は2台の楽器を通奏低音楽器としてだけでなくソロ楽器としても縦横無尽に使う。このような意欲的な企画を作られた勝山さんにまず、敬意を表する次第です。
共演はVn廣海史帆さん、Vdg坪田一子さん、そしてもう一人のオルガニスト近藤岳さん。

で、裏方での共演(笑)はご存知梅岡俊彦さんとこの私(←横綱と十両くらいの差はあるが)。楽器運搬から始まり最後の最後まで今回もお世話になり、ご指導もいただきました。

プログラム前半はパスクィーニの2つの通奏低音のためのソナタ(勝山=梅岡Or、近藤=石井Or)、エレギアのティエント(勝山=石井Or+レガール)、ロカテッリのソナタ(廣海、坪田、勝山=石井Or)。
後半は近藤氏の新作「3つのストラクチュール」(勝山=石井Or、近藤=梅岡Or)、オルティスのリチェルカーレ(坪田、勝山=石井Or)、A.スカルラッティのトッカータ(勝山=梅岡Or)。アンコールは4人全員でヘンデル。

大オルガンのレパートリーではないかもしれないが、しかし、この日演奏された曲の数々も魅力溢れる確かなオルガン音楽(楽器というもの、大は小を兼ねるわけではないのですよね)。多彩かつ一本筋の通ったプログラムは裏で聴いていても実に興奮もの。

そして、滅多に聴けないパスクィーニの通奏低音のソナタ(昔、講習会で弾いたっけなあ)もさることながら、近藤氏の新作は「2台ポジティフの饗宴」に相応しく、ジャヌカンのシャンソンのモチーフがすぅーっと浮かび上がってくる美しさには何だか涙が出そうになりました(ホント)。
廣海さんも坪田さんも実に「熱い」演奏をなさっていていらっしゃいました。

さて、この日のもう一つ見もの(聴きもの)は2台の「楽器対決」(笑)。ずっと手許に置いてある自分の楽器でも、別の楽器と並べて比較してみると、その特徴を明確に認識することができるというもの。このコンサートのお蔭で自分の楽器で初めて知ったような部分多し(笑)。
梅岡Orも、通奏低音ではもう何度も拝見していましたが、この日はソロ楽器としても「おおっ!」と感銘を受けたり。

そもそも「音量控えめ」な私のオルガン、リハ当初は梅岡オルガンとの音量差が大きく感じられ、やや戸惑ったのだが、進行するにつれ、段々鳴りが豊かになってきたのにはびっくり(さすが、我が家の「箱」入り娘)。仕舞いには差をあまり感じないレベルになってきました。お二方の「きちんと笛を鳴らすことのできる演奏」のなせる技だったのでしょう。

まったく同一のキャラクターの楽器2台では演奏が面白くなかろうし、かといってキャラクターがあまり離れていては世界が歩み寄ることがない。その点で今回の楽器の組み合わせによって非常によいテイストが生まれた様子。もちろんそれが実現できたのも、お二人のオルガニストの考え抜かれた演奏があってのこと。
前々から楽しみにしていたこの現場。その期待をさらにはるかに越えて豊かな実りを受け取りました。感謝の一言につきる一夜でした。

カメラを忘れたので画像はありません。ごめんなさい!勝手に梅岡氏のページにリンクさせていただきますので、是非ご覧ください。
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第九マエストロ練習

2008-04-22 01:00:53 | オルガン
今日から連日、保谷こもれびホール開館10周年記念の第九演奏会(4/26・27)の練習。諸岡範澄さんもいらっしゃり、彼の指揮で初めて歌うこととあい成りました。。
明日からは待ちに待ったオケ練(もっとも、明日は二台ポジティブのコンサートのため欠席しますが)。

詳しくは…いつ書けるのやら。
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朝から大忙し

2008-04-20 17:49:13 | オルガン
まずは、ご近所(順調ならば車で15分の距離)の目白のスタジオへオルガンとレガールを持ち込み。すぐに西荻窪へ向かい礼拝奏楽。終わってから目白へ戻って調律し、また家に戻って夕飯の支度。
で、今は東横線の電車の中(祐天寺へ)。

詳しくは後ほど。
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東京おもちゃ美術館オープニングパーティー

2008-04-19 22:51:01 | オルガン
無事終了。しかし、このプロジェクトは、いよいよ明日のグランドオープンからが正念場。しばらく大変な状況が続くでしょうが、早くブレークスルーして安定飛行へ移って欲しいもの(個人的にも 笑)。ミュージアム・プロデューサーの砂田光紀さんのスピーチにじんと来ました。彼の想いがこの美術館の運営推進に関わる方々の間で共有できるとするなら、このプロジェクトは必ずや上手く行くでしょう。

セレモニーでは皮切りにウィリアム・バードの「The Galliarde for the Victorie」、中間にJ.C.F.フィッシャーの「Euterpe」。会の流れを見ながら結局取りやめたのはJ.ブルの「Irish Toye」。おもちゃ美術館のセレモニーなのだから、数あるヴァージナリスト(ファーナビーとか)の「Toye」を挿入しようとしたのですけれど(直前の演奏はアイリッシュ・ハープだったし)。

この美術館に大きく深く関わった青森の木工職人さんのグループ「わらはんど」の方々もパーティーにご出席。ポジティフオルガンをご覧頂いた方の多くが音の出る仕組みにもっぱら興味を示されていたのに対し、彼らは楽器に使われた木工技術について、細かいところをつぶさに見ていらっしゃいました。さすが!

明日からいよいよ、目白のU師匠のスタジオにポジティフとレガールを持ち込み、22日(火)のコンサートの練習開始です(明日、スタジオには楽器が何台入っているのかな?)。

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品切れのはずが・・・

2008-04-18 22:31:07 | その他
Web上で軒並み品切れと表示され入手できないと思っていた本が、上手い具合に手許に届いた。

「ドレスデン 都市と音楽 -ザクセン選帝侯ヨハン・ゲオルク2世の時代」(バロック音楽研究会 編 東京書籍)

長く17世紀ドイツの音楽の演奏に関わっているうちに感覚的に捉えていたことを 誰か論証してもらえまいか、と思っているところにこの本を発見(発刊されていたことは知っていたが、ついずるずると買わずにいた、と言うべきだが)。
その点に鑑みても大変興味深い記述が満載で6千円弱の投資は成果あり。詳しいことを著者の荒川恒子先生にいずれお尋ねしてみようと思った。

今日は明日の出番のための練習でずっとチェンバロの前に陣取る(オルガンはもうケースの中に入れてしまったので出せない 苦笑)。
単に、セレモニーなのだから派手な曲を、と短絡的に考えず、この美術館プロジェクトにいろいろ関連付けて(こじつけて)曲を選び直していたら一日かかってしまった。ああ、疲れた(プログラムにJ.ブルを追加します←渋い)。

自分の出番は夜だけれど、昼間のオープニングイベントには、新宿区長さんはもとより青森県知事さんやら、タレントの西村知美さん(このプロジェクトに大いに関係あり!)が出席するとか。そっちの方にも行ってみたかった。
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