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「いじめ調査に協力するな」北海道教組が支部に通達☆教育基本法が改正されるはずだよ!

2007年01月24日 17時18分00秒 | 教育の話題


「いじめ調査に協力するな」北海道教組が支部に通達

北海道教育委員会が昨年12月に行ったいじめ実態調査に対し、北海道教職員組合(北教組)が道内全21支部に、協力しないよう「指導」していたことが23日、明らかになった。多くの学校では協力したものの、小樽市では、教員が調査回答や回収を拒否。このため市内の一部の学校では校長が保護者に直接、回収協力を求める事態になった。

北海道では昨年9月、滝川市の小6女児のいじめ自殺が発覚。道教委は同12月、いじめの実態把握などのため、札幌市教委が独自にいじめ調査をした同市立小中高校生を除いた、全道の小中高生と教員計約46万人を対象に調査を行った。児童生徒にはいじめられた経験やどんな行為をいじめと思うかなどを尋ね、教員には、いじめに対処した経験などを聞いた。

小樽市教委によると、実施前、北教組小樽市支部から「協力できない」と通告された。「現実と向き合い、調査結果を指導に生かすことが必要」と説得したが、支部側は「調査結果がどのように使われるか不透明」「調査を実施することでいじめ問題が早期に解決するかどうか見えない」――などとして協力を拒否したという。教員らが協力を拒否した学校では校長、教頭が回収を代行。市教委は昨年12月26日までに全校から回収したが、教員からの回答率は3割にとどまった。

北教組本部の小関顕太郎書記長は読売新聞の取材に対し、調査への組織的な非協力を文書で指導したことを認め、「いじめの実態は学校現場で把握し、対応している。全道一律の調査は必要ない」などと話している。 (2007年1月24日3時1分 読売新聞)


http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=148832&media_id=20


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北海道教職員組合(北教組)は日教組系の教職員組合。
道教委のまとめでは、2006年の道内教職員の加入率は36.9%で、
日教組全体の加入率28.8%に比べても高い、日教組の中でも指折りの
「武闘派」地域組織。北教組は、今までも、全国学力テストの実施や
主任制導入、そして、昨年、11-12月の教育基本法改正などを巡り、
教育行政や、(90年代半ば以降)穏健路線に舵を取った日教組中央
と対立してきました。



ついでに、朝日新聞の記事も紹介しておきます 。
読売と朝日の記事に、その分量の差だけでなく筆致に微妙な
ニュアンスの違いを感じたのは私だけでしょうか。
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「いじめ調査、協力するな」 北教組が指示

北海道滝川市の小6女児がいじめを苦に自殺した問題をきっかけに、道教育委員会が昨年12月に実施したいじめの実態調査に対して、道教職員組合(北教組)が道内全21支部に、協力しないように文書で指示していたことが24日わかった。

道教委の調査は、道立高校や公立小中学校の児童・生徒約42万人などが対象。書面によるアンケート方式で「いじめられたことがあるか」「どんないじめをしたか」などをたずねている。調査用紙を学校に送り、封をした状態で集めた。現在集計中という。

北教組の小関顕太郎書記長は「いじめについては学校ごとに教職員が子どもの顔を見て対応すべき問題だ。調査は、いじめの実態を知らなければならない教師が目を通せない形で集めており、おかしい。数字が独り歩きしてしまう危険もある」などとしている。 (2007年01月24日11時50分 朝日新聞)


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◆読売新聞と朝日新聞の主な相違点


・タイトル:誰が誰に対して、どんな手段で指示したの? 電話/文書/テレパシー?
「いじめ調査に協力するな」北海道教組が支部に通達(読売)
→「いじめ調査、協力するな」 北教組が指示(朝日)

・「いじめ調査に協力するな」と北海道教組が支部に通達した事実はいつ発覚したの?
協力しないよう「指導」していたことが23日、明らかになった。(読売)
→協力しないように文書で指示していたことが24日わかった。(朝日)

・何人が調査対象だったの? 北教組の妨害で校長先生達はどれくらい困ったの?
全道の小中高生と教員計約46万人を対象に調査を行った。(読売)
→道立高校や公立小中学校の児童・生徒約42万人などが対象(朝日)

・北海道の教育委員会と北教組はこの事態に対してどうコメントしているの?
北教組本部の小関顕太郎書記長は読売新聞の取材に対し、調査への組織的な非協力を文書で指導したことを認め、「いじめの実態は学校現場で把握し、対応している。全道一律の調査は必要ない」などと話している。+[教育委員会の談話と、それに対する北教組側の抗弁も公平に記載](読売)

→北教組の小関顕太郎書記長は「いじめについては学校ごとに教職員が子どもの顔を見て対応すべき問題だ。調査は、いじめの実態を知らなければならない教師が目を通せない形で集めており、おかしい。数字が独り歩きしてしまう危険もある」などとしている。 +[北海道教育委員会の談話は皆無](朝日)

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◆KABUの感想:

何をか言わんやの話。確かに「数字が独り歩きしてしまう危険」はある。けれど、それに対しては、公表される数字を共有して北教組の主張を展開すればいいだけの話でしょう。なら、「数字」が公になるのを厭うメンタリティーは、日ごろ勉強していない中高生が「抜き打ちテスト」に抗議して騒ぐのとあまり変わらない。

而して、「いじめについては学校ごとに教職員が子どもの顔を見て対応すべき問題だ」を読んで呆れました。滝川市の小6女児のいじめ自殺のケースでは、その担任教師が「修学旅行の部屋割りで、その子と一緒になりたくないというクラスの声を受けて、三回にわたり部屋割り会議を許した」のです。また、福岡の事例では、教師が率先して自殺した生徒をいじめていた。

ならば、教師がいじめに加担するケースが問題になっている現在、「子供達が提出したアンケートに担任教師が目を通す」などということが許されるはずはない。いじめの張本人の教師にアンケートを読まれることになり、いじめにあっている子供達が本当のことを書かないケースが続出することは容易に予想できるからです。

北教組中央部が述べたという「いじめについては学校ごとに教職員が子どもの顔を見て対応すべき問題だ」のコメント。これを読むにつけ、北教組(=日教組)は、自分達が「鯉を捌く料理人」ではなく「まな板の上の鯉」であることをまだ理解していないのだと思います。

まな板の上の鯉 vs 料理人

教師が「鯉を捌く料理人(=いじめ問題を解決する行政機関の担当者)」ではなく、「解決されるべきいじめ問題の構造的原因の一つ(=まな板の上の鯉)」であることを分かっていない。

それどころじゃない。いじめ問題について「教師= not 料理人 but まな板の上の鯉 」が分かっていないのに加えて、北教組(=日教組)の先生方は、「自分達はいつも教育問題の元凶を批判するポジションにいる」、そして、「学校現場で起こる問題を解決するのは自分達だ」と思い込んでおられる。私にはそうとしか思えないです。実は、旧教育基本法からも判例からも(旭川学力テスト事件や伝習館事件の判例の蓄積からも)、憲法も法律も特に教師や教師集団にだけ「学校現場で起こる問題を解決する権限や責務」を認めたことなど一度もないのですけどね。

・Only yesterday☆ある九州の元公立中学校校長の回想

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/702a2aa00d2ef7a6ff7d38c125ee4f82

・「左翼」て何なの-教職員組合を例にとって

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/40427fd974fca7cde4ddaf33a42ced46

・読まずにすませたい保守派のための<マルクス>要点便覧-あるいは、マルクスの可能性の残余

 https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/385e8454014b1afa814463b1f7ba0448


北教組のこんな独善生を見聞きするにつけ、教師も「教育行政サーヴィスを提供する行政組織の一員である。よって、学校現場にも行政組織らしく上位下達の整然とした秩序が確立されるのが当然である」ことを明示する教育基本法の改正は本当に必要だったんだな、そう痛感します。

そして、現在、有権者でありタックス・ペイヤーである国民に対して行政側は現状を公開すべきだという認識が、満更、荒唐無稽ではないとするなら、いじめ実態調査を実施しようとした北海道教育委員会の施策は妥当で、それに対して「いじめ調査に協力するな」という通達を北教組が出したことは(冗談にせよ)「公務の執行妨害」とさえ言いたくなります。

北教組(=日教組)は教師がいじめ問題の構造的原因(=「まな板の上の鯉」)であることを理解していない。また、よりジェネラルには、教師が教育行政サーヴィスを担う組織の一員であること(つまり、教育行政のパフォーマンスに関して、事実を国民に報告する責務と権限、または、教育現場の問題を解決する主な責務と権限が教師集団にあるわけではないこと)を理解できていない。そう私は思うのです。

北海道在住の同志からの情報では、「どうやらこれは北教組中央部の暴走のようです。ネットではない読売新聞の記事では、困惑している組合員の言葉も載っておりました」ということ。北海道の良識ある教師の方には、「公務執行妨害ものの非常識」を犯した北教組の中央部に対して冷静かつ厳しい批判の声を上げていただきたいものです。尚、日教組や教育基本法を巡る私の基本的な考えについては下記拙稿を参照いただければ嬉しいです。


・民主党政権下に<教育>を論じた記事-なぜかリンク復旧できないので目次にしました♪
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/c2f654273721efc004ac4e2ed519c89b




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